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霧崎UMAの優真譚  作者: 尾高 太陽
File.6
33/73

1-1

「で?どれをするよ?全部に関連がねぇんならどれからやってもいいんだろ?」

「って言ってもこれ仕事に難易度ありません?」

「予測でイージーモードから順番にやるか。完全にランダムでいくかだね。」

 ここはイージーから行くべきなんだろうが…。

「イージー。となると………。」

 机に広がった10枚の内1枚に視線が集まる。

「「「「「………。」」」」」

 まるで時が静止したかのような時が流れる。

 そう。あの一枚。アレには…

「あぁもう!!やめだやめだ!!アレは後回し!他のやつにしようぜ!!」

「………。」

 ……まあ無難だろうな。

「ではこれはどうでしょう?」

 ーーーーーーーーーー

 自衛隊の総合力においての改善点の提示。

 ーーーーーーーーーー

「改善点って言われても……どうしようもなくねぇか?」

 腕を組んで紙をひらひらさせるアフロ。その間合いに入るかのようにトウカはその紙の裏を覗き込んだ。

「ん?後ろに何か書いてありますよ?」

 その裏面を、遠くからただ俺達を眺めているガブリエル以外が覗き込んだ。

「これは…地図?」

「これは自衛隊特殊作戦群の編成地。それと現在公開されている情報ですね。」

「あ?でも舎内の情報って公開するか?…ほれ見ろここが駐屯地司令室だってよ。」

 そう言ってアフロが指差した正面、横、上の三方向から撮られた舎外の写真には印が書かれていた。

「そう言うことか………。これ、侵入してここに来いと言うことですね。多分それまでに全力の防犯、防衛行動をするからそれを掻い潜り、その改善点を教えろって事でしょう。」

