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助けてっ・・・
ガッ、ガッ---。
「そんなっ、うそでしょ!?」
あたしの目の間にはぼろ小屋の取っ手がある。だが、その取っ手の先のドアは押しても引いてもあたしを中へ受け入れようとしてくれない。
「あけっ、あけよ!!」
ガンガンと取っ手を握りこじ開けようとする。なんでよりによってこのタイミングで開かないのだ。中で道具が邪魔しているのだろうか。さっきまでは開いていたわけだから、開くはずなのだ。開くはずなのに・・・。
---ガサッガサッ。
アイツが来てしまう!早く!早く開け!!開け!!!
「はやくっ!!!!!」
---ガコッ
あたしの思いが通じたのだろうか、ドアの向こうで木の鈍い音がなり小屋の中へドアが開いていく。だが、ドアの先に希望は待っていなかった。
あたしが見上げた先には熊のような体躯の男が立っていた。腕が太く、肩回りが服の上からでも分かるほど隆起している。貴族の用心棒や傭兵でよく見る体格であった。どうやらここは熊男のものだったようだ。後ろを振り向くとアイツがやってくる、前門の熊後門の狼であろうか。