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花蓮な女神の夢想反響(トラウムローゼ)  作者: 志倉加賀
二章 ≪雪下の試験≫
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第八話

「迷った」

 おい。

 茉莉を何故か先頭にして鏡谷、私という順で歩いていたのだが、休憩の時、茉莉はそう言った。

「……一応聞いておくけど、いつから?」

「ほぼ最初らへん」

「「………」」

 呆れて物も言えないとはこの事だろう。と言うか最初「私、こういうの得意です」オーラ出してたのはあんたでしょーが。それで先頭任せた私たちにも責任があるかもしれないが、駄目だと思ったのなら早く言っとけばいいのに。

「いや、だってね」

「分かった、もういい」

 鏡谷は頭を抑えながら樹木の地面に出た大きな根に腰掛ける。それにしても森に入って一時間くらいしたせいか、そろそろ日が落ちてきている。早く食料とか寝る場所を確保しなければヤバいと思う。何がやばいってそりゃー私今、生r

「聞いてない」

 あれ?声に出してた?

 おかしいな、最近よく心の声が現実にまで……もしかして鏡谷、心を読む固有魔法とか持ってるのかな?いや、でもそうなると渋せんの時はどうなる。って事は渋せんも!?まさか二人に心を読まれて学園生活をしろと言うのか……ってかこの服、紐きつすぎぃ。脱ぎたい…。

「そろそろうるさい」

 サーセン。

 いや、なんていうかどうでもいい事はいい発送するんだんだよね。

「んじゃ、休憩は終わったし行こうか」

「私はあんたのボケのせいで疲れたわ」

 別にぼけたつもりはないんだけどな。

 そうぐだぐだ思いながら私たちは歩き始める。と言ってもさっきまでのように適当に歩くのではなく、今度はしっかりしてそうな鏡谷が先頭となった。これならイケるでしょ?これでイケなかったら私が頑張るしかないか。頑張りたくないんだけどなー、でも頼られちゃやるしかないよね~。

「お、なんかよく分からない果実見つけた!」

「じゃあ私採りに行く~」

「………」

「あそこらへん、良い感じに穴になってない」

「ほんとだ。ここなら過ごせるかも」

「………な」

 なんか、私が必要のないような空気になっている気がする。これはいけない。必要ないって…。少女Aとか言われちゃう、暁だけに。

「なによ、あんたも早く動きなさい」

 ぼーっとする私に鏡谷が容赦なく背中を叩く。いたぁぁい。



「さて、どうしようか」

 日が落ち、洞窟の中で焚火をするため、火に小さく切った木材を投げ込む。

「どうって?」

「寝る布団とか?」

 そうじゃなくて、と鏡谷が私たちの意見をぶった切る。

「さっきみたいに襲われるかもしれないじゃない?その時のために見張りをって……」

 なるほ。つまりは「私が熟睡できるようにあんたら、起きてなさい!」って事かな?

「なんでさっきから怒らせるような事言ってるの?」

 やっぱり!さっきから心を読まれてるのは違ったんだ。ってかなんで口に出てるんだよ!

「まあまあ、とりあえずじゃんけんで良くないですか?」

 またもや茉莉は割って入る。お前はどんだけ割るんだ。だがまあ、いい案っていうか、妥当って感じだ。

「じゃあするか。夜空、早くやらなきゃあんたにするわよ」

「流石に横暴で草ぁ!」

 言った意味が分からなかったらしいが私もよく分かってないのでセーフ。

 さて、始めるか。互いに見合い構える。そして、

「「せーっの!」」

「よい!」

「ふぁ!」

「ほい!」



「流石にひどくありませんかね~」

 結局負けた私は洞窟の入り口ですねる。すねると言ってただすねるのでは無く、ちゃんと見張りの役目をしながらすねているのが個人的にはポイントだ。それにしてもひどい。ドイヒーってやつだ。ってかもう茉莉寝てね?うわ、最悪……っておいおいおいおいおいおいおいおいおい、鏡谷ぁぁぁぁぁぁ!寝るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

「………脱ごっかな」

 誰も起きてないらしいし、いいかな?もしかしたら原住民がいるかもしれないけど。いや、いてもバッチコイだ。告訴してやる。できないけど。告訴するのってお金かかるんだっけ?もうそれすらも覚えてない。というかどうでもいい。ifの話はまたいつかだ、まだやるべき事が残ってる気がする。気がするだけかもしれないけど。さて、

 よっこらしょいっと。

 制服を脱ぎ、茉莉の寝ている所の隣に置いた。

 なんという解放感だろう。人間は全員が全裸で過ごすべきではなだろうかと思ってしまうくらい気持ちがいい。なぜ人間は服を着るんだろう。羞恥心なんて投げ捨てればいいのに。きっと今の私は今までの私以上に美しいのではないか?うおっはー。うっひょひょーい。解放感、抜!群!うぃぃぃぃ!

「見てるわよ」

 ひっ!

 後ろを見ると横になって目を細めた鏡谷がこちらを凝視していた。

「「………」」

 まあ、気持ちはわかるよ。クラスメイトがいきなり全裸になって「うっひょひょーい」と言ってたら、そりゃなるよね。

「言わないでね」

「何を?」

 真顔で言う鏡谷が怖い。そこまで軽蔑する事?……する事か。

「まあ、茉莉には言わないわ。茉莉にはね」

「お願い。ついでにほかの人にも言わないで」

「ええ、分かったわ。その代わり、ちょっと話相手になってよ」

「え?」

 鏡谷がそう言うと、寝ていた身体を起こし、私の隣に座る。

「話相手ってどゆこと?」

「別に、言葉通りよ。……話してなかったなって思ってさ」

 ん?何を?

