46話 野盗?
アゼリア侯爵の件も片付いたので、今日中にアゼリアブルグを立つことにした。
その事をエリクトルに伝えると、ここに残って研究を続けるとのこと。
まあこの街の図書館はデカいからな。研究も捗るだろう。
そしてディーグへと向かうのだが、理由はこのセレスからの手紙。
思った通りと言うか……謝罪の言葉と共にディーグへと戻る旨が綴られていた。
謝らなきゃいけないのはこっちなのにな。なんか情けなくなってきた。
謝るなら早い方がいいだろうと急ぎ足でディーグへ向かっていると、変な奴に絡まれた。
「吾輩は野盗である! 持ち物全て置いて行くがよい!」
なんとも自己主張の強い野盗である。
そもそも野盗の癖にちょっと装備豪華じゃない? 君、本当に野盗か?
まあアゼリア侯爵から貰ったジョワユーズの試し斬りができそうだ。
「かかって来いよ、おっさん」
剣を抜き、構える。
「いい度胸である!」
おっさんの攻撃を剣で受け流……そうとしたら相手の剣が斬れた。え、なにこれヤバい。
さすがにこの剣、危なすぎでしょ。俺が持ってて大丈夫?
おっさんが動揺している。うん。分かる、分かるよその気持ち。
なぜなら俺も動揺してるからな。ジョワユーズさんパネェ。
(フレッド、交代だ)
(え?)
気付くとおっさんが逃げようと走り出していた。なにあれ、すげえ速い。
しかしジェリカの速さには勝てず、足の腱を切って動けなくした所で試し斬りは終了した。
(こいつなんなんだろう)
(恐らく帝国の兵士だ。関所を奪還されて戻るに戻れなくなって野盗化したのだろう)
(なるほどなあ。で、こいつどうしよう)
途方に暮れていると、数人の兵士が馬に乗ってやってきた。
「協力、感謝する」
なんでも野盗化した帝国兵の討伐に向かっても、このおっさんだけは逃げ足が速くて捕まえられなかったらしい。
確かにこいつの足は速かった。俺では追い付けないだろうし、馬でもたぶん無理なんじゃないかな。森に入られると確実に取り逃がしそうだ。
おっさんを引き渡すと、なぜかその場で報奨金が出た。
もしかして監視されてる? それともこうなること予想してた? アゼリア侯爵こわい。
まあ考えるだけ無駄だ。どうせ分からないだろうし、追及したところで俺の肩身が狭くなりそうだ。
怖い人に目を付けられたくないし、何も知らなかったことにしよう。
それよりも早くディーグに行かないとな。この決意が揺らぐ前に!
次回から終章に入ります。ブクマや評価、感想など頂ければ幸いです。




