7/7
7 氷の約束
「ルーク。わかる? お姉ちゃんだよ」
寝台の中で、ルークがうっすらと目を開けた。
その頬が、熱で赤く染まっている。
「ね、え、ちゃん……?」
うん、とイリスが頷く。
「辛いかもしれないけど、お薬飲める?」
ルークがゆっくりと体を起こす。イリスが小瓶の蓋を開け、手を添えてルークに持たせる。
「少しずつでいいよ。こぼさないでね」
コク、コク、コク、とルークの細い喉が動く。時間をかけて、小瓶の中身を飲み干した。
イリスはルークを横にならせて、彼の肩まで毛布を掛け直す。
「もう大丈夫だよ。ゆっくりお休み」
ルークの頭を撫でる。
「薬師のお爺さんの言うことを、ちゃんと聞いてね」
祈るような声音に、ルークが訝しんだ。
「……ねえ、ちゃん?」
「大好きだよ。私のルーク」
汗が浮かぶルークの額に、イリスはキスを落とした。
「元気になってね」
「ねえちゃん……!」
ルークの叫びに微笑む。
「じゃあね。ルーク」
イリスは家の扉を開けた。
夜空の下で、氷の竜が待っている。
「約束、したものね」
終