表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

問いの答えは神のみぞ知る

「お前、縦妻って奴知ってる?」

 それ以来光は、仲の良い友達にそれとなく聞いて回るようにしていた。今、同じ部活の東間という男に質問したので八人目。

「縦妻? ……縦妻って、縦妻香織?」

 光は、困った様に口を尖らせた。

「……下の名前は知らないけど、多分そいつ。……知ってんの?」

 部活動の帰り道、光と東間の二人は肩を並べて自転車を漕いでいた。

「ああ」

 東間は頷いた。

「小中と同じ学校だったしな。つーか、普通に有名人だぜ」

「有名人?」

 光は思わず繰り返した。

「ああ。超がつく程の美人で、小中学校と九年間通してもダントツ。今も普通に他校で話題になるってさ。……つーか、お前が今まで香織の事知らなかったって事に俺は驚きだよ」

(………………)

 光は無言を挟んだ後に、

「彼氏とかは?」

 と、訊いた。

「あー、ダメダメ。香織はどうにもなんねーよ。今まで何十回告白されてきたのか知らんが、とにかく一度もOKしないんだから。今じゃもう、周りも諦めてて手は出せないってさ」

 ――あの日、電話越しに言葉を交わした時の事が光の脳裏に蘇る。光は不満気に眉間に皺を寄せた。

「俺でも? 無理?」

 光は真顔でそう聞いた。すると東間は答えに困り、言葉を詰まらせてしまった。

「あー……。いや、多分無理だとは思うけど……お前も普通の奴じゃないからな……」

 光は真剣な目つきで東間を真っ直ぐ見据えながら、答えを待った。

「う〜……ん、それはお前らが実際に会ってみないと分からないな」

「………………」

 そもそも、光は香織の事など何も知らない。だから、「もし俺が告白しても無理?」という質問は仮定中の仮定の話で、まだ光は香織の事など好きでも何でも無い。光を突き動かしているものは好奇心と、あの間違い電話に何かを感じたからだ。


『実際に会ってみないとわからない』


 その東間の言葉が、いつまでも光の中に残っていた。

「……そいつ、今どこ通ってんの?」

 その光の問いに、東間は「北高」と答えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