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手違い!?


 あれからどれくらいの時間が経ったのだろう。薄れゆく意識の中で最後に出会った女性は俺に何を伝えたかったのだろう。様々な思考が巡る中、俺は自分の意識が戻っていることに気がついた。


(なんだったんだ?あれは?一体、俺はどうなってしまったのだろうか?)


 先ほどまで見えていた視界は、意識を失って再び見えなくなってしまった。戸惑う俺に聞き覚えのある声が頭の中に響いてきた。


「ちゃおっす〜!進ちゃん元気かなぁ〜??」


 このチャラチャラしたふざけた物言いをするやつは俺の記憶の中に1人しかいない。


「エウロラ…様ですか?」


「ピンポン!ピンポン!だいせいか〜い!また会えて嬉しいよぉ〜!元気してた〜?」


「…」


 エウロラの調子に当てられたのか混乱していた俺の思考は一瞬にして停止した。


「いやぁ〜!急にいろいろあったみたいで大変だったね!俺も急な事で驚いちゃって〜」


 意味ありげな話し方をするエウロラ。しかし、その話は俺の身に何かが起こった事を証明していた。とにかく、現状を把握するためにも俺はエウロラから情報を引き出さなければならない。


「あの…エウロラ様。一体、俺の身に何が起こったのでしょうか?」


 俺は、この後聞く真実に驚愕する事になる。そして、その真実は今後の俺にとってかなり重要なものとなる。


「えっとねぇ…実は…」


「…」


「諸々の手違いがあって、君は強制的に転生してしまいましたぁ〜!ごめんねぇ〜!」


「…えっ?」


(一体、何がどうなってるんだ。手違い?強制的に転生?というか、もう転生してるって事なのか?だとしたら、一体俺はどうなってるんだ?ダメだ。全く思考が追いつかない。)


「それとねぇ…」


(え!?まだ何かあるのか!全く把握できない状況に俺の思考はもはやパンク寸前なんだが…)


「君の転生先なんだけど…これまた、手違いがあってなんとスキルとしてこの世界に転生してしまいましたとさぁ!」


「…」


 その時、俺の思考は完全に停止した。流石の天才もこの状況についていくことは出来なかった。


「おーい!おーい!進ちゃん?生きてる?生きてる?死んじゃった?」


「…」


「まあ…その、これも何かの縁だと思って受け入れて頂戴な!」


「あの…俺は今後…どうなってしまうのでしょうか…?」


 俺は、ほぼ思考停止した状態でなんとか言葉を絞り出した。この時の俺は失望感と絶望感でどうにかなってしまう心境にあった。


「そんなに、落ち込むことないって!いくらスキルに転生したと言っても悪いことばかりじゃないし!それに君にとってはむしろ都合がいいと言っても過言じゃないんだからさぁ!」


 エウロラは、打ちひしがれている俺に必死で説明を始めた。俺はその時、その声に耳を傾けることしかできなかった。


「まずは…」


 エウロラの説明によると、俺は様々な手違いが重なって異世界のスキルとして強制的に転生してしまったようだ。ちなみに、俺が転生したスキルとは技術や魔法を使うために人や道具など様々なものに与えられる異世界のシステムの一種なんだとか。


「今回は、神側の手違いで君に迷惑をかけてしまったからね!その分のお詫びも込めて最大級の対応をすることが許されたんだ!こんなことは滅多にない!というか、過去にさかのぼっても一度もこんな対応はないんだからね!」


 その対応とは、前世での記憶、知識、才能など、全てを引き継ぐ事を許されたらしい。そのため、転生先でも自我は失っておらず、思考も同じようにできる。

 さらに、転生者に与えられる基本能力も同じように与えられたようだ。


「スキルといっても転生体だからね。君には能力アビリティという形で君に与えているよ。まあ、いつもはスキルって形で与えてるけど…スキルのスキルってのはなんかおかしいからねぇ〜」


 冗談を言ったのだろうが、今の俺には全く通じなかった。


「んー反応があまりよろしくないなぁ〜」


 だんだんと状況の整理できてきたにつれて、俺の思考も少しずつだが冷静さを取り戻してきた。


「なんとなく…ですけど、状況が理解できたような気がします」

 

 そんな俺を置いて説明は続く。それはまるで、動き出した1つの歯車が他の歯車を動かすように。


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