表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

必要な優しさだけ

作者: P4rn0s

夜中に目が覚めないように、寝る前に御手洗へ行く。

大した理由じゃない。

ただ、起きてしまうと、そのまま眠れなくなるのを知っているから。


布団に戻る前、机の上のペットボトルを手に取る。

全部は飲まない。

少しだけ残す。

朝の自分が、喉の乾きに慌てなくてすむように。

未来の自分に向けた、最低限の配慮。


部屋を見渡す。

散らかったままの床、読みかけの本、充電中のスマホ。

全部、今すぐどうにかしなくてもいいものばかりだ。

今日はもう、頑張らない日。


眠るために、立ち上がって明かりを消しに行く。

スイッチに伸ばした指が、一瞬だけ迷う。

暗くなったら、考え事が始まるのを分かっているから。


それでも消す。

夜を受け入れるしかない。


布団に潜り込みながら思う。

誰かを救えるような優しさは持っていない。

世界を変えるほどの言葉も、慰める才能もない。

あるのは、夜中に起きなくてすむようにする工夫と、

朝の自分が少し楽になるための水だけだ。


でも、たぶん、それでいい。

少なくとも、自分を壊さないための優しさではある。


何もできなかった日でも、

何も成し遂げられなかった夜でも、

こうして自分を次の時間帯へ送り出すことはできる。


これくらいの優しさしか持ち合わせていない。

けれど、これくらいの優しさがなければ、

今日を終えることすらできなかった気がする。


明かりの消えた部屋で、

残された水と、静かな呼吸だけが未来に残る。

それでいい。

今日はそれで、十分だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