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霧崎UMAの優真譚  作者: 尾高 太陽
File.3
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U.File 3 カマイタチ 修正済み

 っと、そんな事を言っているうちに錆が落ちてきたな。

 匂いにやられ、されるがままグッタリとしている長を無視した俺は、長の鎌を袋から出し、錆をナイフで剥がしていく。

 するとスマホのライトで鎌を照らしていたアフロが剥がれ落ちた錆を人差し指と親指でつまんだ。

「初めからこうしてたらよかったんじゃないのか?」

 そんなアフロの問いに「それだとどうしても力任せになってしまいますからね。」と作業を進めながら答える。

「あらかじめ錆に空けておいた穴から<アレ>を染み込ませておけば剥がれやすくなるんですよ。」

 そう言って今度は口を括った袋に目を向けるとアフロは首を傾げた。

「というか最初から気になってたんだがアレってなんなんだ?錆び取りか?」

 気になるなら確かめてみろ。

 袋をアフロの顔の近くに持っていくと、アフロはとっさに頭を引き、鼻をつまんだ。

「っ!?この匂い、酢か。」

 正解だ。

「酢は錆を溶かす性質があるので、あとはさっき説明した通りです。」

 そう説明しながら錆を剥がしていくと鎌は徐々に金属光沢を取り戻していった。

 さてあと少しだな。

 錆を一通り落とし、洞窟の外で汲んできた水をかけると、それは綺麗とは言えないが最初の状態からは見違えていた。

「おおぉ!!!」

 多少金属光沢を取り戻した鎌を見た長はグッタリとしながらも喜びを声に出す。

 やはり一時間程度では落ち切らないか……。

「もう30分酢に漬けるぞ。」

 そう言って酢の入った袋を開けると長が気を失った。




「おぉ!おぉ!!!おぉぉぉぉぉ!!!!!」

 スマホのライトでキラキラと光る自分の鎌に、長は前回よりも大きな歓喜の声を上げた。

 まぁ1時間と30分では錆は落ち切らず、その後にもう1時間漬け込んだのだから仕方ない。

 後は仕上げに錆止め……と行きたい所だが、もちろん今は錆止めを持っていない。

 それに体の一部への使用は控えた方がいいだろう。いやそれ以前に成長修復を繰り返す生体では効果が薄いか。

「まぁ、毎日手入れを怠らないことだな。」

 後片付けをしながらそう言うと長は「うぅ……。」と目をそらした。



 さて……。

「帰るか。」

 片付けも終わり、リュックを背負うと背後から視線を感じた。

「何か問題でも?」

 その主であるクミに目を向けるとクミは「……遊びたい。」と呟いた。

「いいねぇ!俺は賛成だぜ!」

 すると突然テンションの上がったアフロは同意の声を上げる。

「私もです!来る途中で色々と気になるものがありました!!」

 そして同じく突然テンションの上がったトウカも同意の声を上げた。

 長とカラとは多少打ち解けたとは言え、まだ出会ったばかり。さらに他のカマイタチの中にはそのことをよく思わない奴もいるかもしれない。

「ですが今日のところは。」

「なら観光なら長である私がするわ!!」

 そう俺の言葉を遮った長は3人のテンションに便乗するよう声を上げたのだった。



 という事があり。観光することになった俺達は、最初に訪れた森で………殺されかけていた。

