第100話 魚がない
服に着替えた俺達は宿の食堂へと来ていた。
「何食べるの?」
食堂の中を見てみると周りにはいろいろなメニューが書いてあるが刺身はやはりなかった。
それ以外だと焼き魚などいろいろな物が書いてある。
「私は焼き魚定食かな?」
「俺はフライだな!」
それぞれ魚を使った料理に決まる。
そしてお店の人を呼び注文しようとすると、
「お客様すみません、魚料理はその……」
何かとても言いにくそうにしている。
すると後ろから調理服を着た男性がやって来て、
「申し訳ございません。今魚を切らしておりまして魚料理をお出しする事が出来ません。本当に申し訳ございません」
深く頭を下げて謝罪される。
周りを見てもお客様は殆どいない。決して夕食の時間からかなり過ぎてるわけではないのだが、
「何かあったのですか?」
俺はさすがにおかしいと思い聞いて見る。
「……」
二人ともお互いを見合わせているだけで何も話そうとしない。
「どうかされたのですか?」
「実は」
それから男性が話してくれた。
ここ最近海に怪物が出ているらしい。俺達が今日行っていた遊びようの浜辺ではなく漁用の場所があるらしいのだが、そちらの方の怪物がでて漁が出来なくなっているらしかった。
「そんな事が……もう少し詳しく話しを聞かせてもらえませんか?」
「はい! 私共も聞いた話になりますが、この街の西側に漁専用の海があるのですが、そちらに大きなイカによく似たモンスターが出るのです」
「いつ頃から現れているのですか?」
「一ヶ月前からになります。それまでそのようなモンスターが出ることはなかったのですが、一体どうして」
「ですがこの町にも冒険者ギルドがあるのですから討伐して貰ったらいいのでは?」
「それも行われました。ほんの一週間前です。百人もの冒険者が怪物討伐の為に集められましたが返り討ちにあい失敗に終りました。死者は出なかったのですが、負傷者が多く出てしまい今では近づこうとする者はいません」
「それじゃ、俺達が今日遊んでいた海も進入禁止になるのでは?」
そう、普通そんな事が起きているのなら海への進入禁止なっているはずなのではないかと思う。
「それが怪物が現れるのは不思議と西の海のみでそれ以外の場所での確認報告がないのです。そのためこちらの前の海は普通に解放されているのです」
少しがかっりしたが、
「その依頼は冒険者ギルドに行けば受けられますか?」
「何を言ってるのですか!」
俺は冒険者カードを見せる。だが、
「いくらなんでも無茶だ! 百人の腕に自信のあった冒険者が何も出来ずに返り討ちに遭って戻ってきたんだ」
強い口調で言ってくる男性。
「心配なく、俺達Sランク冒険者ですので」
だがそれでも止めようとしてくる。
「心配するなって言ってるでしょ! 私達に任せていなさいって!」
急にどうしたのか分からないが、威張りだしたシェリー。でも、いつも通りだなと思ってしまった。
それにだ、
「俺達、魚料理が食べたいので」
それだけ言って部屋へと戻っていく。
「注文した料理は部屋までお願いします」
最後にそれだけ言っておく。
だってお腹はすいているんだからしょうがない。
部屋へと戻った俺達は、
「で、どうするの?」
ミカとシェリーが声をそろえて聞いてくる。
「明日冒険者ギルドで話しを聞いてみよう」
「了解!」
ただ遊びに来たつもりだったのにこんなことになるなんて思わなかった。
また魔族絡みでないことだけを願いたいのだが。
その後、部屋に運ばれてきた夕食を食べて寝る事にした。
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