隣人のニナおばちゃんが現れた
「今日はいい天気で良かったわね、フレッドちゃん。ポカポカしててお散歩日和だね。どう? 最近。魔法はもうすぐ使えそうかな? でも、最近は剣のお稽古もいっぱいしてるよね。そっちの方が興味あるのかな? お父さん、とっても強いもんね。お父さんに教えてもらえば、フレッドちゃんもすぐに強くなれるね! あ、お母さんの体調はどう? そろそろ産まれるんだよね? お兄ちゃんになるんだから、カッコいいところ見せるためにも、頑張らなきゃね!」
隣人のニナおばちゃんが現れた。
この人の何が凄いかって、俺はまだ言葉を一言も発していないのだ。
相槌さえ打っていれば、無限に喋ってそうで怖いのだ。
「もうすぐ産まれるって、おばあちゃんが言ってたよ」
さすがに何も言わないのは失礼なので答えておく。
「男の子なのかな? 女の子なのかな? フレッドちゃんはどっちがいいと思う? やっぱり、可愛い女の子かな? きっとお母さんに似て、美人に育つだろうね。楽しみだね」
質問しといてこれです。この相手に答える隙を与えないマシンガントーク。ずっとニナおばちゃんのターン!
「お兄ちゃんなんだから、妹を守れるように強くならなきゃね。強い男の子はとってもカッコ良くて、モテるんだよ! ほら、お父さんも美人なお母さんを射止めたでしょ? フレッドちゃんもお父さんみたいに強くなったら、お母さんみたいな綺麗な人と結婚できるね!」
四歳児に結婚相手の話は早くないか? それよりニナおばちゃんこそ早く相手見付けて落ち着いてくれ。
まだ二十代だろ。いつまでもジェームズ追っかけてないで他を当たれ! ジェームズの事が好きなの知ってるんだぞ。
確かジェームズが二十五でニナおばちゃんが二十六だっけ。年齢的にはお似合いだけど、中身がおばちゃんだから振り向いてもらえないんだぞ。
道端で井戸端会議を始めるのはもうおばちゃんなんよ。貫禄出てんのよ。
「ほら、ミーナちゃんなんてどう? きっと、美人さんになるよ!」
ミーナとはニナおばちゃんの姪っ子である。自分の親族をあてがい、少しでもジェームズとお近づきになりたいという魂胆が透けて見える。
妹に先を越されたからって焦りすぎなんですよ。
普通にしてたら嫁の貰い手くらいありそうなもんだが……。
「まだ早いよ。将来なんて、わかんないし」
「そうかな? 早い方が絶対いいよ! 今からでも努力すれば、ミーナちゃんもきっと、フレッドちゃんのこと気に入ってくれるよ!」
それをニナおばちゃんが言うのか。
そもそもミーナって去年産まれたばかりだろ、いい加減にしろ!
「だから自信持っていいよ! フレッドちゃん、頑張り屋さんだもんね」
もう無茶苦茶だよ。何なんだこの人、無敵か?
「あっ、お父さんとジェームズ君、お稽古始めるみたいだね! フレッドちゃんも見学するんだよね?」
見るけども。
また質問しといて勝手に行ってしまった。
ほんと、何なんだろうな、この人。
次回の番外編は悪魔との戦いを予定しております。