 長が水を飲みに行ったのにも関わらず、勝手に進んでいく3人に付いて森を歩いていると、突然俺達4人+ツチノコのそれぞれの首に鎌がかけられたのだ。

「どうやってここに来た!!」

 それぞれの肩でそんなことを叫ぶ見知らぬカマイタチ達は、今にも俺達の首を掻き切りそうなほど敵意を剥き出している。

 様子を見るために素直に襲われてはみたが……。

 アフロは「ちょっと!?長!?早く……早く戻ってきてくれ!!長!長ぁ!!」と逃げるどころではなく叫び。

 トウカも「うっさいですよ!このクソアフロ!!くたばるなら早くくたばってください!!そして私はクミ先輩とユウマ先輩と一緒に死ぬんです!!」と諦めたように叫ぶ。

 毎度のことだが勝手に殺すな。

 そして「あ、この鎌うまく手入れされてる……。」と危機感なく、肩に乗るカマイタチの鎌を観察するクミは論外だ。

 まぁ、危機感が無いのは俺も同じだが、それは生き残ることができるからだ。だが他の奴らは………無理か。

 仕方ない、信じてもらえないだろうが一応……。

「放してくれ、俺達は長の招待でやってきた。」

 すると、それまで「早く答えろ!」と騒いでいたカマイタチ達が突如として静まり返った。

 少ししてその沈黙の中から嘲笑が漏れ始める。

「あの引きこもっている長が?あり得ない!」

 やはりな……たとえ長が引きこもっていなかったとしても、こいつらは信じなかっただろう。

「正しくはカラに呼ばれ、長の鎌の錆を取っていたんだ。もう錆も落として、今水を飲みに行っている長にここを案内して貰っていた。」

 親切丁寧に全てを説明してやるとカマイタチ達が騒つき始めた。

「………。」

 しかしそれもつかの間、落ち着きを取り戻した一匹のカマイタチが他のカマイタチ達に目を合わせると小さく頷いた。

 まずいな………。


「何をやっている!!!」


 その童女の声が響くと、俺達の首を掻き切ろうと動き始めていた鎌が止まった。

「「「「「……長!!?」」」」」

 トテトテと歩いて来た長の姿を見るや否やカマイタチ達は俺達の肩から飛び降ると、土下座をするように頭を下げる。

 解放されるとアフロは解放に一人歓喜の声を上げ、トウカは一息吐いて安堵する、そしてクミは何もなかったかのように立ち、同じく解放され「あぁ、やだやだ。」とぼやくツチノコを肩に乗せていた。


「私の<友>に何をやっていると聞いている!!」


 すると1匹のカマイタチが怯えた様子ながらも頭を上げる。

「長!!こいつらは人間!私達の故郷を奪った奴らです!!友とは一体何を吹き込まれたのです!?」

 すると長は目を閉じ、深く頷いた。

「ああたしかにそうだ………そして私を錆のついた<イタチ>から<カマイタチ>へと戻してくれた者たちでもある。」

 そう静かに言った長は二本足で立ち上がると、自らの鎌を高く掲げた。

 光を反射するその長の鎌を見たカマイタチ達は驚いた声を上げると、俺達に目を向けてから長の後ろに立つカラに目を向ける。

「嘘じゃない。」

 カラはカマイタチ達を睨みつけるようにそう言った。


 現に人間に頼るということはカマイタチだけでは錆を取れなかったのだろう。

 それが取れている。つまりこのカマイタチ達は俺達を信じなければ長を、カマイタチという種族を信じない事になる。

 ……なるほど。


「アフロ先輩。UMA研究部の資金はいくらですか?」

 「さっきなんつったぁ?」と、さっき言われた事を根に持った様子でトウカと取っ組み合うアフロにそう問いかけると、「放せこのクソアフロ!!」と叫ぶトウカの頬をつねったまま手を止めた。

