11話 形にできない言葉、届かぬ想い
フレッドは絶望の中に居た。
なぜ、こんな事になってしまったのか。
なぜ、こんな惨劇が生まれてしまったのか。
答えは簡単に導かれてしまった。
(俺が弱いからだ。何もやってこなかったからだ)
でも、それは違う。それだけは違うと、フレッドを見守ってきた魂は答える。
(俺が強ければ、もっと頑張っていれば、こんなことには……)
死体の山を見る度、何度も繰り返す。
誰のせいでもない。ましてや、フレッドのせいではない。あるはずがない。
それはフレッドを見守ってきたアンジェリカの魂が、一番良く分かっていた。
(それならば……私の罪が、一番重いことだろう)
フレッドはアンジーを守ろうと必死だった。対して何もしてこなかったアンジェリカ。いや、"何もできなかった"が正しい。
しかし、フレッドのせいだと言うならば、アンジェリカの罪はどれほど大きくなってしまうのだろうか。
そう、誰のせいでもない。それは分かり切っているはずなのに、自責の念に押し潰されそうになる。
(私が……私なら、この悲劇を止められていたはずだ)
(――俺が、もっと頑張るべきだった)
フレッドは見ていた。
自身がモンスターを切り刻む瞬間を。
アンジーが貪られる様を。
アメリーの亡骸を。
この惨状の全てを。
悲劇の最後まで――。
こんな力があるのなら、初めから全てを無かった事にできていた。
それに気付いてしまった。
自分の不甲斐なさによって、この惨劇を作り出したのだと導かれてしまった。
フレッドが意識を手放したことで、アンジェリカの魂が表層に浮かび上がった。
その時、図らずも二人の魂が完全に繋がった。いや、繋がってしまった。
自分の持つ特別な力を。
全てを覆す圧倒的な暴力を。
それを目の当たりにしてしまったのだ。
それによりフレッドの命は助かることになったのだが、それと同時に、自分がいかに怠惰であったのかを思い知らされることとなった。
それでもフレッドが悪い訳ではないと、アンジェリカには断言できる。
いくら同じ身体とはいえ、培ってきた剣の技術が、魔力操作の練度が――それらが圧倒的に違っていた。
幼少から最良な環境で育ってきた者と比べても、意味がないのだ。
しかし、そんなものは慰めにもならない事だと、アンジェリカは知っている。
だからこれ以上は……失意の中にいる彼に、伝える言葉を見付けられないでいた。
それでも、私は――
次回から新章に移ります。ブクマや評価、感想など頂ければ幸いです。




