6-2
「残り約500!!」
耳のイヤホンに観測係からの報告が届いた。
「クミカ。そっちで100人行けますか?」
そう問いかけると同時に、拾った拳銃持っていたクミカは発砲した。その弾は犯罪者の持つ拳銃の銃口に入っていき、銃身内で起こった異常高圧は犯罪者の銃を破裂させる。
「これも入る?」
すると爆発で倒れた犯罪者を背に質問を返してきた。
つまり可能と……。
だが。
「入るとしてもまだ足りませんよ?」
「分かって、るっ!」
そう言うと背後でよろけながらも立ち上がった犯罪者に目も向けず銃そのものを投げて犯罪者を気絶させた。
「優しいですね。」
「そんなことよりも1人で100人。ユウマは行けるの?」
「フッ。」
背後から飛びかかってきたナイフを持った男女2人の頭を掴み体を浮かせる。
すると2人はナイフを振り回し、俺の顔や腕を斬り裂いた。
「「はぁ!?」」
すると2人は俺の指の隙間から見える目を見開き、驚きの感情を見せた。
おそらくは切り裂いた次の瞬間には傷が治っているからだろう。
俺の6つ目の異常。
〈超治癒力〉
今までの俺を見ていたなら気付いている者も多かっただろう。これは文字通り異常な程の治癒力だ。
カマイタチの住処の縦穴を落ちた時の骨折も。キーの虫に食われた肉も。ガブリエルに破られた脇腹もこの異常で治した。
度合いにもよるが肉の傷なら数秒から数十秒、骨なら数十秒から数分で治癒できる。また、脳や心臓などの再生しにくい部分も数分から数十分あれば完治する。もう一度言うが度合いにもよる……。
だからといって。
「むやみやたらと斬らないでくれ。」
離れた場所で特殊急襲部隊を手こずらせていた犯罪者に向かって両手の2人を投げ飛ばす。
「今のは含まないでおきます。」
「余裕そうだね。」
そう2人で笑い合い、俺達はそれぞれ別の方向へと走った。
「よし……100人!」
クミカの声を背に目の前の男の顎を蹴り上げる。
「こちらも終わりました。」
そう答えて周囲を見ると特殊急襲部隊に命にかかわる程の怪我はなく、また大怪我の部類のやつらも後ろに下がり治療を受けている。
犯罪者達の中に大きな脅威もなく、数も特殊急襲部隊以下に減った。
もう俺達が手出しする必要はないだろう。
「さて、一応ですが手分けして見回りましょう。」
「そうだね!」
エコロケーションで瓦礫の下や箱の中を見ていき、それでも見えない場所は直接目でたしかめる。
それを繰り返して犯罪者都市を隅まで調べていた。
「まあ分かってはいましたが、特にいませんね。」
「まあ分かっていたけどね。」
そして手分けしていた俺とクミカが調べ終わる頃には周囲の犯罪者はほとんどいなくなっていた。
「終わったのか?」
はじめに突き破った壁近くで構えた拠点に集まった特殊急襲部隊の隊長に声をかける。
仕方ないとはいえ怪我人は出てしまったか。
「生きていた犯罪者は逮捕。犯罪者都市外の輸送班に受け渡し済みだ。」
治療を受ける者達を横目に俺は隊長の言葉に耳を傾ける。
数十人の重傷者と残りのほぼ全員も軽傷といったところか。
「犯罪者側に死者は?」
「少ないとは言えない。」
「そうか。残っていないか確認はしてきたが他にいないか一応見ておけ。爆発してしまっていたが奥に隠し部屋があった。そこも確認しておけ。」
「分かった。」
隊長の返事を聞いた俺達は隊長の隣を通り過ぎる。
「俺達は帰る。依頼達成の報告頼んだぞ。」
そう伝えた俺達は特殊急襲部隊、そして犯罪者都市の外で逮捕した犯罪者達の対処に追われる他の奴らの視線を浴びながらその場を後にした。
「クミカは上で待っているガブリエルの車でトウカちゃんとアフロ先輩を拾っておいてください。すぐに合流します。」
「了解。終わったら電話して。」
「という具合に犯罪者都市……いや旧第3マーケットは殲滅された。」
「警告通りだな。だがまさか壊滅作戦に参加しているとは……いいのか?俺達を逃して。ブラックエンジェル。」
「あぁ。それが契約だ。」
そう無感情に、白く美しい髪の少年は呟いた。