「ん?だから数千万だよ。」

 それは知っている。

「ですから何千何百何十何万何千何百何十何円なのかを聞いているのです。」

 やはりこいつらは俺に何かを隠している……。

 すると「あ~私も気になる~!」と、何もなかったかのように割り込んできた。

 クミも知らなかったのか……。

「え?じゃあ見るか?」

 アフロはトウカから手を離すと、ポケットからスマホを出し指紋認証でロックを解除して操作していった。

「えーと、電波が届かないな……。」

 そう一人呟いたアフロは通信エラー画面の出たスマホを俺とクミ、そして覗き込んできたトウカに見せた。

「自分の口座の残高くらい覚えてください。」

 そう文句を言ったトウカにアフロは食って掛かる。

「いくつ口座があると思ってるんだ!?それにこれは一応俺の名義だが、U研のための講座だからな?」

 U研……UMA研究部の事だろうが、まさかそう略すとは。

 アフロは「だがまぁ、思い出せるかぁ?」と眉間に手を当てた。

「クミちゃんが使ったのはあの暗視ゴーグルだけか?」

 するとクミは「そだよー」と無感情に答えた。

「じゃあそれと、俺の使った分も引いて………。」

 アフロは「えーっと……。」と声を漏らしながらスマホの電卓を打ち込んでいく。

「ざっとこんなもんかぁ……。」

 その画面を見たクミとトウカは「「おぉ!」」と静かに声を上げた。

 これだけ………。だが不可能ではないか。

 カマイタチを放ってそんな会話をする俺達を、長とカラ以外のカマイタチ達は警戒して眺めていた。


「人間に奪われた故郷をそのまま返せるかどうかは分からないが。人間<なんか>気にせずに生きていける場所なら用意できる。………かもしれない。」

 そうカマイタチ達に向けて言うと長とカラはもちろんトウカやアフロも文字通り目を丸くする。

 しかし他のカマイタチ達が俺達人間をそう簡単に信用できるはずもないのか、警戒し続けたまま俺達のことを睨んでいた。

 そんな様子を横目に俺は小さく溜息を吐き「とりあえず今日のところは帰りましょうか。」とUMA研究部員に向けて言うと、それぞれが首を縦に振った。

「その他のカマイタチには長から説明を頼む。」

そう長に目を向けると、長は「任されたわ!」と深く頷いた。



 俺達は学園に帰るべく、最初に落ちて来た洞窟の縦穴へと戻ってきていた。

 カラが言っていた通り、俺達の為に作られたという水の膜が無くなっていた縦穴を俺達は登っていく。

 その方法は信じがたいことに空中を飛んで。いや、長の作り出した風に押し上げられて、の方が正しいか……。

 しかし風を操る力がまさかここまでとは……。

 俺とクミ以外のUMA研究部員は驚いていたが、俺は驚きよりも何故この風の量で人間を持ち上げれるのかと言う疑問の方が強い。

 確かにある程度の風はある。しかしこの程度の風ではツチノコ一匹持ち上げられない。

 その仕組み、原理、方法を聞こうと息を吸った瞬間「もうすぐ地上よ!」と長が言った。



 縦穴を含めた長い洞窟を出ると空はもう青くなっていた。

 森に入ってからもう7時間半が経っている。皆睡眠に限界が来ているようだ。

 公欠を3日取っているから学校はいいとして、これ以上集注意力が散漫するのは良くないだろう。

「じゃあみんな帰ろうくぁぁぁぁむ。」

 クミのあくびがアフロとクミとツチノコにうつると、俺以外の部員は別れの挨拶をしてカマイタチに背を向けた。


 そんな中、1人背を向けずに長を見ていると長は首を傾げる。

「なあ長。名前を教えてくれないか?」

 そう言うと、背を向けて歩き出していた他の部員が振り返った。

「そういえば!忘れてた!」

「そういやぁ聞いてなかったなぁ。」

「ん?そうで……したっけ?」

 そう反応する皆はどこか眠そうに、しかししっかりと長を見つめる。

 そんな俺達の顔を順に見た長は、少し間を置くと<笑顔>で答えた。

「私はナギ、夕凪のナギだ!」

 そう答えたナギに向けて、俺達もまた笑みを浮かべるのだった。

「いい名前だ。」




 ・海星学園 高等部棟 UMA研究部室前

「「「ありがとうございました!!!」」」

 そう言って部室から出た数名の野球部員は、部室から1歩出たところに立つ俺達に頭を下げた。


「いやぁ、まさか俺の資金を使う事を前提に部費を他の部に回して、それを餌に引越しを手伝わさせるとはなぁ。」

 今から練習でもあるのかユニフォームのまま来ていた野球部員達の背番号を眺めながら、アフロがそう呟く。

 あんな小銭を節約するだけ時間の無駄だ。それに今回釣れた部は、うまく扱えば今後も使える。

「他の人が来るなら言ってよー。ツチノコちゃんを見られるところだったよ!」

 布をかけたツチノコの入ったケージを抱えるクミは俺に向かって文句を言った。


「さて、今日からここがUMA研究部の部室です。」

 そう言うと、部員は改めて部室に向かって佇んだ。

「旧校舎から出世だな。」

 旧校舎とは違い、設備の整った部室を見たアフロは小さく笑う。

「少規模の部活にしてはかなり優遇して貰いましたからね。顧問は自分がいるので不要とのこと。あと機密性を求めるようですので部室は人があまり来ない廊下突き当りの角部屋を専用の部室にしてもらいました。」

