3話
「ノア殿下はおられますか?」
私の名はクロア・フォート。ノア殿下のお側に常に仕え、護衛としてお守りすることがお仕事です。
数日前にノア殿下の婚約者であるエレーナ様の元へ、ノア殿下と私を含め3人で王都を発つことになりました。
ただ様子を見に行き直ぐに王都へと戻る予定でしたが、エレーナ様のご家族が何者かの手によって殺されていた事実が判明したため、その日はそのまま泊めていただくことに――。
翌朝エレーナ様から事情を聞いたノア殿下はエレーナ様の身を案じ、私とノイエにエレーナ様の護衛を命じられました。
護衛が嫌というわけではありませんが、ノア殿下がお一人で戻られるのは危険です、と進言しましたが私の意見が通ることはなくお昼にノア殿下は屋敷を発たれました。
私とノイエは護衛のためエレーナ様の側に常に控えていましたが、その晩エレーナ様が屋敷から忽然といなくなったのです。
私より比較的冷静だったノイエの指示の元、私が王都へ向かい、ノイエは周辺を屋敷の使用人の人たちと捜索することになり――そして今、ノア殿下の弟であるロア殿下が王城から外へ出てきたところでした。
□
「あれ? あの騎士に伝えるよう頼んだはずだけど……その様子だとまだ知らないみたいだね」
「ロア殿下、おはようございます。今し方戻ったところですのですれ違いになったかと思われます。その……ひとつよろしいでしょうか?」
ロアが何か知っているかと思い質問しようとすると、
「ああ、エレーナなら城内にいるから。自分の仕事に戻ってもらっていいよ」
「え……あっはい。承知しました。それでは失礼します」
一瞬なぜ知っているのか疑問に感じたクロアだが、ノア殿下かエレーナ様本人から聞いたのだろうと思いその場を離れようとする。ロアの横を通り過ぎると突如後ろから右手首が掴まれた。
「ロ、ロア殿下? その……手を離してもらえると……」
クロアは男性と肌で触れ合う機会はほとんどないため若干声が上擦ってしまう。ノアの弟ということもあり、ロアも容姿に優れているため、それも理由の一つだろう。
「これはごめんよ。けどクロアが僕の側から離れようとするから止めただけさ」
何を言っているのだろう。たしかに自分の仕事――ノア殿下の護衛に戻るよう指示をしたのは目の前にいる本人で間違いない。
「も、申し訳ありませんがノア殿下の護衛をしないといけませんので――」
戸惑いながらもなんとか言葉を返すことができた。
「そのことなんだけどね……兄上はもうここにはいないよ」
「そ、そうでしたか。教えていただきありがとうございます。ノア殿下は現在どちらにおられるんでしょうか?」
無駄足を踏まないよう教えるため引き止めれくれたみたいだ。そのことに感謝しつつも未だ掴まれた手首が自由にならない。
正直そろそろ離してほしいと思ったクロアだが正直に口にすることは絶対にできない。
「もういないんだよ」
「申し訳ありませんが私にはどういう意味か分かりかねます」
ノアの居場所さえ教えてもえらればそれですぐに解決することである。
(ノア殿下の弟といえど時間を取られたくないですね……)
早くノア殿下のお側に行きたい、クロアの思いはただそれだけだ。
「言葉の通りだよ。確証はないがその場に落ちていた短剣から察するに、ユルヤード法国の者の手によって殺されたと考えている。父上と母上も同じく殺されていた。あそこの国とうちはあんまり仲良くないからね。未だに王族に魔族の血が流れていると本気で思ってるらしい」
「…………そっそれはどういうことですか!? 城内の守りは完璧だったはずです! それにノア殿下はお強い人です。簡単に殺されるとは私には考えられません!」
突然告げられた残酷な内容に一瞬思考が停止してしまう。
(嘘だ……ノア殿下がお亡くなりになられたなんて……私はこれからどうすれば……)
クロアはその場に膝から崩れ落ちる。
