第14話 放課後
俺達は、合同実習が終わり今日のこれで解散となった。教室で、荷物を片付けて寮へシェリー達と寮へと戻った。
「ケンイチ、服着替えたら寮の入り口で待ち合わせね」
それだけ言ってシェリーとヒョウカは自分の部屋へと入っていた。俺は、制服以外の服を持っていなかったため部屋に荷物を置き寮の入り口で二人を待つことにした。
「お待たせって、ケンイチなんで制服のままなのよ~」
顔を真っ赤にさせてシェリーが怒っていた。彼女は赤のフリフリのワンピースに身を包んでおり胸の所が少し際立っていた。
「何でと言われても、俺この服しか持ってないからしょうがないだろ」
俺の言葉を聞いたシェリーは少しため息をはきながらしょうがないなと言いながら俺の近くまでやって来た。
「この服どうかしら?」
シェリーは、俺の前で一周りしながら聞いてきた。
「シェリーの赤髪とマッチしてよく似合っていてかわいいよ」
俺の感想を聞いてシェリーの顔が一気に真っ赤になっていた。俺達がそんなやりとりをしていると、
「お姉ちゃんばっかりケンイチ君といちゃいちゃしてずるい」
着替え終えて出てきたヒョウカが、俺達のやりとりを見て言ってきた。ヒョウカの声を聞きシェリーは正気を取り戻した。
「だ・誰がこんなやつといちゃいちゃなんてするもんですか。ただ世間話をしてただけよ」
シェリーは、慌てヒョウカの言葉を否定してきた。俺はただシェリーと会話してただけなんだけどと思っていた。
「ケンイチ君私の服はどうかな?」
ヒョウカは横で慌てているシェリーをスルーして服の感想を求めてきた。ヒョウカの服は上は白いブラウスに下は水色のロングスカートですごく似合っていた。シェリーと違いヒョウカは胸があるわけではないがそれはそれで彼女なりの魅力であると俺は思っていた。
「いいともうよ。おしとやかなヒョウカにぴったりでかわいいよ」
俺が素直な感想をヒョウカに言うと、すごくうれしかったのか俺の腕に抱きついてすごく満足した顔でいた。横で、シェリーがなんだかとても悔しそうな顔をしていたが、それはスルーしておくことにした。
俺達は、寮母さんに外出届を提出して許可をもらい王都の街へ出かけた。学院を出るまでの間はシェリーがとてもふきげんな顔をしていたが王都の街中まで出てくるとさっきとは打って変わって元気になっていた。
街の中は人であふれかえっていた。夕方になり外に出ていた冒険者の人達が帰ってきていたのである。俺は、それを見ながら、シェリーが紹介してくれると言っていたお店がどんなところなのかと考えていた。
「ケンイチ着いたわよ。ここが私おすすめの喫茶店のジュリエイトよ」
俺はシェリーの言葉を聞き見てみると、そこは男一人ではかなり入りにくそうな雰囲気のお店があった。中を見てみるとお客さんは女性ばかりであった。シェリーは自分一人先に店に入ってしまい俺達もそれに続いて中に入っていった。
中に入ると、ウェイトレスさんに窓際の席へと案内された。席についた俺達は、シェリーのおすすめの紅茶とケーキを注文して、今日の実技授業の反省会を始めた。主にシェリーとヒョウカの反省会であったが、俺に感想を求めてきたりもした。そんな感じで一時間ほど喫茶店での反省会をした後、店を出て寮へと帰り始めた。
俺達がお店から出て少ししたくらいに、顔全体をフードで隠した怪しい男が俺の肩にぶつかりながら早足で反対方向へと歩いて行った。横でシェリーがその男に対して少し怒っていたが俺が別にいいとだけ言い、怒りを収めてもらった。だが、なぜあんなに急いでいたんだろうと思っが、今は気にしないでおこうと思った。
寮へと帰ろうと三人で歩いているとどこからかとてもおいしそうなにおいが漂ってきた。その方向を見てみると、屋台を出して営業しているお店があることに気づいた。辺りを見渡してみると、行きには見かけなかったお店があることに気づいた。俺はおいしそうな匂いに引かれてお店の前まで来ていた。せっかくだと思い屋台で売っていた肉の串焼きを一本買い食べながら寮へと帰っていった。横からシェリーに行儀が悪いと言われたが、これは歩きながら食べるものだと言って納得してもらった。
その後は、三人で三ヵ月の間何をしていたかなど昨日話せなかったことを話ながら寮へと帰るのだった。
ケンイチ達が寮へと戻ったその頃、王都の西の森の中で一人の男が仲間達と合流していた。この男は、夕方王都の街中でケンイチを肩をぶつけたフードの男であった。
「王都の街中はどうだった?」
「予想取りだ。Aランク冒険者は今遠征依頼に行っていて一週間以上は戻ってくる様子はなさそうだ」
「なら問題なく作戦を実行に移せそうだな」
フードの男は昼間王都の街中で自分たちがこれから行う作戦の障害になりそうな人物がいないかを調べていた。特に問題になりそうだったのAランク冒険者だったが今は王都を留守にしてる。男達三人は、一週間後に作戦を決行しようと決めるのだった。
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