表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】へなちょこリリーの惚れ薬  作者: 水樹みねあ
最終章
36/36

第36話 願い事、たくさん

最終回です。


 私は学校に行くことにした。

 ワンピースを一枚縫って、それを着て、ノア様がくれたペンダントをつけた。


「リリーが学校に来た!」


 懐かしい、いじめッ子のクラスメート。

 ほんの数日、学校に行ってなかっただけなのに。

 リリーのくせに、ペンダントなんてつけてるわ、とケタケタと笑う。

 ……うるさい。


「うるさいわよ?」

「なんですって!? リリーのくせに……!」


 変われ、と小さく呪文を唱える。

 そうよ、私は女神の力を使えるようになった。

 その辺に生えている草を大きく成長させて、足に絡ませた。



「きゃああああああああ!?」

「私が、今、首を絞めたらどうなると思う?」

「や、やめてよ! お願いよリリー!!」

「どうしようかな。日光浴でもしてたら。気持ちいいわよきっと」


 朝のなごやかな校庭が凍り付いた。

 そろそろ可哀想かな。


「黒百合、もういいよ」

「ええ」


 力を解放すると、すぐに草は元のサイズに戻った。


「なによ……! リリーのくせに」

「そうよ。私は友達とか精霊とか、誰かいないとなにもできない。出来そこないのへなちょこリリー。でもね。今は精霊を従えてるのよ?」

「あんたなんか……!」

「なに?」


 すごまれても、たいして怖くなかった。


 私は何を怖がって、傷付いていたのかしら……?


 黒百合の女神に初めて出会った時とか、ノア様の城に夜中に行った時の方が……よっぽど怖かったわ。



 私は、彼女の胸元をわしづかみにした。


 そうよ。

 ウジウジしてた自分からは、卒業。


「今度、私を馬鹿にしたら、こんなものじゃすまさないから」

「……」

「引きちぎって、庭に撒いてあげるわ。アリに食われて、一かけらだって残らないわ」


 

 このくらいのインパクトがないとね~、と黒百合とネタ合わせをしてきた通りに、わざと冷たく言って、私は手を離した。へたりこんだ相手を見下ろして微笑む。



「へなちょこリリーは終わりよ」





 ……なんか、違わないかなあ……?





 授業が終わると、黒百合の女神は庭で待っていてくれた。


「じゃあ私は帰るわね」

「え、どうして?」

「お前は私なしでもやっていける。やっていかなくちゃいけない」


 人と上手くやる方法と、ケンカする方法を学びなさい。

 ヤラレル前にヤレ。


「それが女神の言うことなの?」

「それが世界よ。戦いたくなくても、戦わないといけない時が来るわ。自分を大切にするためにもね」


 何かをしようとする時に、邪魔する者がどういうわけが現れる。でも負けちゃいけない。

 あきらめてはいけない。

 望めばすべてを変えられる。


 人には誰にでもその力があり、使われるのを待っている。

 世界を作れる、その力を。


「自分の思うままに生きなさい」


 いちいち守ってなんかやらない。

 そこまで優しくはない、私は星の欠片。



「まあ、困った時は呼びなさい」




 そういうと、一面に、白い百合の花が咲いた。

 きっと咲けるわ。こんな風にね。

 それまで、退屈しのぎに見守っていてあげましょう。


「私、退屈はキライなのよ」


 じゃあまたね、と彼女は風のように消えてしまった。




 なにか欲しかったわけじゃない。

 そりゃ、ノア様と一緒にいたかった。本当は。


 でも、ノア様は、ひとつだけ魔法を教えてくれた。


「変われ」


 自分自身。

 すぐに諦めてしまう自分。

 努力もしないで投げ出してしまう性格。


 そんな自分がイヤだった。

 でも変え方が解らなかった。


 彼が教えてくれたことは、そんな私自身の変え方だった。



 私はまだ、ほうきで飛べない。別にそれでも困らない。

 どこにだって歩いていける。

 よく考えたら、惚れ薬も作れるし、魔法も多少使えるようになった。

 真面目に学校に行くようになり、服の縫い方を基本から習い始めた。

 

 私は夢の続きを縫い始めた。

 もう、自分をへなちょこだなんて、絶対に思わない。





 素敵な王子様を見つけて、一緒に踊るの。

 自分で縫ったドレスを着て。

 アメジストのペンダントをつけて。




 きっともうすぐ。

 ……いや。





 すぐに叶うわ。






「あたしはリリー」



 

   完



初めて、リリーのアイディアを出したのが、2006年、下書きを始めたのが2008年の11月ごろ、野いちごで完結させたのが2009年4月27日。でもこれ、まだ1部なんです。

もともと書きたかった2部の話が長くなり過ぎたので、先に主人公リリーと黒百合の物語を1部としてまとめたものになります。2部のアイディアがまとまったので、小説家になろう

アップしたのが、今年の2月なので、ずいぶんとリリーには長く付き合ってもらっています。

小学生~中学生向けで、当時はガラケーで書いていたので、文が細切れにように感じますね。

原文はあまり変更せずに、今の小中学生にも届いてほしいという思いで更新しました。

ブックマーク、感想をいただき、更新ごとに楽しみにしているとのお声をいただき、本当に感謝しております。ありがとうございました!


2部は、4年後のリリーの物語になります。

少しずつ更新いたしますので、お付き合いいただければと思います。

読み終わった後に、少しでも元気が出る物語を書いていくつもりです。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

2017/5/7

水樹みねあ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