事情と落ち着き
「じゃあ、アンタはグランルっていうこことは違う世界の吸血鬼で、現王様の一人娘だから王様後継者で、今日立ち入り禁止のところに入って考え事してたらうっかり地球に向かって真っ逆さま?」
「そういうことー。理解が早いじゃん、混乱しててどうなることかと思ったけど」
やっと落ち着いて、事情を話した少女と理解した驚く少年。
「そりゃ混乱もするって」
「私たちからしたらなんの能力もない電子機器だけ使ってる君達もおかしくって混乱するけど」
「……自分が混乱したあとだと説得力ある」
でしょ、とドヤ顔で述べる少女の心は果てしなく幼い。
「だから、血、ちょうだい」
「それは違う!」
何が違うんだ、と言わんばかりの顔で少年を見つめる少女。
「いや違うというか…血を吸われるってなんかほら…怖いし色々と貧血とか…ねぇ」
「…まぁいいや、まだ飲まなくても大丈夫。あと、引き止めた形になっちゃってごめん。今日は帰りな、明日休日で親いないでしょ?お邪魔する。じゃあね」
「…なんで知っ__」
人のことを知るのも簡単なのか、吸血鬼は…。
ため息混じりにそんなことを思う少年。
その疑問をぶつけるには、相手の逃げ足が早すぎた。