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吸血鬼とは。




ピーンポーン、そう鳴り響く家に一人いる少年。



「…なんだ?ってうわぁっ」



「他人の顔みて“うわぁ”は失礼でしょ」



「あ…、すまん、入って」




昨日ありえないことが起こって、ありえない正体を持つ者が今平然と自分の前にいると思うと、いまでもこれまでが全部夢だと疑ってしまうくらいの気持ちの少年。



しかし、意外と現実を受け止めるのが早いようだ。



「親さっき出かけたばっかだけど、出る時間もわかっちゃうの?」



「マーキングすれば」


「いつのまに…」



なんだかんだ相手も相手で用意周到なんだろう。



「さて、今日お邪魔させてもらったのは、詳しいことを話すためなんだよね。知られちゃったからには詳しく話して口止めってね。」



「人の記憶いじったりするのも簡単に出来そうだけど」


「記憶改変、消去は意外と大変なんだよ。手間をかけたくないからなるべく解決させたい。」



つくづく少年の良いように話は進まない。



「まず、吸血鬼とは、だね」


「ニンニクと十字架が苦手で、血を飲む…トマトジュースだけは人間の取るもので飲めるんじゃなかった?」



ぷふ、あはは、と声を出して笑い出す少女に、少年はドン引きを覚える。



「なにそれぇ!ニンニクの匂い嫌いだけどそこまでじゃないし十字架嫌いなんかじゃないし血は飲むけど人間の食べ物も飲み物も摂取できるよ。」



まじかよ…なんて、日本の吸血鬼の印象が全部目の前で崩れたんだから意味もないが、だらしないような言葉をこぼす少年。



「改めて、私は吸血鬼の王の娘。純血の吸血鬼。そして、吸血鬼はね、色々な種族の中でもトップの能力を誇る。ちなみに殺されたり、自分が死を望まない限り不死だよ。そして、“契約”という制度がある。吸血鬼と契約すれば必然に身分が高くなるから、他の種族はとにかく吸血鬼に猛アタック。吸血鬼同士は血を吸い合えないから契約相手が同種族ってことにはならない。」


「てことは身分が高いアンタは相当苦労するだろうね」



「そうなんだよ…そこなんだよ。しかも後継者だのなんだので使用人に追われるし…それで、行きつけの逃げ場の立ち入り禁止場所から落ちたんだけど」



思ったよりつらそうだな、なんて思う少年。そりゃあ、王様の後継者となれば薔薇色の金持ち人生何じゃないかと、誰しも夢を見ることだろう。



「で、その契約っていうのがね、これから話すこと。

契約っていうのは、まず早めにしないと勝手に王様に相手を決められる。

そして、契約内容は、吸血鬼の主になるっていう感じかな。

血をあげる代わりに身を守らせたり何かを手伝わせたり、働く制度と同じ。」



「……話が察せてきたんだけど」


じゃあ、話が早い。なんて思う少女の心は悪魔か否か。いや鬼か。



「少年、夕立 慎也さん、吸血鬼、月雨 紫苑と契約しない?」



__二人の物語は、



始まったばかり。

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