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霧崎UMAの優真譚  作者: 尾高 太陽
File.6
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9-1

 アフロからの連絡を受けた俺達は日本には帰らず、途中の空港で進路を変えることにした。



 空港の椅子に座っているとガブリエルが航空券を手に戻ってきた。

「なんとか最短の便は取ることが出来ました。出発は明日の朝。到着するのはそこから2日後の日付けが変わった頃になりそうです。」

 進路を変更する事を伝え、ガブリエルには航空券を取って貰った。

「分かりました。」

 するとクミカは「1日空いちゃったね。」と呟いた。

「ここは焦っても仕方ありません。ゆっくり待ちましょう。」

 そう言って俺とクミカは立ち上がり、キャリーケース引きながら目的もなく空港の出入り口へと向かう。


「ガブリエルさんはこのまま日本に帰るんですか?」

 そう問うと俺達とは違いビジネスバッグだけを持って俺達の一歩後ろを歩くガブリエルは「いいえ。」と答えた。

「途中までは同行させていただきます。」

 途中?

「何か用が?」

「先程の情報を依頼主に伝えなければなりませんので。」

 手渡しか……。


 依頼書では依頼主は名前も知らない個人だった。

 だが俺と言う国家機密を知っている奴がただの金持ちとは考えにくい。

 おそらくスパイという仕事ゆえに名を伏せる為だろう。

 俺達の航路で通る国、もしくはその国からしか行けない国の中である程度宇科学の進んだ国となると……ある程度は絞り込める。

 あとは相手を知っておきたいところだが……。


「その依頼主の詳しい情報は聞いているんですか?」

 するとガブリエルは首を横に振った。

「名前のみですね。」

「では受け取りの方法などは?」

「どうやら人の目のある場所で堂々とデータの入ったメモリを受け取るらしいです。」

 人に紛れるのか……。ならばそれほど大きな行動はしないだろうが。

 そのおかげで情報も手に入れにくい………。

「1人で大丈夫ですか?」

 するとガブリエルは小さく笑った。

「こう見えて仕事柄故に多少の訓練は受けています。」

 そして「それに……。」と続いた言葉に俺とクミカは立ち止まって振り返る。

「今は後押しもありますので。」

 ガブリエルの笑いを含んだ言葉に、俺とクミカは小さく笑って空港の外へと進んだ。

「………で、どうするの?」

「特に決めてません。」




「どうせやらなければならない事もないんです。出来ることとすれば観光とゲームくらいですが……。」

 するとクミカは首を傾げて唸ると、ガブリエルに目を向けた。

 確かにゲームが好きでなければ、あと1日を何もせずに過ごすのは退屈だろう。

 するとクミカの言いたい事が分かったのか、ガブリエルは小さく笑い。

「どちらでも構いませんよ?」

 と、手に持ったノートパソコン入りのビジネスバックを小さく掲げる。

 それを見た俺とクミカは笑みを浮かべて顔を見合わせた。

「いける口でしたか。」

 そう言って、俺達は通信環境の整った空港の中へと戻った。




「ガブリエルさんはその右お願いします。」

「分かりました。」

「ユウマフォローお願い。」

「今行きます。」

 俺達は空港の椅子でそんな事を呟きながらゲームをしていた。


 ストラテジーゲームで数戦協力プレイをしたが、ガブリエルは俺やクミカに匹敵する実力の持ち主だった。

「「「あっ……。」」」

 しかしマッチングシステムで自動マッチした野良のプレイヤーはそうとは限らない。

 顔も見たことも無いような仲間のミスに俺達はため息をつかざるを得なかった。


「勝てたからいいですが……。」

 あのミスがなければもっと早く終わっていただろう。などと考えて溜息を吐く。

 クミカは俺の言葉に「うんうん。」と頷くと空港の高い天井を仰いだ。

「あと2人欲しいよねー。トウカちゃんとアフロくんがいればいいんだけど……。」

「一人で二台操作という手もあるんですが。」

 今は人数分しかノートパソコンは無く、空港内にはノートパソコンを買えるようなショップも無い。

「ここから車で1時間も無いところにショップがあるみたいですね。」

 するとスマホで何かしらを調べたらしいスマホを片手に、冗談めかした笑いで「行きますか?」と言ったガブリエルに俺とクミカは真顔でこう言った。

「「賛成。」」




 ・ショッピングモール

 流石にキャリーケースを引き回して買い物をするのは邪魔になり、空港の荷物預かり所に荷物を預けた俺達は、最低限の荷物だけを持って近くの街のショッピングモールへと来ていた。


