帰る少年落ちる少女
「ばいばい!」
「また明日ー」
「おーう!」
学校の委員会が終わって、一人家が友達と逆方向にある少年は、友達に別れを告げて帰路につく。
今日もつまらない、変わった非日常が来ないだろうか。
そう、望んでいるかのような暇そうな少年が。
寒いためか、早足で帰路を辿る少年に、近づいていたのだ。ゆっくりと、切実に。少年がどこかで望んだ、非日常が。
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「お嬢様?そちらに行ってはっ!」
「多分すぐ帰るから、ついてこないで」
「お嬢さっ…」
ドサ、と倒れる使用人を放置して“行ってはいけない”と言われる場へ向かう少女。
「何処も彼処も着いてきて…まるでストーカーじゃん…確かに父様がどんな方法でも死んだら王がいなくなるのは分かるけどさ…」
愚痴を吐く少女は、まるでここにいたくないと言うようだ。
「だいたい、後継者なんかっ…!」
「やばいっ!落ちるぅーーー!」
どうやら、行ってはいけない場所というのは、“落ちる”ところだったらしい。
前を見ずに歩いていた少女は、そのまま真っ逆さま。
気圧がすごく、飛んで抵抗することも出来ない少女は、そのままただただ落ちていた。
元いた場所とかけ離れた場所へ向かって。