43話 悩み事
散々な目に遇ったが、なんとか無事コルディアまで戻ってこれた。
森を抜けた辺りで追うのを諦めたらしい。さすがに戦う魔力は残っていなかったのだろう。
一つの身体に二つの魂という利点が最大限発揮された形だ。化け物も魔力が尽きればただの人、って事である。
でもまあガインとか言う奴の足が速ければ詰んでいた。
ジェリカは敏捷特化みたいなところがあるから、おかげで何とか逃げ切ることができたのだ。
俺とジェリカが交互に休憩することで、魔力が尽きることなく走り続けられたのはデカい。ずっと身体強化してたらまた気絶コースまっしぐらである。
とはいえ身体は一つなのでまた筋肉痛になり、宿屋に引き籠っている。
でも今回はそれだけではなく、ちょっと悩んでいる事があった。
(やっぱり、ちゃんと謝るべきだよなあ)
セレスの事である。
あの時の俺はどうかしていた。
周りが見えなくなっていたっていうか、引き留めるセレスを鬱陶しく思ってしまった。
そりゃ普通止めるよな。だって本当に危ないし。実際、死んでてもおかしくなかった。
(あれがフレッドの本心で無いというなら、しっかりと伝えた方がいい)
(そうだよなあ。でもなぁ……)
どうやって切り出せばいいのか。
セレスはずっと俺のことを気にかけてくれていた。それは分かっていたはずなんだが、どうにも素直に受け入れることができなかったのだ。
(セレスならば謝罪を受け入れてくれるだろう。フレッドの気持ちをそのまま伝えればいい)
(そう……だよな)
セレスが良い奴なのは知っている。謝れば許してくれるだろうことも。
ただ、どこまで話していいものなのか。
たぶんセレスは謝ってほしいんじゃなくて、打ち明けてほしいと思っている。俺の過去をある程度は察してる気がするんだよな。
そこで色々と隠して謝っても、セレスをまた傷つけてしまうだろう。形式だけの謝罪はただの自己満足だ。
二日ほど悩んだが、意を決した俺はセレスを探すためギルドに向かった。職員に聞けば何か分かるだろう。
「セレスという人物はまだこの街に居ますか?」
「あなたがフレッドさんですね。セレスさんから手紙を預かっております」
手紙を受け取る。
内容はまあ……読まなくても大体は察する。
「それと、アゼリア侯爵閣下からの言伝を預かっております。『アゼリアブルグで待っている。いつでも寄ってくれたまえ』とのことです」
あれ? 俺、今度こそやっちゃった?