「自分はこのマウスを使ってますね。」

「へー。じゃあ私もこれにしてみようかな。」

 ショップに並ぶ商品を見ながら俺とクミカはそんな会話を交わしていると、ガブリエルが疑問を口にした。

「ところで誰が2台操作をするんです?」

 その言葉に俺とクミカは顔を見合わせる。

「買うのはユウマくんだけど……。」

 今回ノートパソコン2台と周辺機器諸々は俺が購入する事になった。

 一部とはいえ、裏山の街側の一部を購入したお陰でかなり減ったアフロの資金を、流石に私用ゲームの為に使うのは気が引けたからだ。

 俺に向けられたクミカの視線に答えるようにおれは

「誰でも構いませんよ。2台操作するのは2人ですし順番1人が休めるように回せばいいんじゃないですか?勿論出来る前提での話ですが……。」

 そう呟くと3人それぞれで顔を見交わした。

「自分は出来ますよ。」

「私も。」

 俺、クミカと答え、最後にガブリエルに視線が集まると「問題なく。」と微笑を浮かべた。

 それもそうか。付け焼き刃とは言えど俺の心理学で思考が読めない奴だ。




 思考の読めない奴。

 今のところ読めないのはクミカとラファエル、ガブリエル、そして老爺だ。

 この4人には共通点がある。

 それは、何かに置いて〈俺と同等以上〉という事だ。

 クミカは〈最善の手を破るための最善ではない最善の手〉を説き、結果俺はラファエルに勝利した。

 確かに俺は最善の手を繰り返せば結果は勝つという、最善の手を出せるが故に雑な思考をしていた事は認めるが、クミカは俺の上を行った。

 全貌は見えていないが以前から垣間見えていた運動能力も一般的な人間を大きく超えた物だ。

 次にラファエルは俺達の奥深くを覗いたような交渉をし、俺に傷を負わせるだけの攻撃を繰り出した。

 その攻撃は音速を超え、俺と同等以上の存在という証拠だろう。

 そして老爺。老爺に関しては〈勘〉や〈気配〉としか言いざるを得ない。

 それほどに謎なのだ。

 しかし、あの〈あり得ない〉頭痛や内側の俺、その引き金が老爺だとすれば俺と同等……いや、〈俺以上〉なのは間違いないだろう。

 最後にガブリエル。ガブリエルは思考が読めない。故に同等以上だろう、という仮説だ。

 逆にこの仮説が正しく無ければ思考の読めない理由は全く分からない。



 この4人には共通点はあれども関係性はない。

 思考の読めない奴の共通点は俺と同等以上と言ったが。その逆もまた然り。

 今後思考の読めない者が現れれば、それは俺と同等以上の可能性があるという事だ。




 必要なものを買い終わった俺達は空港へと戻って来ていた。

 ノートパソコンを買うために行った町で1泊すると言う選択肢もあったが、それは「お金が勿体無いし、空港にいた方があまり動かなくていいんじゃない?」と言うクミカの意見によって捨てられた。


「サインアップは終わりましたよ。」

 空港には机のある場所が少なく、組んで足の上に2台のノートパソコンを乗せ、2台同時操作でサインアップを済ませた俺は2人に視線を向ける。

 どうやら、最初に使っていた3台を使って2台操作の練習をしていたクミカとガブリエルもちょうどキリのいいところだったらしく、すぐに俺に視線が向けられた。

「今試してたんだけど……机がないと2台同時操作はバランスが悪いね。」

 そう、片膝だけにノートパソコンを乗せると端末のバランスが悪い。

 まあ今の俺のように足を組めば少し安定するにはするが。



 ところで。トランプタワーと言うものを知っているだろうか。

 トランプ2枚をバランスよく立てて三角を作り、その上にまた三角を作る。を繰り返したものだ。

 そのトランプタワーでは2枚のカードが交わる〈辺〉2本を使って1枚のカードを載せる。3つの三角の上では3本の辺を使って2枚のカードを乗せ、4つの三角の上では4本の辺を使って3枚のカードを載せる。

 つまり左右端以外の三角は2枚のカードを端を支えているのだ。



 ではカードをノートパソコンパソコンに起き変えてみよう。

 5つのノートパソコンを支えるのに必要な辺は何本か。

 正解は6本だ。

 次に俺達3人には何本の足があるだろう。

 正解は6本だ。


 

 バランスが悪いのを嫌がった俺達はトランプタワーの容量で自分の両膝で一台、そして隣の人と自分の片足の間に一台を乗せ、3人で5台のノートパソコンをバランス良く操作すると言う答えを導き出していた。


 ついでに3人で何十もの視線を集めていた。

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 見たところで大したことも無いですがもしよければ見てみて下さい(ほとんど呟かない笑)。

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