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ふたつの転生~異世界行ったら憑りつかれてたけど、どうやら賢者の転生が失敗したらしい~  作者: 半分のリング
4章 交差する物語

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30話 描かれた魔法陣の行方は

 解析は完了した。

 後はどうやって解除するかだが、魔法陣の力がないと難しい。


 魔法とは想像力の産物である。

 より強く、よりはっきりと細部までイメージすることで魔法の効果が増大する。

 そして、それを大きく補助してくれるものが魔法陣なのだ。


 魔力を込めながら時間をかけて描いた魔法陣は、とても大きな手助けとなってくれる。

 しかし、今の私には魔法陣を描くための身体がない。

 ならばどうするか。私はまた、とんでもないことを考えている。


 想像という魔法の力で、魔法陣を描こうという結論に至った。

 初めての試みであった。だが、やってみる価値はある。


 複雑な構成の魔法陣を想像で描くのだ。それにはどれ程の集中力を要するのか。

 ほんの一瞬でも集中を乱せば、魔法陣は即座に瓦解するであろう。

 それでも私は試してみたかった。魔法という深淵を覗いてみたくなった。


 私は深淵を覗き見ることに没頭した。




 魔法陣が完成し、発動させる。

 虚空に描かれた魔法陣は、リョウヤの魅了を完全に取り払った。


 私は自身の理論の成果に大変満足していた。リョウヤの異変に気付いたのはその時だ。


 リョウヤから漏れ出た何かが上空で一つの形を作る。

 二本の角。紫の肌。黒い瘴気に包まれた、人の形をした人ではないもの。

 私はそれを知っていた。

 人の負の感情を糧にしてこの世に顕現する悪魔と呼ばれるもの。莫大な魔力が必要とされるため、出現することは滅多にないはずだった。


 私の魔力に反応したのか……。


 今のリョウヤは正気ではない。悪魔の囁きによって、負の感情を増大させられている。

 悪魔を狩れば正気に戻るだろうが、今の私は魔力を消耗しすぎていた。

 あれを放置しておくには危険すぎる。そう思っていた時――。


 まるで空を走るようにして駆けていく少年の姿があった。

 アンジェ以外にもあんな芸当ができる人物が居たのか。そう思い、彼をよく観察すると……。


 この私が見紛うはずがない。あの魂の姿はアンジェリカそのものではないか。

 やっと巡り合えた。こんな形になってしまったが、ようやく私は彼女を見付けたのだ。

 勇敢に戦うその気高き魂。私の唯一、愛する女性。それが目の前に居る。


「殺す殺すころす殺すコロスコロス殺す」


 リョウヤが走り出す。アンジェから遠ざかっていく。


(アンジェリカ――)


 今の私にはなんと遠い。

 すぐそこに居るはずなのに、私にはどうすることもできないのか。




 やがて全ての魔力を使い果たしたリョウヤは、アリストア大森林の中で気絶した。


 そして私の意識が表層に浮かんだ事で魂が完全に繋がり、身体の主導権を手に入れたのだが……。


「もうこれ以上は動けん」


 身体も魔力も極度に消耗して一歩も動けなくなっていた。

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