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ふたつの転生~異世界行ったら憑りつかれてたけど、どうやら賢者の転生が失敗したらしい~  作者: 半分のリング
3章 踏み出せない心

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21話 停滞

「これが討伐証明です」

「はい、確認させていただきます」


 俺は変わり映えのしない日々の中を過ごしていた。

 毎日足しげくギルドに通い、討伐依頼を中心に熟している。金が無ければ生活が成り立たない。だから金を稼ぐ手段として、王国北東部に位置するアゼリア領ディーグの街で冒険者生活をしている。


「お待たせしました。報酬は持ち帰られますか?」

「いえ、預かっておいてください」

「かしこまりました」


 ギルドは銀行のような役割も果たしてくれる。預けたギルドでしか引き出せない決まりだが、それでも盗難の心配もなく貯金ができるのはありがたい。


「おっ、フレッドじゃーん。今日はなんの依頼してたの?」


 今しがた館内に入ってきた集団のうちの一人に声を掛けられた。

 とりわけ仲が良いという訳ではないが、見かけるとちょくちょく声を掛けてくる。


「キラーマンティスの討伐」

「危ないやつじゃん! そんなの一人でやっちゃダメなんだぞー」


 この世界の生物は魔力を宿して産まれてくる。

 その中で稀に、魔力異常を起こした"変異種"と呼ばれる個体が現れることがあるが、それは通常個体よりも強くて凶暴だ。キラーマンティスもそのひとつ。

 自身の魔力に耐え切れずに死ぬため、寿命は極めて短い。

 なので放置しても問題ないことが多いが、俺はできるだけ狩るようにしている。


「おーい、セレス。早く始めようぜ」

「はーい、今いくー。それじゃフレッド、またね」


 ギルド内に併設された酒場にいる仲間に呼ばれ、セレスは走って行った。


「あんなの、ほっときゃいいだろ」

「あー! あんなのとか言っちゃダメなんだよー!」


 どうやら酒盛りを始めるらしいが、まあ俺には関係ない。

 ギルドを出ていつもの宿屋に戻り、剣の手入れを始めた。


 この剣を買ってからもう六年になるが、毎日欠かさず手入れをしている。おかげで新品のような綺麗な状態を維持できていた。




「……」

(フレッド)

「ん?」

(あぁ、ジェリカか。どうした?)


 俺は心の中でジェリカと会話ができるようになっていた。戦闘では魔法でサポートしてくれるので、会話ができると連携が取り易くて便利だ。


(いや……)


 言い淀むジェリカの次の言葉を待つ。これはたまにある事だからもう慣れている。


(少し、素っ気ないのではないかと思っただけだ)

(そうか?)


 俺は剣の手入れを終わらせベッドに横になった。


「それにしてもキラーマンティス。あれは強かったな」


 独り言のように呟く。

 俺の腕ではまだまだ倒せそうにない。

 とにかく硬い。身体強化して、剣の強化もして、その上で相手の攻撃を避けながらってなると、どうしても全部を上手く熟せない。


(ジェリカにサポートしてもらって、やっとだもんなあ)

(フレッドは充分育ってきている。何も心配することはない)

(そうだといいんだけど……)


 その言葉を最後に、俺はいつの間にか寝入ってしまっていた。



(本当にこのままでいいのだろうか……。私には――)

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