16話 捜索と魔道具
帝都に戻ってきた。おっさんとの共同生活は思い出したくもない。早くクリスに癒されたい。ヒーリングでおっさんの臭い取れる?
待ちに待ったクリスとの時間がやってきた! と思ってたら――。
「ご相談したいことがあります」
と、困ったような、申し訳なさそうな複雑な表情だった。ここは男気を見せるところだ! と話を聞いてみると。
「実はアリストア大森林でダイアウルフが目撃されたようなのです。近隣の村々が襲われないか、わたくしは心配で心配で……」
どうやらダイアウルフっていう強いモンスターが、近隣住民の不安の種になっているらしい。まだ大きな被害は出てないようだけど、まぁそれも時間の問題だ。
ここはクリスの笑顔のためにひと狩り行きますか!
「任せてください! 俺がすぐに倒してやりますよ!」
俺はクリスの笑顔が見たい。そのためならなんだってやる。やってやる。
「ありがとうございます。ではせめて、これをお持ちに――」
そう言って丸い球を差し出す。索敵珠に似た感じ。
「これは?」
「追跡珠という魔道具です。先ほど先遣隊が戻ってきたのですが、これにダイアウルフの魔力を記憶させることに成功したようです」
追跡珠を見ると一部がぼんやりと光っている。この光の方向にダイアウルフが居るらしい。
「数は二体。つがいのようでしたので、もしかしたら子供も居るかもしれません」
なるほど。全部倒してしまっても?
「リョウヤ様にばかり負担を押し付けてしまって申し訳ありません。でも、わたくしにはあなた様にすがる事しかできないのです」
「気にしないでいいですよ。全部任せてください!」
クリスの不安を取り除くことには成功したらしく、俺も上機嫌になって興奮したせいかあんまり眠れなかった。
その翌日に早速出発した。
馬車を用意してくれたおかげで寝不足でもなんとかなった。
目的の村までは二日かかるらしく、その間は御者の人が世話をしてくれるみたいだ。
そして村に着いたら一人で捜索開始、という感じ。
でも夜に着いたから村で一泊させてもらうことにした。
よし、寝起きバッチリ! 体調も良好! 今から捜索開始だ!
追跡珠を手に取り光の射す方向へ。
今日は絶好調だし飛ばすぞー。
早く帰ってクリスに褒められるんだ!