「突然のことで混乱するのは仕方ないさ。けれど落ち着いて聞いてほしい。信じられなければ謁見の間に行くといい。流石にそのままの状態ではないが、父上たちの遺体も騒ぎが広がらないようそちらにおいてある」
ただし、とロアの言葉が続く。
「強く心を持ってほしい。もちろん、国民にもまだ通達していないから決して他言は駄目だよ」
思考が定まらなければロアの言葉も耳に入ってこない。ノアが殺された。クロアの唯一無二であるお方がこの世にもういない。その現実を受け止め切れない。
あの時無理を通してでもどちらか護衛に付くべきだった? いや、あの時のノアの意志は固かった。クロアとノイエが何を言っても結果は変わらず一人で帰ることになっていただろう。
なら命令に背いてどちらか一人がこっそりと後ろからついて行けば良かったのか。
心の内で自問自答が続くが、どんなに考えても結局は結果論に過ぎない。
「……確認して参ります。失礼します」
どれだけ時間が経ったか分からないが、この目でノアの最期を焼き付けるためにクロアは謁見の間に行くことを決意する。
「そうしてくるといい。――兄上の遺体は残念ながらないけどね」
背中越しに声が聞こえたが最後の方はうまく聞き取れなかった。けれどクロアの足は止まることなく進む。城内はいつもと大して変わりない。使用人たちは各々の仕事をこなし、少し変化があるとするならば騎士たちの人数がいつもより少ないことぐらいだろう。
そしてついに目的の扉の前まで辿り着いた。
(ここにノア殿下たちが……)
恐る恐る扉を開けると、鼻を刺激する血の匂いに顔をしかめながらも遺体を探す。
綺麗な白い床は血で染まり見る影もない。
(あれは……)
玉座の横に簡易的なベッドが2つ設置してあり、どうやらそこに遺体が置かれているようだ。
混乱を招かないための処置としてこの部屋から出せない以上今はこうするしかないのだろう。
被せられた毛布をゆっくりとどかす。クロアの予想通り陛下と王妃の遺体がそこにあった。そしてロアが言っていた言葉が真実なのだと理解する。
「っ! 酷い……」
陛下は四肢を失っていた。身体も無数の剣の痕がありそれがより残酷さを引き立てる。今は目も閉じられ穏やか表情を見せているが相当苦しく、痛かったずだ。
王妃は見た限り胸の致命傷以外に傷らしい傷はないが、体から漂う独特な臭いで何があったかを悟ってしまう。王妃であるミルディーヌは20手前でノアとロアを生んだため歳もまだまだ若い。鮮やかであり透き通るような金髪は見るものを魅了し、大人ながらも童顔であるミルディーヌは国民から絶大な人気を誇っていた。
国民がこの事実を知ったとき、想像できないほどの暴動が起きることは間違いない。
(ミルディーヌ様……)
クロアはミルディーヌの手をとり、両手で優しく包み込む。心を落ち着かせるよう目を閉じると、これまでの思い出が走馬灯のように駆け巡る。
クロアにとってミルディーヌは実の母親とでも呼べる存在だ。幼い頃に実の両親に捨てられたクロアは、孤児院の先生に拾われ10年以上そこで暮らしていた時期がある。孤児院の暮らしには不満もなく、けれど充実した日を送れているかと問われればすぐに頷くことはできなかっただろう。それも仕方のないことだ。当時のクロアの年齢でむしろわがまま一つ言わないことがおかしい。他の子供たちとは年相応の無邪気さを持ち合わせていたがクロアの表情が変わることはほとんどなかった。
そしてクロアに転機が訪れる。
――ある日クロアと先生が2人で部屋の掃除をしていたときのことだ。ちょうどいい機会だと思った先生はある話を切り出した。
話の内容は学校に行ってみないか、というものだった。
アステリア王国には孤児院の子供たちでも勉強することができるように、孤児院の先生からの推薦があれば支援金を出す制度が設けられていた。もちろん本人の意思を尊重するのが第一だ。年齢の割に子供っぽくもなく物静か――悪くいえば性格も暗かったクロアは、子供たちからも気味が悪いと陰口され、充実しない毎日を送るだけの生活に段々と嫌気がさしていた。
