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ふたつの転生~異世界行ったら憑りつかれてたけど、どうやら賢者の転生が失敗したらしい~  作者: 半分のリング
1章 二人の物語

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11話 形にできない言葉、届かぬ想い

 フレッドは絶望の中に居た。

 なぜ、こんな事になってしまったのか。

 なぜ、こんな惨劇が生まれてしまったのか。

 答えは簡単に導かれてしまった。


(俺が弱いからだ。何もやってこなかったからだ)


 でも、それは違う。それだけは違うと、フレッドを見守ってきた魂は答える。


(俺が強ければ、もっと頑張っていれば、こんなことには……)


 死体の山を見る度、何度も繰り返す。

 誰のせいでもない。ましてや、フレッドのせいではない。あるはずがない。

 それはフレッドを見守ってきたアンジェリカの魂が、一番良く分かっていた。


(それならば……私の罪が、一番重いことだろう)


 フレッドはアンジーを守ろうと必死だった。対して何もしてこなかったアンジェリカ。いや、"何もできなかった"が正しい。

 しかし、フレッドのせいだと言うならば、アンジェリカの罪はどれほど大きくなってしまうのだろうか。


 そう、誰のせいでもない。それは分かり切っているはずなのに、自責の念に押し潰されそうになる。


(私が……私なら、この悲劇を止められていたはずだ)

(――俺が、もっと頑張るべきだった)


 フレッドは見ていた。

 自身がモンスターを切り刻む瞬間を。

 アンジーが貪られる様を。

 アメリーの亡骸を。

 この惨状の全てを。

 悲劇の最後まで――。


 こんな力があるのなら、初めから全てを無かった事にできていた。

 それに気付いてしまった。

 自分の不甲斐なさによって、この惨劇を作り出したのだと導かれてしまった。



 フレッドが意識を手放したことで、アンジェリカの魂が表層に浮かび上がった。

 その時、図らずも二人の魂が完全に繋がった。いや、繋がってしまった。


 自分の持つ特別な力を。

 全てを覆す圧倒的な暴力を。

 それを目の当たりにしてしまったのだ。


 それによりフレッドの命は助かることになったのだが、それと同時に、自分がいかに怠惰であったのかを思い知らされることとなった。


 それでもフレッドが悪い訳ではないと、アンジェリカには断言できる。

 いくら同じ身体とはいえ、培ってきた剣の技術が、魔力操作の練度が――それらが圧倒的に違っていた。

 幼少から最良な環境で育ってきた者と比べても、意味がないのだ。

 しかし、そんなものは慰めにもならない事だと、アンジェリカは知っている。


 だからこれ以上は……失意の中にいる彼に、伝える言葉を見付けられないでいた。


 それでも、私は――

次回から新章に移ります。ブクマや評価、感想など頂ければ幸いです。

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