表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
交差の魔導士  作者: オズ
29/29

第3部 交差の魔導士 外伝(無限と共に) ep.4 交差の円環

『交差の円環』

ソラはメビウスの子を宿していた。

やがて、ソラは五つ子を産んだ。


成長した四人は、やがて荒野を離れた。

世界の各地へ魔力を伝え、光・闇・火・水―― それぞれの世界の礎となっていった。


残る一人は、荒野に留まった。

レイ、メビウスの面影を残す彼。


ソラは、荒野の未来を彼に託す。


そして、再び旅立つことを選ぶ。答えを探すために。終わりなき問いの、その先へ向かうために。


別れのとき、ソラは一つの粒石を差し出した。それは、かつてメビウスが持っていた粒石だった。


「もし、私が必要になったなら――この粒石に願いなさい。

 そうすれば私は、風と共に帰ってきます。

 あの岩肌のドラゴンの壁画へ――」



――そして、数千年の時は流れ、

ソラは、メビウスの外套を纏い、なお旅を続けていた。


ふと、ソラは、自らの奥底に眠るドラゴンの声を聞く。


それは、ニースを救うべく、ドラゴンの覚醒を願う、風の王――カイラスの祈りだった。


ソラは、立ち止まり、振り返る。

次の瞬間、彼女の身体は一陣の風となり、空へと舞い上がった。



――風の国。

恋人も家族も失い、ニースは、後悔、悲しみ、憎しみを超え、心は崩壊していた。ニースはすべてを放棄するかのように、戦場の真ん中で立ち尽くしていた。

復讐心に満ちた魔導士たちが殺到して、ニースを目掛けて迫ってくる。


そのとき――

崖の岩肌に刻まれたドラゴンの壁画に、激しい暴風が叩きつけられた。

ドラゴンの目に、光が灯る。

岩から離れ、翼を広げ、ドラゴンは羽ばたいた。


そして、ニースの元へと舞い降り、その身で包み込むと、迫りくる魔導士たちを烈風とともに吹き飛ばす。

その羽ばたき一つで戦場の空気を一変し、ドラゴンはニースを抱え、空へと舞い上がった。

その飛び立つ暴風は、光の魔導軍を一掃していた。


――ドラゴンが飛び立った崖は崩れ、巨大な穴が口を開けていた。


その底に残されていたのは、ソラが着ていたメビウスの外套――

そして、その上に落ちていた、ソラの、テセウスのネックレス。

ネックレスから衝撃で外れた一粒の粒石が、静かに転がっていた。



――そして、数百年後。


洞窟で迷った少年レイは、その粒石に心を奪われる。

落ちていた外套を纏い、粒石を懐に収め、彼は洞窟を後にする。


因果は閉じ、時空は輪となった。




その数年後、最果ての地にて ――


世界の崩壊が迫る中、ソラとレイは、必死に抗っていた。


次の瞬間、── 大爆発が起きた。


ネイピアとインフィニスは、爆発に吹き飛ばされ、立ち尽くす。

辺りには、崩壊を免れた世界の姿があった。


「……二人が死んだことで、世界は救われたの?」

涙ぐむネイピア。


「泣くでない……あの二人が、簡単に死ぬものか」

インフィニスはソラの形見である古文書を取り出し、それを見つめながら言う。

ネイピアのもとに、傷が癒えてないながらもスカイドラゴンが舞い降りてくる。

スカイドラゴンは、その古文書を見つめ続けるのであった・・・。



――ネイピアとインフィニスは、しばらく大爆発の跡を離れられずにいた。


まだ傷の癒えないスカイドラゴンは、傷だらけの顔でインフィニスの手にある古文書を、なぜか愛おしむように見つめ続けていた。

やがておもむろに古文書に呼び掛ける。


「やっと会えたわね。レイ・・・。」


古文書の中で眠っていた精霊は、静かに目を覚ます。

そして、その声はスカイドラゴンにだけ届いた。


「ああ、ソラ・・・。言っただろう。僕たちは、“交差”する運命、いや・・・


―― ずっと一緒だったんだね ――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