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8話

 

「虫!邪魔だ!」


 顔に寄ってくる虫を苛立ちながら、払いのける。


 国が所有する選りすぐりの名馬をかっとばして3時間以上かけ、張り紙に書いてあった時間ギリギリで廃寺にやってきた。


 だというのにそこには人っ子一人いない。さすがの勇者と大賢者であっても疲労は大きい。特に勇者チャンは前日から寝ていないため、その顔は病人のようにやつれ、苛立ちの表情を浮かべている


「来ないな、気づかれたか?」


 時間を過ぎているというのに何の反応もない。


 そして雨上がりのせいか虫がやたらと多く二人を苦しめている。こんなことならチャンの所になんか来るんじゃなかった、ソロは後悔し始めていた。この機会に恩を売っておこうと思っていたが予想以上の難問だ


 しかしどうやっても途中で逃げるという機会がない。


 ガサッガサガサ


「「!!」」


「アラーーー!本当に人がいただ」


 現れたのはヨレヨレの服を着た爺さん。


 どうみてもただの村人だ。こっちを見て驚いている。こんな夜中にこんな場所に人がいるはずが無いから当然驚くだろう。


 コイツが情報屋のはずはない、何者なんだ一体


「我々は勇者チャンと大魔導士ソロだ。極悪人を追ってここに来た、爺さんはこんな時間に何故ここに来た」


 いつでも戦闘に移れるような体勢をとりながら爺さんに向かい合った。どこかで情報屋がみているかもしれない。油断はできない。


「勇者様と大魔導士様!!!?」


 爺さんはぶっ倒れそうなほど驚いている。こいつはただの農夫だ。確信した二人は少し警戒を緩めた


「爺さん、しっかりしろ」


 ここでぶっ倒れられたら面倒だ。敵意が無いことを優し気な態度で示して話を聞く


「ありがとうごぜえます、ええっと、ワシがなんでここに来だかといいますと・・・・・」


 爺さんの分かりにくい話をまとめると、ある時村にとてつもなく高そうな服をきた若い男がやって来た。


 そしてその男は村長に話をして、一か月の間夜12時からこの廃寺で仕事をする人間を募集したという


「なんでもこの寺にやってくる者から荷物を預がって、山頂にある山小屋に運ぶ仕事だそうで、仕事をすれば金貨3枚もくれるっつう話でした。その荷物ってのはとんでもなく高価なもんだそうですが、一体なにをもってけばいいんですか?」


 爺さんは不安そうな表情でこちらを見ている。


 情報屋は相当入念に準備しているようだ。この爺さんに30億ゴールドを運ばせるつもりなのだ。


 爺さんはこちらの回答を固唾をのんで待っている。金貨3枚がもらえるかどうかの瀬戸際なのだから当然だろう。情報屋はかなり慎重だ、自分でもその関係者でもなく全くの無関係の人間をよこした


「どうするチャン・・・」


 金は持ってきていない。情報屋が金を盗りに着た瞬間に殺すつもりだったのだから用意する必要があるとは思っていなかったし、そもそもにおいて、そんな大金はもっていない。


 いまこの様子を情報屋が見ていたらマズイ。何も持たずに来たことがばれてしまう。


 解決策が思いつかない。


「・・・・・・・・・これを持っていかせる」


 チャンが差し出したのは聖剣。勇者のみが扱える聖なる剣。自身の象徴


「おいチャン!!!!!!」


 さすがの大魔導士も驚きのあまり大声を上げた。


 聖剣。


 それは勇者の力を最大限に発揮するための剣で、国宝の中でも最も高いレベルに位置し、金に換えることはできないが、もしするとすれば、500億Gの価値はある代物だ。万が一紛失や盗難に遭えば、勇者と言えどもただでは済まない


「落ち着けソロ、ここまで慎重に事を運んでる奴だ。山に行く爺さんのことも監視しているだろう。その時に金を持ってないのはマズイ、偽物を持たせても高レベルの鑑定を持ってる奴が仲間にいるなら気づかれちまう」


「だが!」


 チャンも気付いたか。だが、それにしても・・・・


「万が一盗まれても聖剣ならば勇者以外には使えない。金が用意できなかったから代わりに聖剣を差し出す、それならいいわけが成り立つはずだ」


「ぐっ、ま、まあその通りだが・・・」


 チャンが思いのほか冷静なのに驚く。本当にそれしか方法がないのか?自分に問いかけるが、名案が出てこない。


 空の荷を持たせたとしても、鑑定を使われたらばれてしまう。それにもしもいま、この様子を情報屋が見ているとすれば、空の荷を準備しているところも見られてしまう。そうすれば情報屋は二度と姿を現さないだろう


 二度と会う事は出来ないだろう。


 ソロが納得したのを表情で感じたチャンは、こちらを伺っている爺さんに聖剣を渡した。


 自分のものになってから初めて他人に触らせるという事に想像以上の抵抗感を感じたが、情報屋を捕まえるためだ仕方がない。もし何かあっても自分なら大丈夫だ、そう言い聞かせる


「爺さん、それは国宝の聖剣だ持っていけ。絶対に落とすなよ」


 思わぬ大役に爺さんの体は震えていた




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