怪談「キャンプで」
これは私が友人夫婦とキャンプに行った時の事。
夕食も食べ終わり、友人の嫁さんと子供は先にテントで眠り。旦那である友人Mと私の2人で焚き火をしつつ、お酒を飲んでいた時の事です。
時刻は大体22時、キャンプ場は他のお客さんも居るので、日が落ちて19時を過ぎれば声を落とし、静かに過ごすのがマナーでした。
私と友人Mの2人は、焚き火を囲みつつ、声を落として談笑しながら、まったりと過ごしていました。
ぱちぱちと薪がはぜる音、森が風で騒ぐ音、時折聞こえる、他のキャンパーが奏でる生活音・・すべてが心地よく、とても気持ちが安らぐ様でした。
そんな中、私達が建てたテントの裏。そこは手入された登りやすいなだらかな山なのですが、その森の中、その中を・・・パキッ パキッ っと、明らかに二足歩行・・・そう、人間が歩く音が聞こえました。
その音は森の奥・・・山の中へと入っていく音でした。
その、だんだん奥に入っていく音を聞きながら、その音の方を見つつ、私は友人Mに
「・・・なあ・・今22時だよな? こんな時間に森に人・・・なんだろうな?」っと聞くと、友人Mはとろーんとしたなんとも気持ち良さそうな目でこちらを見ると、
「ん~?・・・んーーー・・・あーあれだよ・・・薪拾ってるんだよきっとw」っと答えました。
その答えを聞き、私はふーんっと納得したような返事をし、 一旦 間をあけてから、にやっと笑いつつ、こう聞きました。
「へー・・ 薪ねぇ んでもよぉ 明かりも点けずに薪拾えるかね?」っと
そう、 音がする方向。一切明かりが見えませんでした。
今までとろーんとなんとも気持ち良さそうな友人M、私のその問いかけに、一瞬考え・・すぐに真顔に戻ると・・・「や・・・やめてよマジで・・」っと青くなっていました。
その後、何となく肌寒くなったので、火の始末をすると、私達も眠りにつきました。
翌日、起きた友人Mはなんとなく疲れた表情をし、私のおかげで最高の目覚めだ・・・おはよう・・っと、心底だるそうにお礼を言うのでした。