天気予報は大事である
朝の準備を済ませ学園に登校をし席についている。
窓から見る空はどこか暗く今にも雨が降りそうな天気をしていた。
『そういえば…午後から雨だったよな』
と、まだほとんど人がいない教室で誰にも聞こえない声でポツリと呟いた。
徐々に教室に人が集まり始めた頃目的の人物も教室に入ってきた。
そして少し時間が経ち朝のホームルームが始まる。
『えー、今日は雨の予定だ 風邪をひかないようにな〜』
と、担任の箸蔵が言うとクラスの連中は雨やだなぁと言うものも居れば傘を忘れたと焦りに駆られるものも居た。
『静かにー それとまだ入学して間もないお前達には交流を深めて貰うために日帰りの旅行みたいなのが来週あるからしっかり準備しとけー んじゃホームルームはこれで終わりだ。授業の準備しとけ〜』
ここで箸蔵の話は終わったがクラスの皆んなは日帰り旅行のことを気にしているものが多い。
これもまた反応は様々だった。
喜ぶ人もいれば俺みたいなボッチにはキツイ行事だと嘆くような表情をするものまたあるものは無関心といった感じだった。
だが俺としてはありがたい行事だ。
そこで佐藤由希との交流を持つことができると考えていた。
そんなこんなで皆んな今日一日は日帰り旅行のことで話題が持ちきりでその日の放課後を迎えた。
天気予報通り外は土砂降りだった。
『じゃあ、お前ら気をつけて帰れよー』
と箸蔵に言われゾロゾロと教室を出て行く。
部活に向かう人も居れば雨で部活が休みになり遊びに行こうと計画する者も普通に帰宅する者も。
そんな中俺は教室を出るも下駄箱には向かわずに誰もいない廊下を歩いていた。
ふとそこで歩みを止める。そこは理事長室と書かれた扉の前だった。
コンコンッ
『入りたまえ』
と中から一人の男の声がする。
その声を聞き届けドアノブに手をかけ中に入ってく。
もちろん中にいるのは理事長だ。
『今日は何の用件でしょうか?』
『まぁまぁ、そんなに急ぐこともないだろう?』
『わかりました』
『学園生活には慣れたかね?』
と世にも珍しく一生徒と理事長が世間話をすると言う絵面になった。
かれこれ10分ほど理事長と話し部屋を後にした俺は次こそ下駄箱へと向かう。
上履きから靴に履き替え帰ろうとそこを出ると外に佐藤由希が立っていたので。
佐藤由希も俺の気配に気づいて後ろを振り向いた。
すると、この土砂降りの中では耳を澄まさないと聞こえないくらいの声で
『あ…』
とつぶやく というより声が漏れたと言った方が正しいのだろうか。
そこで俺は声をかける。