24話 前門の虎後門の狼
セレスたちと別れて半日ほどで目的の村に到着した。一人で身軽だったって事もあり、今日中に少しでも見ておこうと急ぎ足で来た。
ここからだと大陸北部にそびえるラークトルス連峰が見える。そこはフロストドラゴンの生息地らしいけど、間にはアリストア大森林に負けず劣らずの大きな森が広がっているので距離的にはかなり遠い。
そして目的のダイアウルフは、ラークトルス連峰から南に伸びるデミル山脈の麓にある、これまたそこそこ大きな森の外で見かけたらしい。
なんともスケールのデカい話である。
このそこそこ大きな森の中なら探せばいくらでも見かける程度には生息してるらしいけど、森の外にまで出てくるってことは滅多にない。
森の恵みが不足しているのか、異常繁殖しているのか。
まずは森に入って調査しないとな。
見かけた場所を聞いて、そこから森の中へ。
もし家族単位のダイアウルフが浅い場所で見つかったら、ある程度は中に入って間引く必要がありそうだ。
そしてその結果は……。
十六体でそのうち小さいのが七体!
いやーびっくりしたね。浅い場所で家族単位のが見付かったから、ちょっと奥入ったら大量だった。二日かけてこれだけ狩った。
二日目に奥行ったら大きいのが四体も群れててどうしようかと思った。さっさと親離れしてくれって。
そこはまあ俺のチート能力ジェリカさんにご登場してもらったんだけど。
ジェリカはやっぱり凄い。相手の攻撃を剣で受け流すのが巧い。
爪やら牙やら突進やらを全部、相手の軌道を逸らすように受け流してた。
タイミングや角度なんかを上手く調節してるのかな。俺もできるようになりたい。ちょっとカッコいいし。
夕食はちょっとした宴会になった。
その時、商人に護衛を頼まれた。ちょっと大きな木箱を大事そうに抱えたおっさん。
普段はこの辺の村を回って商売してるらしいけど、なんでも貴重な物を手に入れたから街に売りに行くらしい。
二つ返事で引き受けて、翌日にディーグへと出発した。
その途中、歩きながら辺りを警戒していると、後ろから何かが飛んでくるのが遠くに見えた。
「後ろから何か来てるんで気を付けてくださいね」
と、指をさした先を見た商人の顔が真っ青になっていき……大事そうに抱えてた木箱を投げ捨てた。
呆気に取られていると、馬車を飛ばして走り去ってしまった。
木箱の中身が飛び出している。後ろには羽ばたく大きな音。
前門の割れた卵、後門のフロストドラゴン。
あれ? もしかしてこれ、まずい状況?




