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霧崎UMAの優真譚  作者: 尾高 太陽
File.6
37/73

2-1

 ・海星学園 高等部棟 生物室(U.M.A研究部室)

「で?どうするよ。7つとも簡単に出来る物じゃねぇぞ。俺達には学校もあるしよぉ。」

 全てを休みの日のみで終わらせるには少し無理がある。

「思っている以上にギリギリになりそうですね。」

 すると「その点ですが…。」とガブリエルはスーツの内ポケットから紙を出して読み上げた。

「今回の依頼は海星学園裏山の土地を購入するために必要な金額分の内容だが、それを依頼する条件として現実的に可能というものだったが、時間的、人道的に可能な条件が少無く、とくに時間的に不可能な物が多かったため依頼の場合に限り海星学園での講義への参加を自由参加とする。との事です。」

 ほぅ………。

「つまり仕事をする時間はあると言うことですか。」

「なら余裕じゃね?」

 ほほう。

「ならアフロ先輩はどの仕事をやりますか?自分達は3人で行きますが…。」

 余裕ならできるよな?

「ごめん。」

 折れるの早いな。


「さて、アフロ先輩は一人でやるにしろやらないにしろ次の仕事はあまり遠出したくないと言うのが自分のこと望みですかね。」

「俺の事嫌いになったのか?」

 お前は恋愛ドラマの男主人公の昔の女か。

 「なったではなくだった、ですね。」とトウカ答えた。

「となれば下3つだよね。犯罪者都市か質問か成長実験か。」

「質問に関しても自分一人で行けば充分でしょう。」

 成長実験に関しては国も内容を理解していないからな。

「今回は犯罪者都市の壊滅ですね。」


「はい逃げなーい。」

 次の瞬間、逃げようとするトウカとアフロが部屋の扉の前でクミカに捕まった。

「どの仕事も結局はしないとダメなんですから。」

 そう言って俺が捕まえたアフロは「でも嫌だあぁぁぁ!!!」と叫んだ。

 子供か。

「かといって内容の分からない成長実験も嫌です!!」

 トウカの意見はもっともだな。

「ユウマ君も言ったけど結局やるんだよ?」

「となれば………。」

 ーーーーーーーーーー

 マリアナ海溝の調査補佐

 マリアナ海溝チャレンジャー海淵の有人調査の補佐。

 ーーーーーーーーーー



 ・マリアナ海溝最深部 潜水艇内

「はぁ………右前方に噴出孔確認。」

 運転する俺とアフロの背後で記録や観察をするトウカが報告した。

 確かクミカも報告するはずだが……。

 振り返るとクミカは静かにソナーだけを眺めていた。


「なんかもう………ここ最近が非現実過ぎて深海程度じゃテンションが上がらない事に気付きました。」

「深海といってもあるのは暗闇と噴出孔、あとバカみてえに溜まったゴミとよく分からねえ生物だしな。」

 まあ仕事の内容はチャレンジャー海溝の細かな情報だ。

 進んだ方向と距離を記録する機械のおかげで俺達は支給された潜水艇で深海を徘徊するだけでいい。

 すると艇内の通信機からザーというの雑音に紛れて中年の男の声が聞こえてきた。

『あーあー。こちら博士だ!何か異常はないのか?』

 異常を求めるような言い方をするな。

「自分で博士って言わないでください。」

 トウカの指摘に博士はホッホッホと取ってつけたような笑い方をした。

「と言うか何故か自分達が潜水艇に乗っているんです?補佐のはずでは?」

『いやはや、内の研究所の奴らは研究するだけで操作が出来なくてな。』

「「はぁ!!?」」

「どうやって作ったんです?」

『既存の潜水艇のシステムをまんまパクってそれに色々と後付けした。』

 どうりでガムテープや剥き出しの配線が多いわけだ。

「………おい待て。何を後付けした?」

『戦闘用アームとワイヤーの射出砲、その他諸々だ!」

 するとアフロは通信機に声を上げた。

「だ!じゃねぇ!!!んなもんつけてこの潜水艇は大丈夫なんだろうな!!?」

『まあ………多分。』

 多分………。多分?

