自己紹介
『うし、んじゃお前ら俺から見て右端から自己紹介な』
適当だなと思ったがでもそのくらいがちょうどいいのかと思い直し自己紹介が始まった。
『綾瀬琴葉です よろしくお願いします』
と淡白な挨拶をし座ろうとしていた。
そんな挨拶では印象に残らずこの先俺と同じぼっち街道まっしぐらだぞせめて趣味くらいは言えばいいのにとそこに目を向けたがさっきの言葉を前言撤回させてもらう。
『綺麗…』 『さすが綾瀬のとこのお嬢様だな…』
とクラスのやつが思わずといった感じで口にしていた。
それもそのはず整いすぎた顔に黒く漆黒を想像させるようなすらっと腰あたりまで伸びる髪そしてスタイルも抜群である。
容姿端麗 まさにこれであるときっとクラスのやつも俺も思ったことであろう。
うわー、これ次に挨拶するやつ嫌だろうなぁ
と思ったが普通に流れていった。
そして…
『佐藤由希です 趣味はテニスで部活もテニス部に入ろうと思ってます よろしくお願いします』
と多からず少なからずの無難な挨拶をした。
こいつか一人目は
良くも悪くも普通である。
容姿も普通でこれといってスポーツがめちゃくちゃできると言う感じでもないという印象だった。
まずは軽く接触する必要があるか 席も近くはないもちろんだが接点もないあるとすれば同じクラスというだけ。
どう接触するかまずはそこだがまぁそこは難しく考えることでもないなと考えを一蹴した。
まだ自己紹介は続く
『常盤翼です! 趣味はスポーツ全般で皆んなと仲良くなれるよう頑張ります』
といかにものやつが挨拶をした。
綾瀬の時ほどではないがまわりがざわついている。
俺とは全くの逆に類する人種でカーストのトップに立ちいわゆる陽キャというやつだ。
自己紹介が続きついに俺の番となった。
席は窓側の一番後ろである モブキャラポジにしっかりとつけている。
『八神燐です 趣味は特にありません よろしくお願いします』
と無難でいて空気のような挨拶をした。
顔もそこら辺にいそうなやつで声は少し小さくまるで空気のように徹しあまり記憶に残らないようにすることもでき常盤や彩瀬の他にもクラスの主要になりそうなメンツもある程度頭に入れた。
しっかりとこなすことができ無事自己紹介は終わりを告げた。
『えぇ、自己紹介終わったと言うことでまずはこのクラスのクラス委員長を決める』
『まだ皆んなお互いあまり知らないし決めかねるとこだと思うけど俺の独断と偏見で決めまーす』
それを聞いたクラスの大半は嫌な顔をする。
そりゃそうだそんな役職になりたい奴なんてそういるもんでもない
『男一人女一人にやってもらう
まず男だが常盤にやってもらう んで女子の方は彩瀬に任せる 二人ともいいなぁ』
彩瀬は無表情で常盤は苦笑いをしながら
『はい』『分かりました俺でよければ』
と返事をした。
常盤は満更でもなさそうだ。
まぁ片方が彩瀬であることが大きいだろうな
その証拠にチラチラと彩瀬の方を見ている。
そしてこの人選には誰も反対をする者はいなかった。
そして今日は入学式とクラスの顔合わせだけということもあり午前で学校は終わりなった。
が、俺は教室にまだ残り続けていた。
その理由はもちろん佐藤由希である 彼女もまた新しくできたであろう友達二人と会話を楽しんでいる。
名前は確か櫻井日菜と荒木楓だったな
『由希と日菜はこの後どうする?部活の見学も明後日からだしどっか遊び行こうよ!』
『私はいいよ 日菜は?』
『うん 私も大丈夫だよ』
この会話だけでなんとなくだが分かることもあるな
『じゃ、行こ!』
そうして教室から出ていく三人を見届けて俺も教室を後にした。