そして今、このタイミングでのこの話。偶然ではなかったのかもしれない。
この機会を逃したらいけない。そう思ったクロアは迷うことなく頷いた。
登校初日、クロアはある一人の少年と出会うこととなる。
騎士育成学校。文字通り将来騎士になることが目標な子達が入学している。クロアは別に騎士を目指したくてこの学校に入学したわけじゃない。自分でも目標を決めることができないのなら誰かに示してもらえばいい。そう思い騎士育成学校を選んだのだ。
初日にはクラス分けをするための模擬戦が行われた。クロアの模擬戦は一番最後。孤児院暮らしが長かったクロアは当然の如く剣の振り方は愚か持ち方すらまったくの素人。対戦相手はご丁寧にも試合前に、自己紹介と自分の目標を大声で語っていた。それを観ていた少年少女たちはその人物を尊敬の眼差しで見ている。しかし、ただ1人――クロアだけは苛立ちの篭った眼差しで相手を見据えていた。目立ちたくもなく、ましてや聞きたくもない目標を聞かされる始末。孤独を好み、いつも日陰ばかりの人生だったクロアはこのとき初めて多数の視線に晒され、陽の光を浴びた気分だった。
相手が口上を述べたことで周りはクロアも何か喋るのだろうかと、期待に満ちた視線で一杯だった。けれどクロアは一言も喋らない。審判役も困った表情をしており、周囲もひそひそと何かを言い合っていた。
どんな悪口を言われようとクロアが気にすることはなかった――これまでの自分なら。
所詮自分には日陰での人生がお似合いだ。誰に言われなくとも理解している。自分がここに来るべき人間でないことも。誰かに聞かせるほどの素晴らしい目標があるわけでもない。けれど、暗いばかりの人生は嫌だった……言葉にしたことはなかったが、誰も好きでその人生を歩んでるわけじゃない。ほんとうは多数の羨望の眼差しを受ける少年が羨ましかった。恥ずかしげもなく堂々と語る姿はクロアですら一瞬聞き入ってしまったほどだ。
それでも今この場で語る言葉は持ち合わせていない。だんまりを決め込み試合開始の合図を待つだけだ。
すると突然現れた身なりのいい金髪の少年が、審判に試合を始めるよう促していた。
クロアが横目でやり取りを見ていると、それに気付いたのかこちらに向けて微笑んできた。僅かに顔が赤くなるのを感じ両手で隠そうとしたが、その行動がより恥ずかしいと自覚しなんとか思いとどまる。
やっとのことで始まった試合の展開は意外にも素人同然のクロアが勝利を収めた。クロアは技術不足なため守りは悪手と判断し、唯一自慢できる持ち前の素早さで相手を翻弄し勝つことができたのだ。そのときの対戦相手は負けたのにも関わらず清々しい表情で、「また頼む」と言って去って行った。そんな態度もクロアにはとても眩しく見えた。そして周囲の態度は先ほど違い歓声で溢れ返っていた。生まれて初めて感じる感覚に戸惑いを見せていると、背後に視線を感じた。
振り返ったクロアは近づいてきた人物を見ると顔を顰める。
「初めまして、俺の名前はノアだ。気軽にノアとだけ呼んでもらっていいから君の名前を教えてほしい」
これが後にクロアの大切な存在となるノア殿下との邂逅だった。
ノアが当時身分を明かさなかったことがよかったのか、時折騎士学校に顔を出すノアとクロアは次第に友人と呼べるほどまでに仲良くなっていった。最初は無愛想な態度をとり警戒していたがそれでも構わず何かと喋りかけてくるノアに、いつの間にか少し心を許しているクロアがいた。もちろん周囲の人間はノアの正体に気付いていたがクロアが人を寄せ付けない雰囲気を纏っていたため、クロアが知ることになるのは1年ほど経ったとき――王城に招かれたときだ。
初めてノアの正体が自国の王子であることを知り驚いたクロアだったが、初対面のときからいいご身分なのだろうと思っていたこともあり驚きは少なかった。それでも王子などとは夢にも思わなかった。
