第35話 転入生
夏休みが終わる2日前に王都へと戻って来た。昨夜の神様の言葉が気にはなっていたが、学院に着けば何か分かるだろうと思っていた。
「久しぶりねケンイチ。あなたも今着いたとこ?」
学院の寮の入り口でシェリーとヒョウカに出会った。
「久しぶり。そうだけどシェリー達も?」
「そうよ。それよりも何で私達だけ早めに学院に戻るように言われたんでしょうね?」
「分からないけど、何か理由があるんじゃないかな?とりあえず寮の中で待ってたらいいんじゃないかな。」
「そうね。」
俺達は寮の中へと入っていった。治部の部屋へと入った俺は、とりあえず持っていた荷物を降ろして、ベットの上で横になっていると、
「ケンイチ君、シェリーさん、ヒョウカさんにアレクシス君はいますか?」
寮の入り口の方からミシェル先生の声が聞こえた。すぐにベットから降りて入り口に向かうと他のメンバーもその声を聞いて一斉に部屋から出てきた。4人いることを確認すると、
「4人ともいますね。それでは、私に付いてきてください。」
何処かへと向かって歩き始めた。俺達も、遅れないように付いていった。
先生の向かった先はAクラスの教室であった。教室に入った俺達はいつもの自分の席に座った。
「それではこれより皆さんに集まってもらった理由について説明いたします。」
教壇に立ったミシェル先生が今回の事について説明を始めた。
今回俺達が早めに集められたのは2学期よりここにいる4人はSクラスへとクラス替えするためであった。毎年1年生は1学期の学年末試験でトップ5に入った生徒は2学期よりSクラスへと移ることになる。それからは、Aクラス以下と同様に成績順でクラス替えが行われる。
Sクラスの生徒は、基本的に授業は免除。ただし、必須授業には絶対参加。これに参加しないと、Sクラスから落とされることになる。それとCランク冒険者カードを借り支給される。Sクラスにいる間はこのカードを使いCランク以下の依頼を受けることも可能である。
説明が終わった後、教室の中に4人しかいないことが気になった。先生の説明では、Sクラスに移るのは、学年順位トップ5までの生徒だという話であった。そのことを聞いてみると、
「先生、すみませんが質問いいですか?」
「何でしょうかケンイチ君?」
「先生は先ほどの説明でSクラスの生徒は5人と言われましたが、ここには4人しかいません。学期末試験で順位5位のセレスミオン君がいませんが、どうしてですか?」
「そのことでしたら今から説明します。その前に君達に紹介しないといけない生徒がいます。ミカ・ド・マルシャさん入ってきてくれますか。」
先生の呼びかけで教室の中に1人の女子生徒が入ってきた。先生の横までやって来たその子に、
「自己紹介をお願いいたします。」
「はい、分かりました。」
小声で先生に返事をすると、
「初めまして。私は、マルシャ侯爵家の長女ミカ・ド・マルシャと申します。年齢は15歳でございます。戦闘スタイルに得意苦手はございません。どうぞよろしくお願いいたします。」
自己紹介が終わり一礼した。俺は、彼女を見て妹とのことを思い出してしまった。顔つきや身長も妹にそっくりだったのである。そんな事を思いながら彼女を見ていると、一瞬目が合った気がした。
「では、ミカさんはお好きな席に座ってください。」
彼女は、1段目の右奥の席に座った。
「ミカさんも紹介も終わった所で先ほどケンイチ君の質問にお答えしますね。今回のSクラスへのクラス替えで今までには無かったイレギュラーがありました。それは、そこにいるミカさんが転入試験を全て満点で合格しました。そのため、今回学年順位5位だったセレスミオン君の順位が1つ下がり6位になり、ミカさんが学年5位になることになったのです。」
それを聞いて俺達4人は納得した。
それから、寮も変わることが伝えられる。今までいた寮と別のSクラスの生徒専用の寮へと移動することになった。
「それと、このクラスの担当の先生を紹介する。」
先生が言い終わると同時に教室の扉が開くと学院長先生が入ってきた。まさかなと思っていると、
「2学期よりSクラスの担任をしてくださるのは、ゼルネス・ド・オスマン学院長先生です。毎年のことならAクラスの担任がSクラスも掛け持ちすることになるのですが、学院長自らSクラスの担任をしたいとの事でしたのでお願いいたしました。」
ミシェル先生は凄く緊張した声で説明いてくれた。
「学院長からも一言お願いいたします。」
「分かっておるわい。」
学院長は1度咳払いをしてから、
「今回このクラスを受け持つことになるゼルネス・ド・オスマンじゃ。基本的にSクラスに授業は殆ど無いため、朝のホームルームをするくらいじゃが、よろしくの。」
簡単な挨拶で終わった。その後、ミシェル先生より2日後の始業式の予定と、クラスが別の教室になることが告げられて今日は解散となった。
私はとても緊張していた。転移してきて1ヵ月こんなに早くお兄ちゃんに再会できるとは思っていなかった。神様からこの世界でのお兄ちゃんの特徴について聞いていたため、教室に入ってすぐに見つけることが出来た。
自己紹介が終わった後、一瞬お兄ちゃんとと目が合った気がした。お兄ちゃんも私と目が合ったと思っていてくれれば嬉しいなと思いながら空いている席に座った。ただ1つ気になったのが、お兄ちゃんの隣に座っていた2人のことがとても気になっていた。自分の正体を明かした後にでも聞いて見ようと思った。
それから、先生の話が一通り終わり、解散となった。私は教室を出る兄の後を付けていった。なんだかストーカーみたいだったが今はそんな事気にしてはいられなかった。1秒でも早く自分の事を話したかったからである。
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