謝罪
知らぬ間に10万PV突破しておりましたm(_ _)m
前作と違って嫌われる事が多い主人公達ですが、沢山の方に読んでいただけているようでありがとございます。
メンタル弱々な為にちょっと凹みこちらを書くことから遠ざかっておりましたがまたボチボチ更新していきますのでお付き合い頂ければ幸いです(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)
『はぁ、どんな顔をしてジェラス様に会えばいいのかしら...…会わない事を願うだけだわ』
婚約が続いている事を知ったダリアだが喜んで浮かれる事はなく、重い気持ちで学校へと向かった。
ジェラスが自分の事を嫌いなのだともう嫌という程に分かっているダリアは好きになってくれるかもなんて期待はしないと決めている。
白紙になったからこそ諦めもつくと思ったが、継続されている今諦める必要などないものの好かれるとは到底思えず、今後白紙に戻されるのであればこのまま最低限の付き合いだけで関わりを持たず、恋心を消し去る事が出来れば傷も少なくて済むだろう。
『私が近くにいたり視界に入るだけであからさまに不機嫌になっていたのだから、やっぱり今後もジェラス様の近くは極力避けるべきよね』
以前のジェラスがそんな態度だった為ジェラスの中に生まれた変化など知りもしないダリアは今後もジェラスを避けて学園生活を送る事を決意していたのだが、馬車を降りるとそこにはジェラスがいた。
「おはよう、ダリア」
気まずそうに、どこか怫然としたようにも見えるジェラスの顔にダリアの胸はツキンと痛んだ。
「おはよう、ございます」
顔を見ないように視線を下げて挨拶をするとそのまま過ぎ去ろうとしたのだが、ジェラスから「一緒に行こう」と言われれば断る事は出来ず、昇降口まで一緒に行く事になった。
「あの、ダリア……その……」
馬車下り場から昇降口までは徒歩で五分強の道のりである。
ジェラスは何か言おうとしていたが、ダリアは『早く! 早く昇降口に到着するのよ!』とばかり考えており普段より早足になっていた。
「……君は足が速いんだな、歩くのも走るのも」
「そ、そうですか? 普通ですが」
明らかに普通の令嬢の歩くスピードではない。
静静と優雅に歩いているご令嬢達をグングンと抜いていくその速度はジェラスでさえも付いて行くのがやっとの速度である。
五分強かかる所を三分程で着いてしまった昇降口。
「では、これで」
「ちょっと待ってくれ!」
そのままさっさと立ち去ろうとしたのだがまたしてもジェラスに呼び止められ、そのまま裏庭へと誘われてしまった。
「ダリア……その……申し訳なかった!」
突然深々と頭を下げられたダリアは「頭を上げてください!」と思わず大きな声を出していた。
「これまでずっと謝罪も出来なかった。今更なのは分かっている。だけど謝罪させて欲しい。本当に申し訳なかった!」
「分かりました、分かりましたから、頭を、頭を上げてください」
漸く頭を上げたジェラスにホッとしたのだが、今度は顔を凝視されておりダリアは目を逸らした。
「……頬は、もう痛くはないか?」
「……はい、もう大丈夫です」
本当は偶に痛む事があったがこれ以上負担になりたくなかった為に嘘をついた。
「……その、婚約の事なんだが」
「その事でしたら分かっております。私への罪悪感でございましょう? ジェラス様はとても責任感の強い方ですから私を傷付けてしまった責任を取ろうとお考えなのですよね? ですがそのような事をしていただかなくてもいいのです。もう分かっておりますから、ジェラス様のお心にどなたが住んでいらっしゃるのかは。ですから今後は一定の距離を取り、ジェラス様のご迷惑にならないよう努めてまいりますのでご心配は無用です。ジェラス様はご自身のお心に従って、真に愛する方と愛を育んでください。婚約の白紙はお好きなタイミングで行ってくださって構いません。これまで私の一方的な想いを押し付けてしまい申し訳ありませんでした。それでは授業もありますのでこれにて失礼いたします」
ダリアは声が震えないように言う事だけは言い切るとその場をサッサと立ち去った。
分かりきっている、もう嫌という程に分かっている事だったが口にすると辛いし悲しい。
ジェラスの前で涙なんて流したくなかった。
だから早々に立ち去ったのだが、残されたジェラスが愕然とした顔をしていた事なんてダリアは知らなかった。
残されたジェラスはダリアの言葉に少なからずショックを受けていた。
自分の想いが誰に向かっているのかをダリアに知られていた事に、それを今までどんな想いでダリアが受け止めていたのだろうという事に、今まで自分が取ってきた態度のまずさに、ジェラスの事を考えてくれるダリアの優しさに、初めて気が付いた。
ダリアは気丈に振舞っていたが後半部分は声が揺れて震えていた。
制服のスカートをギュッと握りしめていた手は徐々に力が篭もり白くなっていた。
どんな思いで口にした言葉だったのか…...女性の機微に疎い方だと自覚のあるジェラスにでも分かる痛々しさがあった。
今までどんなに冷たくしても自分の事を好きだと勢い良く突進してきていたダリア。
そんなダリアだからこそ苦々しく思っていたし、周囲の事など見えていない図々しい女だと思っていた。
「……本当に何も見えていなかったんだな、僕は」
知ろうともしなかった婚約者の姿を初めてきちんと見た気がした。
あれほどまでにひたむきに真っ直ぐに自分に対して好意を示してくれた婚約者であるダリア。
そんな婚約者に対して実に不誠実であり、他に想う相手すらいた自分。
「本当に最低だな、僕は……」
きちんと彼女と向き合わなければ……いや、向き合いたいと初めて心から思った瞬間だった。
誤字報告ありがとうございます。
誤字はどうしても直りません:( ;´꒳`;)
句読点の位置などはあえて付けていないものが多いため誤字報告頂いても直さないと思います。
気になる方もいらっしゃるでしょうが、この作品はそんなもんなんだと読み流して頂ければと思います┏〇゛