11 デートしてた
高木さんは天使だった。
感情を言語化してもらえた私のテンションは狂った。弱った心にクる。
(まさにそれ。言いたかったの、それ。もっと正確に言うとおれの場合はこうで…って詳細を伝えたいな…聞いてもらいた…いや止めとこ。高木さんのこの感じなら普通に聞いてくれそうだけど、おれ理屈っぽいらしいし今ヘロヘロだから心のままに語ったら止まらなそうだ。
もてなしたいのであって、疲れさせたいわけじゃない。ここは引かねば。いったん風呂入って落ち着こう)
脳内は浮かれっぱなしだが、口は平静を装って今後の動きについてを尋ねていた。淡々と話し合いつつ…脳内はフェスティボゥ。
(あと、「付き合ってください」ってのが、まるで付き合ってくださいって聞こえてイイ。告白されたみたいでイイ。男女交際的な。特別な関係になりませんか?的な。いやさすがに意味が違うと分かるけど。
でも両想いなんだよな。じゃあデートといえるのでは? えっ。じゃあさっきの一緒に使い切る約束はつまり事前予約のお申込み。
デート…人間さんの番がもつ習性。あ。おれも人だ。ということは…そうか、番なのか。高木さんとおれが。番。…。あー…っ↑)
言動おかしいヤツにならないよう気をつけながら、この後むちゃくちゃデートした。…とはいかなかった。
なにせ入り用の物が下着、行く場所が風呂。必然的に、まずは別行動となった。
(事前チャージの電子マネー、おれ初めて買ったな。会計、あっけなさすぎてなんか心配…)
とりあえずマックス額を入れたカードを2枚つくって(女性物の相場わからないし。草間は「布ペラッペラで質が良くないのに割高」って言ってた気がするし)、待ち合わせの時間と場所を決めたらいったん解散した。
着替えやらタオルやら使い捨てひげ剃りやら、適当に買って向かったら、待ち合わせの時間よりかなり早くついてしまった。
小さな広場にはベンチが並んでいるが、ほぼ埋まっていた。
平日の午後だ。さほど混んではいないが、人間さんもパーソナルスペースを重視する生き物だ。三人掛けベンチの真ん中が使用中なら座り辛い。
(まぁいいか)
座るまでもないかな、と思ったおれは、とりあえずマスコット像の下に向かった。
巾着袋モチーフの謎生物像はでかい。目立つ。
そばで立って広い通路を見渡した。
左右にはテナントが並び、人間さんたちがまばらに行き交っている。
ふと、その中に高木さんが見えた気がした。あれ?と思って目を凝らすと、やはり。そのまま観察していると、どうにも何かを困っているように見えた。




