12アルフィーの愛竜エトラちゃん
竜舎は第一騎士団の建物から歩いて10分程の所にあった。
建物は普通の建物の三階建て位の高さがあり、縦横の長さもとてつもない規模だった。
「凄い、王宮が丸々入るんじゃない?」
感嘆の声を上げると
「端から端まで歩くと30分位は掛かるね」
そうだろうなぁ。
そして中に入ると広大な竜舎には真新しい藁が敷き詰められている。
二人で竜舎の中央を歩きながらアルフィー殿下は説明を続けた。
「基本的に、竜の乗り手が自分の竜のねぐらになっている場所を掃除する。食事も勤務時は基本的に乗り手がやる事になる」
確かに、スキンシップは大切だからなぁ。
「因みに、これが私の竜。エトラだ」
水色の鱗をした竜は、アルフィー殿下が手を出すとペロリとその掌を舐めた。
「雌の竜で気性は穏やかだ。騎士団に入った時に陛下から賜ったのだ」
竜の市場値段は子竜でも数百万リンだ。
成竜ならいかほどが?
まぁ、アルフィーの父親は陛下だからなぁ、竜の一頭や二頭屁でもないか。
「竜の支給はないので、基本的に入団したら竜を狩る所から始まるんだ。勿論持ち込みも大丈夫だから、貴族の子供は持参する事が殆どだよ。だから近年は竜を狩る所から始める騎士はまずいない」
稀少価値の高い竜の持ち込み可かぁ。
「持ち込みが良いの?」
大分規則が緩いんじゃないのかな?
「勿論。持ち込み手続きはあるから後で騎士団長に許可を貰っておく、次の休みにでも連れて来ると良いよ」
アルフィー殿下はクスっと笑うとそう提案して来た。
「分かった。いや~ずっと会えなかったらグーに忘れられる所だったよ」
そう言ってニヘラっとしてしまう。
こう考えて見ると、男の格好で騎士団も悪くないかなぁ。
金も入るしグーとも会える。
早速今晩にでも実家に連絡しちゃおうっと。
ニコニコしていると、エトラがペロリと私の頬を舐めた。
「エトラ」
驚くアルフィー殿下が「ごめん。エトラが」とあわてふためく。
「えっと、何が?エトラおいで」
戸惑うアルフィー殿下を他所にエトラの頭を撫でて上げる。
すると、嬉しそうにクルルルルと嘶いた。
「良い子。良い子だねぇエトラ。私はル……ルーク。宜しくね」
危なく名前を言い間違える所だった。
言い直してエトラを撫でるともう一度エトラは 私の頬を舐めた。
「こら、またかエトラ」
「気にしなくて良いよ。可愛いねぇエトラ」
「駄目だ。離れろよエトラ。ルーク」
ガミガミと捲し立てるアルフィー殿下。
「無表情よりも怒ったアルフの方が何倍も良いよ」
笑顔でそう言うと
「お前……バカじゃないか……」
と顔を赤くして抗議してくるアルフィー殿下。
「エトラも可愛いけど、アルフも可愛いやぁ」
「はぁ~?何言ってんだよ」
動揺した為か口調が崩れるアルフィー。
もしかして、アルフィー殿下ってツンデレなのかもしれない。
フフフフ。
意外と人間臭い人なんだ。
そして、アルフィー殿下の竜とスキンシップした後に、騎士寮で夕食を取った私はご機嫌で部屋へと戻ったのだった。
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