3話
「勇者様到着しました」
「遅いぞ!!俺が来いと言ったらすぐに来い!無能が」
勇者が招集を決めてから1時間以上たって、ようやく勇者専属部隊が到着した。そのあまりの遅さに、勇者チャンはますます苛立っていた
「申し訳ありません、国王陛下から招集がかかりましたので」
部隊長は勇者の国王と王妃、王女に対して愚弄する内容の記事が真実であるのか問いただされていたのだ。
「あの豚の事なんぞほっとけ!!王など俺に寄生してるだけのクズだ!」
部隊長の眉が動いた。これも報告事項だ、そう思っていた
「部隊長、街中のビラを全て燃やせ!そして犯人を見つけ出し俺の前に連れてこい!!」
勇者チャンはその圧倒的な武力で、これまで全ての敵を苦労することなく全て撃破してきた。そして勇者にしか使う事の出来ない聖剣が手をかざした瞬間、聖剣は光り輝いた。
勇者として正式に認められたのだ
その瞬間すべてが変わった
男も女も金も地位も名誉も何もかもが自分中心に動き始めた。世界を手に入れたそう思った
その自分が苦境に陥っている
今この瞬間にも家の外では自分を馬鹿にする住人たちの声が聞こえてくる
「マザコン勇者君は家に隠れてるみたいだぜ」
「ママのおっぱい吸いながら泣いてんのかもな」
「「「ギャハハハハハハハハ」」」
こんなことはあってはならない。自分は人類の頂点に位置する勇者だ。こんな屈辱を許すわけにはいかない。犯人を必ず自分の手で殺す
「了解」
部隊長はなんともやる気なさげに敬礼し出ていった
「許さん!!!」
全てが気に障る。
目に映るすべての人間を殺したかった。
勇者チャンの顔は怒りのあまり赤黒く変色していた