どこ?ここ?書庫?
しばらく時間が空いてしまいすいませんでした。これからゆっくりですが更新していこうと思います。改めてよろしくお願いします。
「…」
俺は、戸惑っていた。
「ここは…どこかの書庫か何かか?」
壁一面に並べられた本。しばらく使われてないのかそこら中にホコリが積もっており、誰かが出入りした形跡も見当たらない。その様子から、しばらく放置されている場所であることが伺える。そんな俺は今、その部屋の真ん中の台座の上に据えられているようだ。
「ふむ、予想してたが随分と変な場所にいるみたいだな。さて、とりあえずどうしたものかな」
視界が得られたと言っても、俺はあくまで水晶である。手も足も無いためここから動くことができない。一難去ってまた一難といったところだろう。
「なあアテナ、さっきの『マナ操作』ってのは、自分を外側から見ることは可能なのか?」
マナ操作による擬似的な視界ということは、特定の場所に視界を移すことも可能では無いのか?そう考えた俺はアテナに聞いてみた。
《可能です。『マナ操作』の効果範囲は半径5メートル以内まで及びます》
流行り予想通りだ!早速アテナに頼んで視界を移動してもらった。
「ほうほう。見事な球体ですな。これが、今の俺の体とは未だに信じられないな」
しばらく観察していると、目の前に突然変な画面が出てきた。
名称:高純度の魔水晶
『スキル』
スキル保持・継承、スキル行使、マナ吸収(下)、
マナ操作、アンノウン
「これは…アイテム詳細か?」
その画面に表示されていたのは、アイテムの情報そのものであった。先程獲得した『マナ操作』もあることから、俺の今の情報が表示されているのだと気がついた。
《『知恵の恩恵』による能力です。アイテムだけでなく、人や動物の情報も見ることができます》
「改めてすごい能力だってことを実感するな。そういえば、俺はスキルになってるはずなんだがここに表示されていないのだが…」
スキル欄には、俺が表示されていないように見える。さらには『アンノウン』という意味不明なスキルまである。不思議に思う俺にアテナは驚きの事実を答えた。
《マスターのスキル名は『アンノウン』です》
「え…」
《マスターのスキル名は『アンノウン』です。スキル作成時に私の方で命名しました》
ちょっとアテナさん!ネーミングセンスどうなってるの!?
『アンノウン』って詳細不明ってどういうことなんだ!?アテナのネーミングセンスを疑う俺であった。
確かに、再起動とかなんとかの時に命名された気がするが…
あの時のことは覚えている。まさか、そんな名前になっているとは考えてもいなかった。
「なぜ、そんな名前になったんだ?」
《マスターは特殊な存在が故にその能力も不明なままでした。神々の記録にもそのような事象は存在しないため、必然的にそう名付けられました》
「特殊な存在が故の弊害ってことなのか…でも、まあミステリアスな感じでカッコイイ気も…」
俺は、その気になりながらも仕方ないと割り切ることにした。
「それはそうと、ここはいったい何なんだ。雰囲気は図書館のようにもみえるが…」
視点を周囲にづらしつつ身の回りを確認していく俺。いくつかの本を見てみたが文字なのか記号なのかわからないものが書かれており、さっぱり読むことができなかった。
「そういうところも異世界だよな」
改めて、俺は異世界に来たことを実感した。
そして、しばらく周囲を探索していた俺を横目にあの声が響き渡った。
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