「だから、えっと…私のしたい事…みたいな」

 鏡谷は続ける。

「あれからさ、ちょっと気にしてたんだよね。あんな言い方しなくてよかったのかなって。でもあんたにはそういうキャラでやってたし、今更言えなかった」

「そっか」

「怒らない?」

 別に、と私は言う。別に強がっているわけでも器が大きいアピールしてるわけでもない。ただ、鏡谷が話す内容がシリアスな感じで今の私の恰好が少し場違いな気がしていい反応ができないのだ。といってもそれが本音ではないという訳でもない。つまりはそれも本音なんだ。彼女、鏡谷に怒ってる事はない。はい、終わり。

「ふうん。器、大きいんだ」

 いや、だからそういう訳ではない。しかし、否定するのもめんどくさいので、

「まあ、そんな感じでいいよ」

 と言ってみる。

 実際大きいしね!え?違う?あ、うん分かった。はい。

「で、話戻すんだけどね。私がなりたいのは」

 そこまで言いかけて彼女はこちらを見た。その目はさっきのような真顔でも脅迫してきた時のような怪しい顔でもなかった。その顔は真剣な瞳だった。そんな目で見つめられたせいか、自分の恰好なんてどうでもよくなるくらいの想いになる。

「……言い方変える。私の夢はね、国防騎士ってやつなんだけど、知ってる?」

 国防騎士?と聞き返す。というのは知らないからだ。

「要するに国を……っていうか世界を護る騎士って感じの仕事。有名な人で言うと≪絶壁≫で知られてる蒼龍さんとか…その補佐の飛竜さんとか、知らない?」

「あぁ、名前くらいしか知らないかな」

 しかし≪絶壁≫か……、どういう意味なんだろう。身体的な意味なら個人的にいいんだけど。

「………」

「………」

 ん?…それで終わり?

「そうだけど、何?」

「いや、別にいいんだけど……」

 もうちょっと何かあるとしまった私がいけないのか。……まあでも、

「知れてよかったよ、夢」

「そう?ならよかった。ついでに貴方のも教えなさいよ」

「えぇ~」

 夢というものに鏡谷ほどの憧れがあるわけでもないため、なんていえばいいのか分からなかった。

「夢か……」

「ないの?」

 そういって私の目をのぞき込む。

「ないって言ったら嘘になる感じかな?ただまあ、考えた事ない」

 「考えてない」よりも「考えたくない」の方が正確なのかもしれないけれど。考えようとしてくると色々考えたくない部分が出てきてしまうから。例えば人格の話とか。

「そう」

 すると彼女は少し笑い、

「見つかるといいわね」

 と言った。そして私は彼女の言葉より、彼女の笑顔に対して、

「そうかもね」

 とこちらも少し笑って言った。

「ま、露出狂が何になれるかってとこだけど」

「─っ!あぁ……」

 そうだった。今の私は全裸だったのだ。完全に忘れてた。

「はぁ、早く着なさいよ。あと、見張り変わってあげるからもう寝なさい」

「え、いいの?」

「いいのよ。話聞いてくれた分のお釣りと、強く言っちゃったお詫びって事で」

「じゃあ、お言葉に甘えて…」

 そういって服のある茉莉の所に行く。すると茉莉が目を開ける。

「あれ、交代?」

「うん、そんな感じ」

 そっか、と再び寝る茉莉。こいつには自分が見張りの番になるって考えは無いのだろうか?まあいいけど。

「おやすみ」

「うん、おやすみ」

 鏡谷と言い合い、そして眠りにつく。

 さて、明日はどうなるのやら。



               change



「なんか、いい話風になってるけど、これってあの子、全裸なのよね」

「そうね。はたから見たら危ない露出狂と普通のJKが話してるっていう完全な事案ですしね。まあ、同性だから犯罪味は薄まるけど」

 全裸の少女、暁ともう一人の少女、鏡谷。その二人の話を聞きながら、そして見ながら私たちは嘲笑しながらそう話す。

 早送りして何か興味深げにシリウスが言ったため、何があるのかと思ったが、まさか全裸になるとは……って考えは実際なく、あっても「流石に早い」くらいだ。なにせ、こんな状況にわけもわからずに召喚され、精神的にも肉体的にも来るだろうし。全裸はいい方、最悪自殺しようとする人だっていたという。

「まあ、あの子、鏡谷くんだっけ?夢が国防騎士とは…なかなかいい趣味をしているね」

「そうですね。しかもあえて蒼龍さんを挙げるのも結構な物知りなんでしょう」

 国防騎士とはあまり知られている仕事ではないし、そんな職業についてる人の名前なんていちいち知らないだろう。しかも結構情報のない、元々少ないメディアにもあまり露出しないため、そっち方面に伝手がある人くらいしか存在自体知らない人物なのだが。

「それにしても蒼龍か、懐かしい名前だ」

「同僚だったんだっけ?」

 はい、と答える。

「まあ、その話はまた今度という訳で。そろそろ休憩とかいります?」

「そうだね~。休憩はいいけど、お茶くらい欲しいかな」

 ならどうぞ、とバックの中に入っていたボトルの中のお茶をコップに汲みなおし、シリウスに渡す。

 彼女はそれを受けとり、一口。

「うん、うまい。あんがと」

 はいはい、とコップを受け取る。すると、

「ちょっといい?」

 と、聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。そして振り向く。そこにいたのは宮本先生だった。

「はい。何かありましたか?」

「ええ、ちょっと体調不良の一年生がいて……」

 なるほど、そう言い、「ちょっと行ってくる」とシリウスに伝え、宮本先生について行った。

「一人って嫌なんだけどな~」



続く

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