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忘れモノ屋  作者: 棗 祥
5/5

1-5:理由

私は絶句したのち、一目散に店から飛び出した。後ろを振り向かずに…


ひどい…


ひどいひどい…


ひどいひどいひどい!!!

美佳はずっと友達だって…そう思ってたのに…!



私は、走った。走って、走って、美佳の家まで走った。


ピンポーン…ピンポーン…

「は〜い。」 ガチャガチャ

「!香菜子じゃん。どうしたの?」

「ハァハァハァ…。か…えして…。」

「え?何?」

「返してよ!教科書も!消しゴムも!」

「な…何言ってんの?香菜子自分で無くしたんでしょ?人のせいにしないでよね。」

「嘘つき!もう…全部知ってるんだから!」

「え…。何それ。トイレ行く振りしてずっと見てたわけ?感じわる〜…。」

「それは美佳じゃん!他の人と悪口言って…最悪だよ!」

「…香菜子だよ…。最悪なのは!」

「はぁ?何言ってんの?」

「香菜子がいつもあたしといたのに、このごろどんどん離れていっちゃうからいけないんだ!!!」

「何言ってんの?あたしが言いたいのはね…」

「だから、隠したの…。寂しかった…。それに気づいて欲しかった…。」

「美佳…。だからって…。」

「悪いって思ってた…けど…。美佳に気持ち知ってほしかったんだもん…。」

そう言うと、香菜子は泣き出した。

「美佳…。ねぇ…。なんかごめんね。美佳がそんな気持ちだなんて知らなかったから…。言ってくれればよかったのに…。」

「…言えなっ、かっ…た んだもん…。」「うん…とりあえず、教科書とか持ってきてよ…。」

「…わかった…。」

香菜子は家に入って行った。


香菜子はどんな気持ちで最近私の事を見ていたんだろうか…?

寂しいって気持ちを押し込めて…私を見ていたんだろうか…?

気づかれないように私の前では笑っていたんだろうか…?

気づいて欲しくて隠して、隠して見つけてほしかったのね…。


ガチャ…

「これ…。本当にごめん…。」

「うん…。私…私も、香菜子に対して少しこのごろ冷たかった…。だから、ごめんね。」

「ううん…。」



そして、二人は少し笑った。



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