呼びは持っておくに越したことはない
『同じクラスの八神燐。佐藤由希さんだよね』
『あ、燐くんね よろしくね!』
『よろしく ところでこんなとこで何してるの?』
と普通の疑問をぶつけた。
『あ… えーと傘忘れちゃって止まないかな〜なんて少し待ってた』
冗談気味に少し笑いながらそう話すが止む気配なんてこれっぽっちもしていない。
多分濡れて帰らないといけないけど濡れたくないという葛藤があったんだろうと憶測だがそう思った。
『傘忘れたのか』
『そうなの 朝天気見る余裕なくて急いできたから』
『なるほどな はいこれ』
そう言い俺は佐藤由希の方に手を伸ばし傘を差し出す。
『え?』
『傘ないんだろ? 俺家近いからこれ使っていいよ』
『いやいやいやそれは悪いよ!燐くんが自分で使って!』
『じゃあ、相合い傘でもしてくか?』
と、俺なりに冗談を入れて提案をした。
『いやーそれは無しかなぁ?なんて』
と少し気まずそうに断りを入れられる。
少し傷ついたぞ佐藤由希
『そうでしょ だからはい』
と少し強引に佐藤由希に傘を渡した。
『え、でも』
何かを言いかけたがそれに被せるように
『んじゃ、また明日 風邪引くなよ』
そう言い俺は途中まで走った。
学園からそれなりに離れたところで止まりカバンの中からもう一本の傘を取りだす。
置き傘というやつだ。
元々鞄の中にずっと入れていたのだ。
それを差し帰路についた。
途中から傘をさしたとはいえそれまで雨に打たれて走っていたのでかなり濡れている。
そのためシャワーを帰ってすぐ浴び今日の成果を振り返った。
日帰り旅行で接触するつもりだった佐藤由希と今日たまたま関わりを持つことが出来た。
これは思わぬ誤算だが良い誤算だった。
この後には日帰り旅行も控えているそれまでになるべく親密になっておくべきだな。
まずは連絡先といったところからか。
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