「「はぁ!!!?」」

 仲良く声を合わせたアフロとトウカは勢いよく紙に顔を寄せた。

「「いやいやいやいや!!」」

 まず侵入なんて出来ないと言うような顔だな。

「これは後日、1人で行きます。」

 訓練に参加するか観察するかして適当に改善点を言えばいいとでも思っていたが、侵入となれば別だな。この仕事ではアフロもトウカも役に立たない。

 まあそんなに甘くないと言うことか。

「そうですね。今回はこの仕事をしますか。」

 一枚を指差すとクミカを含めた3人は紙を見て逃げ出した。


「アフロ先輩やトウカちゃんはともかく何クミカまで逃げてるんですか。」

 逃げた3人の襟首をつかんでそう問うとクミカは「あはは〜。」わざとらしく笑った。

「冗談だよぉ~。」

「「呼び捨て!?」」

 しまった………。この2人の前では気を付けていたが油断してしまった。

 まあ、こう言う時は。

「「え?」」

「2人揃って「え?」じゃねぇよ!!今クミカって呼び捨てにしてたろ!!」

 声を荒げるアフロの後ろにそっとトウカもくっついた。

「………?いいえ?」

「しらばっくれるなよ!!呼び捨てにされたよな?クミちゃん?」

「………?いいえ?」

「っんで!反応同じなんだよ!!」

 っんで!かと言うとクミカも隠そうとしているからだ。


「勘違いは置いておいて。今回はこの仕事で良いですね?」

「勘違い………かぁ?」

 さて、2人が首を傾げている間に作戦の1つでも考えるか。





「はい。作戦開始。」

 そんな声がワイヤレスのイヤホンから聞こえた。

 同じくアフロにも聞こえたのか隣で「了解。」と返事をする。

「って言っても。多分夜ですよね。」

「まあそれまでは軽く監視でいいだろ。」

「そうですね。」

 そう言いながらも少し高揚している私と、同じく高揚しているであろうアフロはスコープを覗いた。


 相手の密輸予測地点の港から2.5キロ離れたビル、その屋上で私達は伏せて狙撃銃を構えていた。


「にしても…。」

 スコープから目を離す。

 私の半分程の長く凹凸の多いその外装からは所々少し不恰好に導線がはみ出し、二脚が支える長い銃身からはさらにサウンドサプレッサーが伸びる。

 そして2つの引き金と、銃の部品ごとから伸びる導線をノートパソコンに繋げるという普通の銃ならあり得ない姿。


 JORG1520


 その姿を今一度見てため息が出る。

「いくら麻酔で死なないとはいえ、よくこんな物貸しましたね。」

 と、出会った時から無表情のガブリエルに問いかける。

「今までは実験時に似た条件下でのみ行っていたので様々な条件でのデータを取りたい…らしく。そちらは法にかかる事なく武器を使え、こちらはデータを手に入れられる。win-winです。」

 らしい…。

 そうガブリエルはただ伝言を伝えるだけなのだ。

「それにしてもたった2日で準備を終えるとは…。」

「準備が遅いから仕事が出来なかったと言わせないためでしょうね。」

 さすがにそれを考える力はあるか。

 ラファエルに続いてガブリエル…。三大天使と呼ばれる天使の内の2人。これは偶然か…それともラファエルが送り込んだ仲間なのか………。

 ガブリエル。警戒が必要かな。


「さてと。丁度隣のビルのおかげで日陰ですし銃に馴染んでおきますかね。」

 チークパッドを肩に当てようと銃を引くと、びっくりするぐらいに動かなかった。

「あれ?」

 よく見ると直方体の銃床と思っていた部分が地面に溶接されていた。

「くっついてる…。」

 後ろで無表情に立つガブリエルに視線を向けると何を言おうとしているのか分かったのか「ああ。」と、頷いた。

「銃の扱いも分からない人が使えばいくら超高性能の銃でも扱いきれないので衝撃を抑えるための部品も付けさせていただきました。」

 ガブリエルは「勿論照準は合わせられるように上下前後左右に動きます。」と私の肩の直方体を指差した。

 確かに方向は変えられたけど…。やっぱりその度に私が動かないといけないのは違和感があるな~。




「撃ちますよー!」

「…いつでもいいよ。」

 人影がいないかを見てもらっていたユウマ先輩の少し遅延した返事に私は引き金に指をかける。


 中指の引き金は標的までの距離とあらかじめここ半径数キロ一帯に仕掛けた風力測定器や気圧計から、風向き減速度などを別の場所の高性能コンピュータに送りそこで角度を計算させる。

 そしてその計算されたものを銃につなげたノートパソコンを通して特別製のスコープに狙うポイントを表示。

 あとはそこに照準を合わせて人差し指の引き金を引くだけ。

 それによって麻酔弾は発射され照準の場所に当たる………らしい。


 その実験を今やっていた。


 偶然転がっていた空き缶に照準を合わせて中指を引く。

 するとスコープに端に矢印が現れる。その矢印を追って行くと空き缶の遥か上の空に赤い印が浮かんでいた。

 あとはそれを狙って人差し指の引き金を引くだけ。

 こんな場所を狙って当たるのかと半信半疑ながらも予測が更新されて動き回るポイントを追い続け。

「3…2…1。」

 パァン!!と風船を割った時よりも少し大きい程度の音に抑えられた銃声の後。数秒して空き缶を見ていたアフロか「お、当たった。」と呟いた。

「確かにネットで見た銃の音と比べればかなり抑えられてますね。」

 音で体がビクッとなった事はそっと心に隠しておこう。

「まあ流石に鉛玉とは行かなかったな。当たるまでに8秒かかった。」

「当たったと言ってもかすった感じですよね?」

 転がる缶を見ると缶の端っこが凹んだだけだった。

「まあ本番で狙うのは最もデカいんだし気にしなくていいんでねぇか?」

 まあそうなのだが…。

「ちょっと納得行きませんね…。」

 するとイヤホンからユウマ先輩の声が聞こえた。

「…その球は練習用のゴム球だ。今のところ時間もある。好きなだけ練習していいよ。」

「ありがとうございます。」

 これで好きなだけ練習できる…。

 思わず浮かべてしまった笑みを抑えながらボルトハンドルを引いた。

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