勇者来る
くそう!
勇者きちゃったみたいだよ
田舎の小さな村なのに、なぜ、勇者が来るんだ
アリスには、魔王だとばれないように、ツノを隠すように言ってるし、家から出ないように言ってるから、大丈夫だと思うが
なんとか、ばれないでくれええ
「村長おおお!」
相変わらず、道具屋は、騒がしいやつだ
「なんだ、騒々しいな」
「勇者様なんですがそれが……」
「んっ?」
「ちょと来てください」
村の広場に行くと、宝石や家具などが、積まれていた
そこに集まる村人と勇者様がいた
「おっ、村長か、あとで、おまえの家にも行くつもりだったんだよ」
「勇者様、なんですか、これは……」
「なにって、魔王退治のための資金集めのために、寄付してもらってんだよ」
「寄付?」
村人達の顔を見てみると、そんな感じじゃない
「寄付なんて、とんでもない、人の家に勝手に入って物をもっていくんです」
「うちなんか、お金を根こそぎ、もっていかれ、明日から、どうしたらいいか……」
「わたしの家なんか、ロリっ子サキュバスちゃんのエロ本持っていかれ、女房からは、ロリコン扱いされたんですよ」
なるほど、法律では、魔王退治のため、勇者様は、村人達から、金品を取っても、罪には、問われないものだからな
「みんなの言いたいことは、わかった、あとロリコンは、うち娘に近づいたら、村から追放する」
とにかく、魔王退治のためとは、いい、あまりにもひどい
ここは、村長として、言わしてもらわなければ
「勇者様!」
「なんだ、村長」
「どうか、村人達のものを盗らないで、もらえますか?」
「ちっ」
勇者様は、剣を抜き、こちらに振り下ろす
「ひいいいいいい」
恐る恐る目を開けると、剣先は、鼻の近くまで、来ていた
「盗るだと、寄付だと言ってるだろうが!」
「はっ……はい……」
「そういえば、村長の家、あれだっけ」
「はい、そうです」
「あんな目立つところに立っている家なんだ、金目のものたくさんあるんだろ」
「いえ……」
「今から行って寄付してもらうぜ」
勇者は、剣をしまい、うちに向かっていく
やばい、うちには、魔王もいるというのに
なんとしても、止めなくては
「んっ、なんだあのガキ」
あそこにいるのは、アリス
家への一本道に仁王立ちで、立っている
今日は、外に出るなと言っておいたのに
「アリス、勇者と家で、大事な話があるから、ちょと外で、遊んでいなさい」
その言葉と同時に顔を殴られた
「ぐふぅ」
「様をつけろ様を勇者様だ」
痛みを感じながらも、アリスのほうを向いてみると、アリスは、いなかった
よかった、アリスまで、傷つけられたら、わしは……
「おい、聞いてんのか、ハゲ」
ハゲハゲいうんじゃないよ
わし、だって気にしてるのに
「なんだよ、その目は……」
勇者は、剣を抜き、また振り下ろす
こんどは、止めることなく、わしの体を切られるだろう、そんな目をしている
その時だった、輝く光が、わしと勇者を遮るように降ってきた
そして、光が弱まると同時に、金ぴかの鎧に銀髪の男が、あらわれた
「だれだ、てめえ」
「人は、おれのことを勇者という」
「勇者だと……!?」
「偽勇者が、村を荒らしていると聞いてな、俺が、貴様を捕まえにきた」
勇者……もしかして、本物の勇者様!?
なら、今までの勇者は、偽物で、こっちの金ぴかの人が、本物の勇者様ということか
「くそ、こんなところで、捕まってたまるかよ」
偽勇者は、わしに剣の首に剣を突き付けてくる
これは、もしや、わし人質にされてる!?
「動くな、勇者、動くと、このハゲの首が地面に落ちるぜ」
「ひいいいいい」
その時だった、一瞬の光と同時に偽勇者が、倒れた
なにが起こったか、確認できなかったが、勇者様が、偽勇者を倒してくれたようだ
「大丈夫ですか?」
「はい……」
「こいつは、勇者の名を語って、盗みを働く極悪人で、被害に遭われた、村人から聞いて、捕まえに来たのだ」
「そうだったのですか」
さすがは、勇者様だ
「こいつは、俺が、責任を持って、王国まで連行する」
「お願いします」
その時だった、こんどは、禍々しい黒い光のビームが、勇者様を包んだ
そして、勇者様は、消えた……
偽勇者は、勇者様に投げられ、助かったようだ
そして、恐る恐る、黒い光が飛んできた方向を見ると、アリスがいた
なにかを構えて、こちらを向いているようだが
あれは……ハイメガ勇者抹殺メガトンキャノンガン
くそう、うちの娘が、犯人だよ
「アリスううう」
アリスのほうに駆け寄る
「なにやっとんじゃあああ」
「勇者は、殺したら、いけないと言われたが、村長を殴るやつは、消し飛ばす」
「てか、殴った偽勇者のほうじゃなくて、助けてくれた勇者様のほう、消しとんだじゃない!」
「もう一発、あの倒れている勇者に撃てばいいだけだ」
「やめい、アリスよ、前の約束が、聞けないなら、プリン2個どころか、プリン抜きにするぞ」
「ぬぅ……しかたない」
アリスは、そう言い、家に帰っていった
てか、どうしたら、いいんだ、この状況
うむ……幸いなことに、ここには、気絶している偽勇者しか、いない……
こうなったら、勇者様は、この町に来てないことにするしかない
……これで、決まりだ
それにしてもアリスの作った武器から出たビームだが、勇者様がいた部分の地面が、黒い禍々しい沼みたいになってるんだよな
これも、なんとかしなければいけないな
「ヌンッ」
その声と同時に、黒い禍々しい沼が、光だした
そして、その光の中から、なにも身にまとわない勇者様が、あらわれた
「勇者様!?」
「ふぅ、危ないところだった」
全裸の勇者様の股間からは、勇者の光が、輝く
「持ち物のすべてが、闇に飲まれたが、体だけは、この世界に戻せた」
「きっと帰ってくると信じておりました」
黒く禍々しかった沼は、勇者の光で、もとの綺麗な地面に戻っていった
証拠隠滅をしなくて、済みそうで、よかった
「それよりも村長」
「はっはい」
「さっきの攻撃は、心あたりは、ないか?」
ここは、なんとしても、ごまかさなくては
「このあたりに生息する魔物のせいだと思います」
「むっ、そんな危険な魔物がいるのか?」
「はい、勇者様の力を感じ、村まで、来たのかと」
よし、完璧だ
「ぬぅ、しかたないな、なら、偽勇者を王国に運んだ後、この村を拠点にして、その魔物を討伐しようでは、ないか」
「えっ!?」
「遠慮することは、ない、村人を守るのも勇者の仕事だ」
ちょと待ってくれい、勇者と魔王のいる村になってしまう
そんなことになったら、とんでもないことがおこりそうだ
「あの勇者様……」
「村長、またこんど会おう」
そう言うと勇者様が、偽勇者を持ち、空に飛んでいく
あれは、勇者様だけが使えると言われている移動魔法!?
もう見えなくなった
それより、まずいことになったな、勇者様とうちの娘を会わせないようにしなくては