そのままなぜかご両親――国王と王妃と挨拶することになり、珍しく慌てているクロアがいた。
クロアはなぜか王妃――ミルディーヌに好かれ、最初戸惑っていた部分もあったが孤児院の出だと知ったミルディーヌが母親のように接してくれたこともあり、直ぐに馴染むことができた。
「私は……私には目指そうと思う目標がないんです。孤児院に居たときからずっと変わりません。お願いですミルディーヌ様、どうか私に道を示してもらえないでしょうか?」
自己紹介の後、クロアは今まで悩んでいたことをすんなりと口にしていた。
「そうですね……クロアさん――いいえ、クロア。無理に大層な目標を決めなくても大丈夫ですよ。別に目標が小さくとも、それが自分にとって意味あるものだとしたらそれは立派な目標じゃないですか? どんな些細なことだっていいんです。 ……たとえば毎日早寝早起きをするとかですね」
「え……」
「ふふっ、ちょっと例えが極端すぎちゃいましたね」
ポカンとした表情を浮かべるクロアにミルディーヌは思わず笑ってしまう。
「あなたは今騎士育成学校に通っているのでしょう。だったらこういったのはどうでしょうか――」
そういってクロアの耳元で何かを囁く。突然近づかれたことにより、とても安心できる匂いに包まれ動揺してしまったが、それ以上に言葉の内容に驚かされた。
「その……大変素晴らしいことだとは思いますが私にそれが勤まると思いません。他に適任である人が沢山いるかと思うのですが……」
「もちろんあなたの意志で決めることなので、これ以上私から何かを言うつもりはありません。けれど……あの子の母親の立場から言わせていただくと、あなたみたいな子が居てくれるほうが私としては安心です」
ちらりと息子であるノアを見やり微笑むその姿は、子を守らんとする1人の母親だった。
「私なんかの助言でよければいつ相談してもらってもいいですからね? あなたはもう私たちの家族みたいなものなんですから」
「ぐすっ……はい……ありがとう、ございます」
ミルディーヌがクロアを胸元に引き寄せると、優しく抱きしめる。
その光景はどう見ても親と子の抱擁以外には見えなかった。
この日を境にクロアはミルディーヌが用事で居ない時以外は、ほぼ毎日のように王城へ足を運ぶようになり、他愛のない会話に花を咲かせていた。
そして、必然とノアとの仲も深まりいつしかクロアは本格的にミルディーヌから護衛を頼まれるようになる。
もちろん断ることもなく、あの日からクロアはノアの従者になることを目標として頑張ってきたのだ。その努力がようやく報われた瞬間であった。
(ミルディーヌ様ごめんなさい……私が判断を誤ったばかりにノア様も守れませんでした……)
床に小さな雫がポタリと落ちた。頰を伝って滴り落ちるそれは時が経つに連れ勢いを増して行く。
多少の覚悟をしていたが、それを遥かに超える現実がクロアの感情をより黒く染める。
真面目で護衛として優秀なクロアだが、歳も若いため精神的に未熟なところもまだみられる。
今回の出来事を受け止めるには若すぎた。それ故に黒く染まり続ける感情によって復讐者と成り果てるのは致し方ないのかもしれない。
「……殺してやる」
国王と、母親のように接してくれたミルディーヌが無残にも殺された。やり切れないこの思いをぶつける標的――復讐の相手が必要だ。
もちろんそれはユルヤード法国に他ならない。ユルヤード法国は人族至上主義を掲げている国であり、魔族及び魔族の血がほんの少しでも流れている者の存在を許さない国だ。現在では魔族も絶滅してしまったと言われているが、魔族の血が完全になくなったわけではない。人間との間にできた子供が1人でもいれば血が受け継がれていくからだ。見た目では人間と大差ない魔族をどうやって見分けて殺しているか分からないがなんらかの方法があるのだろう。
「ノア殿下が見当たらない……」
ふと我に返り、辺りを探すがノアの遺体がどこにもなかった。
(もしかしたらまだ生きてるかもしれない!)
