名目
・海星学園 裏山 合宿棟
「これは死活問題だね……。」
「まあ土台といえばそうですが………。」
扉を開く音ともにアフロが入ってきた。
「んぁ?どした?2人とも。」
「いえ、少々問題が起こっていまして……。」
するとアフロの表情は険しくなる。
「仕事か?」
「「………。」」
「おはようござっ!?」
アフロが来てから少しして部室に入ってきたトウカは、それぞれ机に肘を置き、顔の前で手を組んでいる俺達の状況を見て何かを察したのか驚いた声を出した。
「…何してるんですか?」
「トウカちゃん………。」
そう説明を始めたアフロにトウカは息を飲む。
「俺達最近UMAさがしてねぇ!!!」
その言葉にトウカは目を見開き両手を頭に置く。
「…え?あれ?………最後って…レオ………?」
よほど混乱しているな…。
そう、俺達は夏休みのジャッカロープ以来UMAを探していないのだ。
「と言うわけで。」
「緊急!U.M.A研究部の活動どうするか会議!!」
どこからか持ってきたカンペを手にアフロは叫んだ。
「正直なところ仕事があるせいでUMAを探しに行く暇なんてありません。」
「ユウマくんの言う通りだな…。」
「かといって仕事を放り出せませんしね……。」
トウカの呟きに全員が頷く。
「その上カマイタチちゃんやブラックドッグちゃん達みたいに何かすごい力を持っていたなら少人数で行くのも………。」
それぞれが何かを思い浮かべたのか天井を仰ぎながら唸り声をあげた。
「UMA…ユウマかぁ………。ユウマ君研究したら活動になるんじゃね?」
ダジャレに巻き込むな。
「ねぇ、あんた達?最近私にノータッチ過ぎるわよ?ユウマ調べる前にUMA調べなさいよ!」
「ん?………アフロ先輩の言う通りです!!UMAが無理ならユウマを研究すればいいじゃないですか!!」
トウカに無視されたツチノコはクミカの前で落ち込んだ。
あと別にいいがさりげなく呼び捨てにするな。
「それにすごい力を持っていると言う点では変わりありませんし!!」
なるほど…。それが目的か。
いい名目を見つけた!と語るトウカの目を見て俺はため息をつく。
「分かりました。どうぞ…。」
そういうとトウカとアフロは目の色を変えて俺に迫ってきた。
「「ユウマ「くん」「先輩」の才能は「なんですか」「なんなんだ」!!?」」
言葉が入り混じっている………。
この学園ゆえの質問だな。まあ別に隠しているわけではないからいいか。
「自分の才能は〈全能〉です。」
この学園では入園時、もしくは才能が覚醒した際に才能への名前が付けられる。
例えば結果的な筋力、筋持久力、瞬発力、心肺持久力、敏捷性、平衡力、柔軟性が一般的な平均を大きく上回ったとすれば、それは〈超身体能力〉と名付けられる。
しかし最大時50305人の生徒がいる学園だ。あまりに異質でない限りは誰かしらと才能が被る。
超身体能力を例にするならば、〈超筋力〉や〈超筋持久力〉など、超身体能力の一部のみの才能の場合もある。
そしてこの学園は似た才能の中で常に選別を行い、才能が不足している生徒を退学させていく。
さて、今の話を聞いた一般的な人間は超筋力が超身体能力に勝てるのかと疑問に思うだろう。
だがそれは違う。10の力を7つ持ったところで、個々は11の力には勝てず、7つをとしても71の力には勝てない。
されど数を持つ者はそれぞれを使う。
1つしか持たぬ者は1つを極め、数を持つ者は数を使う事を極める。
………脱線したな。
「ん?今なんつった?」
「全能?…全知全能の全能?」
2人はまるでアフロが縮毛矯正を食らった……もとい鳩が豆鉄砲を食らったような表情で俺をまっすぐ見た。
「その全能です。自分は少々特異ですので。」
少しの沈黙の後「じゃ、じゃあ。」とトウカは動揺しながら手を挙げた。
「キーが学園に来てたあの時窓から跳んで行ったアレも?」
あぁ、夏休みが開けたら修理されていたアレか。
「ええ。アレはいくつかの物を掛け合わせた物ですが。」
「掛け合わせた?って事は全能の中にもいろんな才能があるのか?」
………才能か…。
「どうかしたか?」
「いえ、才能と呼ばれるのはどうも好きでは無いものでして。」
クミカがネズミのオモチャでツチノコと遊ぶ横で2人は首をかしげる。
俺は2人の視線を受けながらペン立てのペンを一本手に持ち。
「っ!!」
「おい!」
それを腕に突き刺した。