 するとトウカは「せんぱぁい!流石ですぅ!」と声を上げた。

「アフロならそんな気をきかせられませんよぉ!」

 そう言って抱きつこうとしてきたトウカの額を抑えて一定の距離を保っていると、その横でアフロが「なっ!」と声を上げてトウカを睨みつけていた。

 俺もそう思う。

「それにしても、よく一昨日あったばかりの男に抱きつこうとできるね?」

 トウカを見下ろして言うと、トウカは上目遣いで笑顔を浮かべた。

「だってぇ~?そっちの方がぁ~男は喜ぶじゃないですかぁ~♡」

 確かに他の男なら喜ぶかも知れないが俺は性的な事に興味がないからな……。

「ならアフロ先輩にやればいいと思うけど?こんな言い方するのもなんだけど金もあるし……。」

「アフロ、ですか?」

 トウカは動きを止めると、嫌悪感を全面に押し出してアフロに目を移した。

「ん?どうしたんだい2人とも?何を話していたんだい?」

 俺もトウカの視線を追うと、そこにはしらじらしくネクタイを直すアフロがいた。

「ユウマ先輩………アレに抱きつけと?」

 こればかりは俺のミスだ。

「………。」



 部室に入るなりクミはツチノコを解放し、ツチノコを含めた部員たちは証明や空調、何も入っていない棚やらを物色し始めた。

「漁るのもいいですが、その前に部活動申請書を書いておいてください。今回公欠を取るのは自分がいたので許可されましたが本来は部活動としてら申請しないといけませんので……。」

 そう言って部屋の中央に置かれた長机に申請書を置くと、「漁るなんて人聞き悪いなぁ……。」とぼやきながらアフロが、そして残りの部員も申請書に集まった。

「自分の分は既に書き込んであります。皆さんが書き込んでいる間に荷ほどきをしておきます。」

 俺が書いてもいいが。3人に荷ほどきを任せたら折角集めた資料がめちゃくちゃになりそうだ。



 UMAを含めた一通りの図鑑と元より片付けなければならない荷物は少なかった為にクミが書き終える前に荷ほどきは終わっていた。

「皆さん、書き終わりましたか?」

 まったく、一人称はいいとして。

 なんで俺がこんな奴らに敬語を使わないといけないんだ。

 それに、あのバカなら胸を触った事も忘れて…。

 横目にクミを見るとクミは何故か胸に手を当てていた。

 無いか……?

 多少の接待はいい。金も貰える。

 他の奴らがちゃんと書いているか確認も兼ねて机の上に置いてあった書類を手に取る。


 ーーーーーーーーーー

 <UMA研究部>

 活動内容

 ・UMAと仲良くなる。

 部室

 ・高等部生物室

 顧問

 ・2-A霧崎 優真

 部長

 ・2-A霧崎 優真

 部員

 ・3-A早見はやみ 紅弥香くみか

 ・1-A朝野あさの 桐花とうか

 ・3-A大炊御門おおいのみかど 亜風呂さうな

 ・ツチノコ

 ーーーーーーーーーー


「……サウナ。」

 そこには驚愕の事実が書かれていた。

 するとアフロ、もといサウナは声を荒げる。

「その名前で呼ばないでくれる!?」

 その上、漢字をそのまま読めばアフロだ。

「ではどう呼べば?」

 申請書から視線を移して首を傾げると、アフロは「アフロと呼んでくれ。」と親指を立てた。

 まあ、元からそう呼んでいたがな。

「ではアフロ先輩と……。」

 ところで……。

「クミ先輩は紅弥香という名前だったんですね。」

 書類に視線を戻してそう呟くと「あぁ、クミってのはあだ名だよ。」と、何故かアフロが答えた。

「桐花ちゃんは、普通にトウカちゃんで。」

 確認を兼ねて声を出して読むとトウカはキャーと声を上げた。

「私だけ全部呼んでくれました!クミ先輩とかアフロ先輩みたいなあだ名じゃなくて、普通に名前で呼んでくれました!」

 そんなトウカを見ていたアフロは「それは、ただ後輩だからだろ。」と鼻で笑う。

「と言うか名前よりあだ名の方が特別感ある気、がはっ!!。」

「でしゃばんなアフロ!」

 黙っておけばいいことを喋ったアフロはトウカにみぞおちに肘を入れられ、静かに机に倒れた。

「あと、この活動内容なんですか。<仲良くなる>って。」

 そう視線を向けるとクミは「だって仲よくなりたいんだし。」と口を尖らせた。

「却下です。いくら自分がいても、不明部分が多すぎては承諾されません。あと顧問は自分ではなく<無し>に直しておきます。もちろん部員のツチノコという部分も。部員が4人という点は……まあなんとかしてみましょう。」

