たまに来る街
久々にこの街に来た。
たまに夢で見る街。街全体が色とりどりのネオンカラーに輝いたかと思えば、パステルカラーの輝きに変わる。
雨が降ったかと思えば、曇る。晴れることは無い。
建物が空から生えている。地面も建物も全てガラス張りだ。
建物は増えては減り、消えては現れる。
気がついたら歩いている。建物の中を歩いていると思ったら、いつの間にか外を歩いている。
目的があることをふと思い出した。この角を曲がると、小さな店がある。全てが不確定なこの街で、この店だけはしっかりと存在している。
中に入ると、初老の男性がいた。
何かを読んでいて、こちらに目を向けることは無い。
僕はここで鍵を買わなければいけない。理由は分からないが、必ずそう思う。
最後まで顔をあげずに男性は接客してくれた。
外に出ると、大きめの熊が焚き火をしていた。
獲れたての鮭を焼いている。座ることを勧められたので、近くに座って火を見つめる。
「この鍵って何に使うんでしょうか」
そう尋ねたところで、いつも目が覚める。