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死に様こそ優美であれ
ふと我に返った
今外では将兵達の阿鼻叫喚が聞こえている
「人生50年か……ふふ、儂は少し長く生きすぎたのやもしれぬな」
ここを攻めている悪大将は敦盛を好んでいるらしいが
「68年は長かったのう」
儂はここ信貴山城で果てる
「それにしても、ここまで平蜘蛛に拘るとは、粗雑そうに見えてなかなか見どころがあるのう武野紹鴎殿と会わせてみたかったわ」
さて、冥土への駄賃に平蜘蛛とこの城は頂くぞ
「儂の生き様を見よ! 織田上総介信長!」
『裏切りは戦国の華なりや』
儂が咲かせたのは悪の華
その華が本当に悪に塗れたものか
それは儂が決めることだ
「弾正は今、そちらへ向かいまする、聚光院様、瑞応院様!」
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信貴山城天守閣
戦国の異端児が築いた異端の城、そしてこれからの城の見本となる城
それは一人の梟雄と最後を共にした
その梟雄の名は
松永霜台道意
またの名を
松永弾正忠久秀