 

 そして俺は


 ーーーーーーーーーー

 <UMA研究部>

 活動内容

 ・現在発見されていない生物及び、発見されていてもその他の同種類と大きな差のある個体の生物、又はそれに順ずる物の発見と保護。

 部室

 ・高等部生物室

 顧問

 ・無し

 部長

 ・2-A霧崎 優真

 部員

 ・3-A早見はやみ 紅弥香くみか

 ・1-A朝野あさの 桐花とうか

 ・3-A大炊御門おおいのみかど 亜風呂さうな

 ーーーーーーーーーー


 と直した。

 ここは和製英語のUMAではなく、隠棲動物や、未確認生物の正式な英語のCryptidと書きたかったが、それほどこだわる事でもない。むしろ日本で活動する以上、こちらの方が通じやすいだろう。

「すげぇ。」

 みぞおちの痛みから解放されたアフロの声は無視して、俺は部室の扉を開く。

「では職員室に提出してきます。」

 そう言って職員室に向かう俺は知っている。あのバカ共が冗談で俺を部長にした事を。

 なぜ訂正しなかったか、それは俺が部長にふさわしいからだ。

 トウカは1年故に、問題が起こった時にどうしても上級生に負けてしまう。アフロは株で成功させるだけの頭はあるようだが運の可能性があり、何よりも女に弱そうだ。クミは論外。あの容姿は優れているが、それを使いこなせるだけの頭がない。

 よって、部長は俺が最適。

 それに部長になっておけば、今後あのツチノコを学会に報告する時の第1責任者になれる。

 完璧だ。これで今後の人生、楽な下り道。今からは多少の山はあるだろうが、そんなものトンネルを作ってやる。

 もう一度言おう。

「完璧だ……。」




 問題なく手続きを終えた後、UMA研究部員は部室の中央に置いた裏山のジオラマを囲んでいた。

 するとアフロが小さく唸り声をあげる。

「なーんか思ってたよりあっさり行き過ぎな気がするんだよなぁ。」

「私もそう思うわ。あの人間嫌いのカマイタチがこうも簡単に……。」

 俺もアフロとツチノコの意見に同意だ。

「これもやっぱりクミ先輩とユウマ先輩のおかげですね!!」

 トウカは俺とクミの顔を交互に見ながら笑みを浮かべた。

「アレ、俺は?」

「「「「………。」」」」


「でも私はユウマ君がいてくれたから上手くいったのは確かだと思うの!!」

 ……いや。

「クミ先輩が酢を持って来ていなければ出来なかったことです。もしアレがなければ帰ってこれなかったかもしれないですから。」

「「………え!!?」」

「あの縦穴はカマイタチの協力がなければ戻って来れない仕組みでしたからね。」

 もちろん一般的な人間ならだが。

「どう言うことだよユウマ君!!」

 するとアフロは額に汗を浮かべながら机越しに迫って来た。

 来るな!!

「ですから、長の錆を剥がせなければ良くて監禁、おそらく殺されていたかと。」

 そう言うと俺と、ジオラマを眺めるクミ以外の動きが止まった。

 あの人間嫌いの様子からして、出来なかったから「はいそうですか」と帰してくれる様子ではなかったからな。

 まあ、これくらいの困難はまだ簡単なほうだろう。

 ツチノコの言っていたキュウビや人魚がカマイタチのように伝説通りなら、カマイタチ以上に友達とやらになるのは難しいだろう。


「まあそれはさておき。」

 部長である俺がジオラマ内の洞窟の場所にカマイタチのフィギュアの付いた押しピンを刺した。

「これでカマイタチは達成です。」

 @ODAKA_TAIYO

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 ↑もし直接行きたい方がいればこちらからどうぞ!↑

 見たところで大したことも無いですがもしよければ見てみて下さい(ほとんど呟かない笑)。

 最新話を投稿した時は呟きます!

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