 流石にこの深さだと帰るのは難しいぞ………。

「博士、もう一度聞きますよ?何故自分達が潜水艇に乗っているんです?」

『誰も乗りたがらなかったんじゃ!』

 はい確信犯。

「依頼時の情報に誤りが見受けられます。今すぐ自分達は帰還しますが依頼金は支払ってください。」

『わー!わー!ちょっと待った!!一応物理的にはあまりの衝撃がない限りは無事なはずだ!!それに現時点では問題はないんだろ!?』

 博士キャラが剥がれてきてるな。

「今回はチャレンジャー海溝の調査だ。俺達はどこまで調査すればいい。」

『ん、なら今回は海溝の端から端までを壁に沿って往復するだけでいい。』

 今考えたろ。

「分かりました。」


「全く、なんで俺達はこんな事やってるんだ?」

 すると俺の左で操縦するアフロがそう言ってため息を吐いた。

 金のためだ。

「俺達はU.M.A研究部だぜ?なんだったら巨大イカタコの1匹や2匹出てこいよ!!」

「本当に出てきたらどうするんですか。ただでも狭くて最悪なのにこんな所で死にたく無いですよ。

 まったくだ。まあ本来なら4人が大の字で寝れるほどの広さはあったんだがな。今となっては畳2つ分。

 操縦席の後ろに置かれ4つの脱出ポッド。俺が博士に無理やり乗せさせたそれを尻目に見る。


 こんな所でU.M.Aに出てこられて俺達に出来ることなど………。

 なぜ戦闘用アームとワイヤーの射出砲なんて物がある?

「おい博士。さっきら乗れないからと答えればいい質問で誰も乗りたがらなかったと答えた?

『それは………。』

「おい待て!!あからさまに口籠ってるじゃねえか!!」

「なんなら潜水艇に不備があったとしてもアフロ先輩のフラグだけは回収して欲しくないです。」

 不備なく帰りたい。

「ですが地球のサイズだとシロナガスクジラよりも大きな生物が繁栄するのは難しいらしいですよ。」

 浮力がある水中、エネルギーなど考慮してもシロナガスクジラが生物としての限界らしい………。俺は何を説明しているのだろう。

 しかしその説明のお陰でトウカとアフロはホッと息を吐いた。

『あー、えー。皆さん聞こえますか?』

 博士の声から変わって通信機から聞こえてきたのは俺が置いてきたガブリエルの声だった。

『先程の会話から調べたところどうやら博士達は数度無人探査機にて操作していたようです。』

 つまり俺たちが来た理由があるわけか……。

『ただ。』

 ただ?

「「「ただ?」」」

 通信の遅延なのかガブリエルの言葉が突然途切れた。

『CMの後にしておきますか?』

 帰ったら瀬戸内海に沈めてやる。

『冗談です。ただ38機全てにおいて突然信号が消えています。』

「「「………。」」」

「撤退。」

 その俺の言葉にアフロは慌ただしく潜水艇の操作をし始めた。

『カメラの最後の通信からだと明らかに操作ミスによる故障ではなく、噴出孔が突然現れたとしても38回連続というのはおかしいです。』

「機械の不備という可能性は?」

『今回皆さんが乗っている潜水艇以外は全て既存の無人探査機をそのまま使っているので不備という可能性は低いと思われます。』


「マズイですマズイです!!フラグ回収です!!」

「おお神よ……俺は無神論者だが苦しい時の神頼みだ。俺に深海で生きる力を………。」

 適応しようとするな。生き延びれるように願え。

「ってあれ?」

 今度はなんだ。

「今まで噴出孔を避ける為にライトを下に向けてましたけど………ここって天上ありました?」

 窓から上を見上げるとそこには氷柱のように伸びた岩が並ぶ岩肌があった。

 ………。

「とにかく今来た道を帰りましょう。」

 いつの間にか洞窟に入っていたのか。

 このままでは何かあったときに脱出ポッドを使えないこともだが、それよりも根本的な問題は………。

 慌ただしく動くトウカとアフロと違いソナーを眺め続けているクミに目を移す。

 何故軍用ソナーをつけていたにもかかわらず洞窟と分からなかったか。

 ソナー範囲に壁が映らないほど洞窟が広かったのか…。クミが見て見ぬ振りをしていたか………。

「すいませんアフロ先輩、少しの間操縦を任せます。」


「クミ先輩。」

「んー?」

「随分と落ち着いてますね…。」

 今の状況が当たり前かのように。すなわちこうなる事を知っていたかのように。

 ソナーを除くとそこには広いながらもソナーの範囲内に壁があった。

「なんで報告しなかったんです?」

「………。」

「なぜかと聞いている。」

 少し強めの言葉にトウカとアフロが反応した。

「ふふ。見てたら分かるよ。」

 そう不敵な笑みを浮かべるクミが眺めるソナーには潜水艇の1.5倍ほどある巨大な影が映っていた。

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 見たところで大したことも無いですがもしよければ見てみて下さい(ほとんど呟かない笑)。

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