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バレンタイン前、乙女ニュースの時間です

作者: 黒坂 志貴

昨夜、あの意地っ張り少女の野宮さんが、チョコレートを完成させました。


昨年4月、クラスと委員会が同じになり、顔を合わせる機会が増えていましたが、当初は特に意識していなかった彼。

特にゴールデンウィーク辺りまでは挨拶や最低限の連絡事項を伝えるのみで、特に関心は無かったとのこと。

詳しく事情を聞いてみると、早い梅雨入りに傘を忘れたことが最初のきっかけで、ベタな学園ドラマと同じように正面玄関で佇む野宮さんに気づいた彼が、黙って持っていた折り畳み傘を渡して走り去ったと言う事です。

強引さは無くあくまでも自然、むしろ淡々として素早かった動きに反応できず、声もかけられなかったそうです。


野宮さんはその後、濡れずに駅まで歩くことが出来、感謝したそうですが、このシチュエーションを陰から見守っていた友人たちの期待とは裏腹に、キレイに乾かした傘を返しただけで、何の進展もありませんでした。

しかし少しずつ変化は見られ、夏休み前には、二人の間に徐々に雑談が成立するようになったそうです。

主に漫画かゲームの話題が中心で色気のある話題は無く、互いに意識をしている素振りも見られませんが、良い友人として互いに楽しんでいることが伝わっていました。

この頃、連絡先の交換は済んでいたものの、夏休みに積極的な活動は見られず、週に一回程度の近況報告にとどまっていたと思われます。

友人の意見では、どちらもまんざらでもないのに押しが弱い印象は、すでに感じらていたようです。


学校では体育祭、文化祭と続く行事目白押しな2学期、周囲では続々とカップルが成立していき、野宮さんを見守っていた友人たちにも、彼氏持ちが多数派を占めるまでになり、気が合うのに決定打の無い二人を、じれったく思っていたようです。

野宮さんが当時の心境を、語ってくれました。

「話すと楽しいし頼りになるけど、友達でよくない?」

しかしこれが、一部で反感を買うキッカケにもなってしまいました。


彼は特別に目立つ存在では無かったものの、勉強やスポーツはそれなりにこなし、気さくで親しみやすい、影の人気者だったのです。

明らかに狙っている女子もおり、これは挑戦かチャンスと取られしまったのかもしれません。

以降、彼の周りに女子の姿が目立つようになりました。


楽し気に話をしては勝ち誇ったような笑みを向けられたり、わざと目の前で勉強やスケジュール確認のためと取り囲んだり、同じタイミングで帰宅するといった行為が、数人の女子によって見せつけられるように続きました。

野宮さんは気にしないように努めては普通に、時には辛口にあしらってみたものの、彼に惹かれていた事実を突きつけられるだけの結果に、自分でも愕然としたそうです。


認める勇気の必要性を強く感じながら、季節はイベントの多い冬へ向かいます。

自分の中に渦巻く感情に驚き、振り回される日々が過ぎ、特に行動を起こせないまま迎えたクリスマスは、積極的だった女子グループを中心に予定を入れたと聞いて、ショックでふさぎ込んでしまい、まさかのボッチが確定。

自宅で悶々としながら、過ごしたそうです。


年が明けて3学期が始まり、野宮さんは彼やクラスメイトとはあくまで普通に接しながら、一大決心をしました。

人生初の、チョコレート作りです。

もう、このファイナルイベントに賭けるしかない、そう決心して行動に踏み切った模様。

作り方を調べて材料を買い、試作を重ねました。

普段、日常的に料理をすることも、生まれてこの方お菓子を作る趣味を持ち合わせた事も無かったので、苦労の割には出来はイマイチ。

いっそ購入品にしようかと悩んだものの、自分で手をかけたくて不細工でも手作りを選択しました。

ラッピングもリボンも苦心の跡が残っていますが、それも野宮さんの覚悟の現れでしょう。

まだ、本人の表情からは、完成させた達成感よりも、これから渡す緊張感が強く感じられます。


さて、いよいよ仕上げです。

野宮さんは無事にチョコを手渡し、気持ちを伝えることが出来るでしょうか。

素直になる勇気を振り絞って、頑張ってください。応援しています!

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

季節ネタで、バレンタインです。

ニュース風、味付け間違った感じ??

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