19話 ダイアウルフ討伐
リョウヤは苛立っていた。クリスを貶すその声の主を、どれだけ探しても見付けられなかったからだ。
あれからその声は沈黙を貫いた。
もうここには居ないのだろう。いつまでも探すよりは、早くダイアウルフを狩ってクリスに会おうと思考を切り替えた。
この苛立ちは全てダイアウルフにぶつけてやればいい。そう思い、捜索を続けた。
森に入って三日目にして見付けた。四匹のダイアウルフだ。
一匹だけ少し小さい。まずはこいつからだとリョウヤは狙いを付ける。
そのまま一気に一匹目の首をはねると、その勢いのまま距離を取った。
「【ファイアボール】」
すぐさま相手を分断するように放つ。そしてまた距離を詰め、離れた一匹の腸を切り裂く。二匹目。
そしてここからは真向勝負になった。
挟まれないよう気を付けながら一匹に狙いを定め、手足に傷を付けていく。
「【エアインパクト】」
傷を付けたダイアウルフを吹き飛ばす。その間に残った一匹を素早く仕留める。三匹目。
後は弱った最後の一匹だけ。こちらも問題なく処理して完了だ。
リョウヤはゼルイドの森で多対一の経験を散々積んできた。ここまで上手く事が運ぶとは思わなかったが、随分と成長したものだと自分を褒めてやりたい気持ちでいっぱいだった。
後は帰ってクリスにも褒められると言う事なしだ。なのだが……。
「帰り道ってこっちだっけ?」
方角がイマイチ掴めないリョウヤであった。
そう、行きは追跡珠のおかげで真っ直ぐに進むだけであった。しかし帰りとなると真っ直ぐ進むだけではない。東に進めばいいだけではあるが、正確に方角が掴める道具がないのだ。
おおよその時間と日の傾きで、何となく見当を付けながら森を出るのに五日もかかってしまった。
そこから一泊した村までは一日と少し。随分と時間が掛かったが、ようやく見付けることができた。
しかし、行きで運んでくれた馬車がない。村人に聞くと、既に帰ってしまったようだ。踏んだり蹴ったりである。
仕方がないので走って帰ることにしたリョウヤであった。




