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7 氷の約束


「ルーク。わかる? お姉ちゃんだよ」

 寝台の中で、ルークがうっすらと目を開けた。

 その頬が、熱で赤く染まっている。


「ね、え、ちゃん……?」

 うん、とイリスが頷く。


「辛いかもしれないけど、お薬飲める?」

 ルークがゆっくりと体を起こす。イリスが小瓶の蓋を開け、手を添えてルークに持たせる。


「少しずつでいいよ。こぼさないでね」

 コク、コク、コク、とルークの細い喉が動く。時間をかけて、小瓶の中身を飲み干した。

 イリスはルークを横にならせて、彼の肩まで毛布を掛け直す。


「もう大丈夫だよ。ゆっくりお休み」

 ルークの頭を撫でる。


「薬師のお爺さんの言うことを、ちゃんと聞いてね」

 祈るような声音に、ルークが訝しんだ。


「……ねえ、ちゃん?」

「大好きだよ。私のルーク」

 汗が浮かぶルークの額に、イリスはキスを落とした。


「元気になってね」

「ねえちゃん……!」

 ルークの叫びに微笑む。


「じゃあね。ルーク」

 イリスは家の扉を開けた。

 夜空の下で、氷の竜が待っている。


「約束、したものね」



 


 終


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― 新着の感想 ―
[良い点] 読み手にゆだねる点が多いが、あまり純文学に触れてきていない身としてはこういうのも中々趣があるなと愚考する次第 ハピエン至上主義が多くて、こういう話は何かと竜が改心したとかなんとかでやっぱり…
[良い点] 素敵なお話でした。 ありがとうございました! そう、約束は守らねば、守られねばならないのです…。 [一言] イリスの残した微笑は、少し寂しげなものだったのではないかと思います。 弟を救…
[良い点] 好きな文体、好きな世界観。児童向けファンタジーが好物なので楽しく拝読しました。一話が短くてとても読みやすかったです。 [気になる点] 持ってきた材料で薬を作るのかと思ったら、既に棚にあった…
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