第102話 船乗り
俺とヒョウカはギルドで紹介して貰った船乗りの所へと来ていた。
その船乗りの家は、街の中ではなく外にあった。
「ここでいいんだよな?」
目の前にある古びた家を見て思わず言ってしまった。ギルドで書いて貰った地図と見比べて間違いない。
だが、どう見ても船を持っているように見えないのだが。
などと考えながら扉を三回ほどノックする。
コンコン! コンコン! コンコン!
だが反応がない。
もしかしたら聞こえてないのかも知れないと思い、
「すみませ~ん」
大声で叫んでみる。
だが、何の反応もない。
「誰もいない?」
首をかしげながら聞いてくる。
俺ももしかしたらそうなのかも知れないと思い扉を引いてみると、鍵はかかっておらず簡単に開いてしまった。
「すみませ~ん! 誰かおられますか~!」
扉を開けた状態で叫んでみると、家の奥から一人の男性が出て来た。服装はパンツとシャツだけで貧乏の一言で説明できてしまいそうな格好。ひげはぼうぼうで髪の毛は伸び放題。
「人が気持ちよく寝てるときに何のようだ!」
こちらに向かってきながら聞いてくる。
「ギルドの紹介で船を出していただこうと思い来たのですが」
「その件なら帰えんな! 俺は船を出す気がね~んだ」
それだけ言って家の奥に戻ってしまった。
俺は、さすがにこのままでは困るので、
「お話だけでも聞いてくれませんか!」
大声で叫ぶ。
何回も何回も出てきてくれるまで。
「うるせ~な、出さね~って言ってるだろうが!」
叫び続けること十回目でやっと出てきてくれた。
「お話だけでもお願いします」
だが、凄くめんどくさそうな態度をとりながら、
「話しだけは聞いてやるよ、だが話したら帰れ」
俺は、海に現れる怪物の事について話してみるが、
「話しが終ったなら帰れ」
追い返される。
「待ってく下さい。今はあなたの力必要なんです」
俺は地面に膝をつき土下座をして頼むが、こちらを見向きもせず家の奥へと戻ろうとする。
なので、
「報酬もかなり出ると思いますが」
その一言を聞いた男の足が止まった。
先程まで聞く耳を持たずに怪物の話しも殆ど聞こうとしていなかった男が初めて興味を示したのである。
なので俺は、自分の持ち金の半分の金額を男に報酬として払うと言ってみると、
「ガキが出せる金額なんてたかが知れてるぜ」
などと言いながら戻ろうとするが、
「ギルドからも今回の依頼が成功すればそれに見合った報酬が出ます。それに俺のだす報酬もかなり金額出せると思います」
それの言葉にかなりのいい反応を示してくれた。
「そこで待ってろ!」
それだけ言い残して部屋の奥へと消えていく。
しばらく待っていると、
「待たせたな」
先程とは違い、ちゃんとした服に着替えた男の姿が底にあった。ひげも剃ってある。
「付いてきてくれ」
男の言葉に従い、付いていく。
その道中、
「まだ自己紹介がまだだったな、俺はリクだよろしくな!」
男の方からこちらに話しかけてきた。
「自分はケンイチと言います。こっちがヒョウカです」
ヒョウカはリクさんに向ってぺこりとお辞儀をする。
「よろしくお願いします」
俺も一礼しておく。
それからしばらくは雑談が続いた。俺達がSランク冒険者だと言うことを聞くとリクさんはかなり驚いていた。
それから、今ままでのセレモニア王国での出来事の話しをしたり、リクさんの話しを聞いたりしながら進んでいく。
リクさんは見た目はあれだが、この町では一番船乗り歴が長く、操縦もうまいらしい。だがこれはギルドで教えて貰っていた情報通りであった。
だが、前回の冒険者百に程のクラーケン討伐作戦の時は声はかかっていたようだがことわっていたみたいである。
そんなこんなのでリクさんに連れてくられたのはシェリー達と先程来ていた港であった。
海側にある倉庫。俺達は見て回らなかった所である。
リクさんに続き中に入るとそこに立派な船があった。
スピリッツウィッチ~ダンジョン攻略がんばります~も投稿してます。
https://ncode.syosetu.com/n8767fq/
もしよかったら読んでみてください。
もし誤字など気づいたことやアドバイス、感想などございましたらお気軽にお願いいたします。
もし続きが読みたい、面白かったと思ってもらえましたら、評価とブックマークお願いいたします。