約一ヶ月前。俺、アトラクトのコミュニティの中に俺の管轄する地下第3マーケットが壊滅されるという噂が流れた。
どうせ第1か第2マーケットの適当な奴らが回した噂だと思いながらも出所が1人の情報屋と分かった頃。
ブラックエンジェルと自称する少年がやって来た。
「今ここに流れている噂の主だ。」
武器も何も持たず現れた少年は部下からの報告で様子見に出た俺に迷いなく話しかけてきた。
「名無しの情報屋が広めたんだろ?」
そして的確に真実を突いてきたその情報は、数十人の警備を吹き飛ばしながら言い放たれた。
弾丸を避け、懐に入り、無力化する。
そして大勢の中に紛れていた俺に迷いなく近づいた少年は交渉を仕掛けてきた。
あれだけの力を見せつけられ、断れない俺は人の目のない俺の部屋に呼び話を聞くことにした。
「つまりなんだ?あの噂は本当だと?」
「ああ。俺が国から直接聞いた話だ。まさか1人の情報屋に渡しただけでここまで広がるとは思っていなかったがな。」
そうなると少々まずいな…。
うちはタダでもなく第1第2に劣るマーケット。唯一誇っていた安全性も危ういとなると逃げるしかない。
「それで?そんな死ぬ寸前の第3マーケットとお前は何を交渉したい?」
「第1、そして第2マーケットの乗っ取りと一部の商品の独占購入権。」
目的は独占購入権。そして俺へのリターンが……。
「ん?乗っ取り?」
「もちろん最大限の助力をする。そこで独占したい物は」
「ちょっとまった!!今乗っ取るって言ったか?第1と第2を?」
「そうだ。」
無理だ!
「相手はこの国で一番いかれてる奴と一番の後ろ盾を持っている奴だ!」
すると少年は溜息を吐く
「せめて方法を聞いてからにしろ。」
まあ、そう言われればそうだが……。
「分かった。聞こう。」
少年の作戦は全てを利用したような物だった。
狡猾にして、しかし無理矢理。
だが、そんな少年の作戦を聞いた俺は不思議なことに聞けば聞くほど可能ではないかと思えてきた。
「で、どうする?」
どうせ死ぬ第3マーケット。たとえ捨てて逃げたとしても行き場は少ない。
恨まれる事も山のようにしてきた。力を失えばそれを晴らしに来る奴らも多いだろう………。
「………。」
「………。」
「乗った。」
「世話になってるな。」
俺のマーケットとは違い、地下の小さな一室だけの第2マーケットの扉を開き、管轄するプラダクトに声をかける。
部屋の奥にいた長身の赤い単発の男。そして性格は
「ん?おお!こりゃ死にかけの第3マーケット!」
毒舌。
帰りたい。
笑みを崩さずにそう心で叫びながら俺は言われた通りに話を進める。
「ちょっとした交渉があるんだ。どうだ?」
「閉店セールってか?いいぜ?聞こうじゃねぇか。」
「お前!!」
そう睨みつけながら胸ぐらを掴んできたプラダクトに笑いかける。
そう、俺は第2マーケットの場所を通報すると脅したのだ。
「殺したければ殺せ。ただし俺が帰らなかったら第2マーケットを通報するように言ってある。」
「チッ……。」
渋々手を離したプラダクトは、なお睨み続けてきた。
「目的はなんだ。」
少年の指導のおかげで散弾を食らいながらも笑い続けた不死身のサイコパスを黙らせることが出来た。
ここにはいない少年に感謝しながら俺はまた言われた通りに話をすすめる。
「何でもない。今まではそれぞれで3つのマーケットを回していた。ただそれだと第1第2もいつか第3と同じく壊滅される。たがら残りの第1第2を俺とお前、そしてセイルズの3人で回していきたいんだ。」
俺の話を聞いたプラダクト一瞬固まると、鼻で笑い椅子に姿勢悪く座った。
「無理だな。事実第3を壊滅させるという行動を起こされている今、第2にとっては脅されればそれに乗るしかねぇ。だが第1は違う。通報なんて意味をなさない。お前だって奴の後ろに付いているモノが何か知ってるだろ?」
そう、あの後ろ盾に勝てるものなんてこの国にはいない。
〈国〉という後ろ盾が付いてるんだから。
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