32話 筋肉痛は痛い
目が覚めるとそこは……どこだろう。天井が見える。
起き上がろうとしたら激痛がした。筋肉痛のようで動かしたくないくらいに痛い。
でもベッドの上だということだけは理解できた。
確か……そうだ悪魔だ。あいつはどうなったんだ?
思い出そうとしても戦闘の途中からの記憶がない。
うーん、相手の手首を切り落としたと思ったらすぐに生えてきて「チートじゃん!」って思ったところまでは覚えてる。
それまでは相手の攻撃は全部受け流して一発も食らってなかったし、勝ったとは思うんだが……。
(ジェリカ、居るか?)
暫く経っても反応がなかった。
どうしたんだろ? と思っていると扉が開く音がした。
「あ! やっと起きた!」
セレスである。
なんでこんな所に居るんだ? ここがどこか知らないけど。
「良かった……。フレッド、二日も寝てたんだよ?」
「そんなに寝てたのか。ここはどこだ?」
「まずは自分の身体の心配しなよ」
「筋肉痛で動くとかなり痛い、ってくらいで他は大丈夫だと思う」
「そっか。小さな切り傷はいっぱいあったみたいだけど、大丈夫そうならよかったよ」
なんでもパーティメンバーのネリアが治癒魔法を少し使えるから陣地で待機していると俺が運び込まれたらしい。
軽い切り傷程度だったから身体はその場で治したけど、意識が戻らないのは魔力を使い過ぎたせいだろうと。
まあそれもその内目を覚ますから心配要らないってことで、戦闘が始まる前にコルディアの街まで運んできたらしい。
という事はジェリカもその内起きるってことか。良かった。
俺が気を失ってからも一人で戦ってたんだな。また助けられてしまった。
「そんなことよりフレッド! いっつも危ないことしてるけど、今度はなにしてたの?」
「護衛してたら知らない人に襲われた」
嘘は言ってない。人かどうかは諸説ある。
いや、どちらかといえば襲ったのはこっちだけど。
「やっぱりパーティ組みなよ。ほら、一人じゃ危ないでしょ」
確かに今回の敵は強かった。斬っても斬ってもダメージを与えられた気がしなかった。
だから最大限に強化して手首を切り落とす事はできたけど、まさか生えてくるとは思わないじゃん。
「あっ! 起きたばっかりだよね、お腹空いてない? 作ってもらってくるね」
それだけ言うとパタパタと駆けて行った。
それにしても全身が痛い。
これは暫く剣の修理はできそうにないな。
そもそも戦争が終わるまでは……そもそも戦争してる相手の国に行くのも……と色々考えてる内に、セレスが料理を持って戻ってきた。
「どう? 自分で食べられそう?」
「……自分で食う」
痛い。けど、さすがに食べさせてもらうのは恥ずかしいので我慢するしかない。
「……おいしい?」
「うん」
「そっか。よかった」
それにしてもジェリカはいつ目を覚ますんだろう。
アリストア大森林を突っ切るにしても、俺一人じゃ絶対無理だろうなあ。