この時、復讐に囚われそうになったクロアの心を引き止めたのがノアの存在だった。確かに公国は憎き相手だが一番辛いのはノアのはずだ。自分が勝手な行動をして迷惑かけるわけにはいかないと思ったのだ。
ゆっくりと遺体を隠してあった毛布を元に戻すと、一刻も早くノアに会うため駆け出した。
扉に手をかけ開けようとすると自然と扉が開き、現れたのはロアだった。
「ああ、確認は終わったみたいだね。事はとても重大だ。君にも僕の従者となってノイエと協力してほしい」
玉座の方を一瞥するとすぐに視線を戻す。
「それが……ノア殿下の遺体がどこにも見当たらないので、ひょっとしたら運良く助かったのかと思い探しに行くところでした」
「いや、確かにこの目で見たが死んでいたはずだ。この場に遺体がないのは、法国が何のためか分からないが持ち去ったんだ」
「持ち去った……法国の者は未だ見つかっていないのでしょうか? もしまだ捜索中であれば是非私に任せて下さい。連れ去ったのならまだノア殿下が生きている可能性があります」
(ロア殿下はこう仰っていますが万が一のこともあります。ミルディーヌ様との約束を守るためにもここは引けません)
「う〜ん……わかった。けど、法国の者が潜んでいて今度は僕が狙われることになるかもしれないからノイエは借りるよ」
クロアの意思が揺らぐ事はないと思ったのか、ロアは渋々ながらも許可を出す。
「許可していただきありがとうございます。ノイエは明日以降に王都に戻るかと思われますので、それまでは誰か他の者をお側に置いてください」
ノイエは向こうでエレーナを探しているが、そちらの問題は解決し、より深刻な事態が発生しているのをまだ知らない。
「できればクロア、君が良かったんだけどね。君なら僕も安心して表を歩くことができる」
「私はノア殿下の従者ですので……それにノア殿下をお守りすることができませんでしたので他の者がよろしいかと」
それにしてもロアは城前であった時から悲しい表情を見せたことがない。口では何だかんだ言ってても、 実際に家族が亡くなれば平気で居られる人間は少ないだろう。それに法国の者の手によって殺されたとなればなぜロアは殺されなかったのか。
いくつか疑問は残るがとりあえず今は後回しだ。
(辛い気持ちを表に出さないよう振舞っているのかもしれませんね……)
けれど、事実は残酷だ。
(あぁ、早く君もほしいよクロア。君のその美しくも可愛らしい容姿はまさに僕の隣に相応しい)
ロアは死んだ家族のことなど考えておらず、次の獲物のことしか頭にない。
クロアは自分の容姿が優れていると思った事は一度もないが、周囲の評価は違う。
綺麗な黒髪を肩で揃え、また、パッチリとした目に薄くも張りのある唇も艶かしい。スタイルも細すぎず太りすぎず程よい肉つきに胸も人並みにある。
性格も昔と違い多少明るくなっているため人間関係も良好だ。
ノアが近くにいなければ既に何度も告白を受けていたに違いない。
「それでは失礼します」
「捜索は陽が暮れるまででいい。どのみち結構な時間も経っているから周辺にはいないだろうしね」
「承知しました」
クロアの姿が見えなくなると同時にロアが纏っていた雰囲気が一気に変化する。
「中々思い通りにいかないもんだね。まあいいさ、エレーナの次はノイエ、そして最後にクロア。これであいつの大事なものは全て僕のものになる。っふふふふふあはははははは!!!!」