突然の事にトウカは目を伏せ、アフロは一瞬固まりすぐにティッシュを手に取った。
「何やってるんだよ!」
隙間から溢れる血を見てアフロは強引にペンを抜き傷口を強く押さえる。
「アフロ先輩。」
そう声をかけて手を離させ、腕に付いた血をティッシュで拭き取っていく。
「はぁ?」
アフロの驚いた声に強く目を閉じていたトウカは恐る恐る目を向けた。
「…え?」
超治癒力によって完治し、もう血の溢れることのない腕を見た2人は驚いた表情を俺に向けた。
「なんのマジックだ?」
その震えた声のアフロはマジックのタネを求めるのではなく、マジックである事を望んでいるようだった。
「こんな物は才能でもなんでもない。ただの〈異常〉です。」
2人は何かを言おうとしていた口を閉じ、机に落ちた血を拭いていった。
「まあ呼び方はなんでも構いません。その異常に助けられている事もありますから。」
そう笑いかけると引きつっていた2人の顔が少し緩んだ。
「窓から飛んで行ったアレは〈超身体能力〉と〈超運動能力〉を〈完全身体制御〉で底上げし、その弱点である身体への過剰な負担を〈超治癒力〉でカバーしただけです。」
またもや呆然としていた2人はすぐに「「ちょっと待って「くださいね」「くれ」?」」と手のひらをこちらに向けた。
「えーと?超身体能力?完…?」
まさかこんな形で説明すると思っていなかったが…。
俺の7つ目の異常〈超身体能力〉。
8つ目の異常〈超運動能力〉。
9つ目の異常〈完全身体制御〉。
〈超身体能力〉はさきも言ったとおり結果的な筋力、筋持久力、瞬発力、心肺持久力、敏捷性、平衡力、柔軟性が一般的な平均を大きく上回った異常だ。
しかし瞬発力などはまだしも身長170cm、外見は細身の俺に筋力は無理だろうと人は言う。
しかしそれはあくまでも結果。筋肉をどれだけつけたところで質が悪ければ意味はなく、まして使いこなせないとなると無い方がマシだ。
より質の良い筋繊維をより良い配列で並べ。そしてそれを7つ目の〈超運動能力〉で使いこなす。
〈超運動能力〉これは簡単に言えば異常なまでの〈技〉だ。
筋力も筋持久力も瞬発力も心肺持久力も敏捷性も平衡力も柔軟性も。いくら持っていたとしても使いこなせないのでは意味がない。
必要な時に必要な能力を。そしてそれを最大限に生かす方法を。
走るのなら重力や空気抵抗。泳ぐのなら水の抵抗や手の入水角。
一般的な人間の経験からくる大まかな予測ではなく科学的な計算からくる完全な予測。
これはその計算をするだけの知識と能力がなければできないが、できるからこその〈超運動能力〉なのだ。
そして8つ目の〈完全身体制御〉。もし超身体能力を〈力〉と例え、超運動能力を〈技〉と例えるのなら。この完全身体制御は力と技を使う〈人〉だ。
本来ならその〈人〉は力のことを言う。
だがもし力と技を別と考え、それをを持ったその〈人〉自体が強化されたとすれば?
もちろん、使われる力も技も底上げされる。
まあ長々と説明したが、気になるのは方法だろう。
キーに向かって跳んだ時の事を例に話そう。
まず全身のリミッターを外す。
こんな話を聞いたことはないだろうか?人間の身体は全力を出していない。全力をだせば身体が耐えられないためにリミッターがかかっているのだと。
脳においては最近では徐々に否定されてきているが筋肉などについては別。
身体に電気を流すと、意図した全力よりも強い力が出せることが分かっている。
しかしリミッターを外したとしてもせいぜい1割り増しされる程度。
それだけでは足りない。
次に血流を加速させる。
これは運動をした時に多少加速する程度ではない。血管、細胞が破壊されるのは当たり前、超治癒力が間に合うギリギリまで加速させる。
そして最後だ。超治癒力が間に合おうが間に合わなかろうが関係ない、その時に必要な力を出す。
例えその瞬間筋肉が裂け、骨が砕け、血管が破裂しようとも数秒から数分すれば超治癒力で治癒する。
キーの時は、着地までの間に治癒しきれるように調整さた。
つまり〈完全身体制御〉は身体の全ての部分を意図的に制御出来ることだ。
超身体能力、超運動能力、完全身体制御、超治癒力の説明を聞いたトウカとアフロは真顔で固まっていた。
「んーと…。ユウマ君がUMAよりも凄い事は分かったよ。」
トウカは小さく頷いた。
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