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【完結済】へなちょこリリーの惚れ薬  作者: 水樹みねあ
最終章
30/36

第30話 ノアとローズの大冒険

ノアとローズと、女神との出会い。



■ ノアとローズの大冒険


 通された部屋は、以前とは違う部屋だった。

 白く塗られた壁と、大きなベッド。私の部屋だよ、とノア様は言った。

 窓からバラ園が見える。


 座って、とノア様は大きな二人掛けのソファを……音もなく出現させた。


「おばあちゃんとはどうして会ったの?」

「……聞きたい?」

「うん」

「ローズはトレジャーハンターだったんだ」

「……なんですって!?」


 それは知らなかった。


「彼女は村どころか国一番の魔力の持ち主でね。小さな村が退屈だったんだろうね。洞窟に入って、よく宝を取ってきてたよ」

「……あのおばあちゃんが……」


 初めて出会ったのは、いつだったかなと、ノア様は首をひねりながら、それでいて楽しそうに目を瞑った。


「たしか、私は弟を連れて狩りをしていてね……。森の中で道に迷った」

「……うん」

「ところがうちの山は、クマが出るんだよ」


 ……はい?


「うっかりクマに遭遇した私たちを、彼女が魔法で助けてくれたんだ」

「……」

「ワンピース一枚の女の子が、クマを一撃で蹴散らしたんだ。そりゃ惚れるよ」

「惚れないですよフツー」


 しまった、本音出た。


「……」

「……」


 ノア様は結構ざっくりした性格だったのね。


「彼女は退屈がキライだった。私は城を……といっても、あの頃はまだ一地方に過ぎなかったけど。ま、とにかく、家を抜け出して、一緒に冒険を始めた」

「冒険?」

「女神を探す冒険」


 ふふっ、とノア様はとても楽しそうに笑った。


「リリー、近所の山に女神が眠ってるなんて急に言われて、信じるかい?」

「普通は信じないですよね」

「そう。だから、私たちは誰にも邪魔されずに、眠っていた女神を探し出すことができた……。ただ、女神があんなに性格が悪いなんて」



「屋敷を抜け出して、私たちは森の中で会うようになった」


 釣りをしたり、野いちごを取ったり、弓矢で狩りをしたり、私はローズとともに過ごした。

 彼女は料理も上手で、ぱっと火を起こして焼りんごを作ったり、

 持ち寄ったパンやソーセージを挟んで、湖のほとりで二人で食べた。



 彼女はいつも古文書を書き写したものを持ち歩いていた。


「何を探してるの?」

「神様」


 古文書に残る『7人の女神』。

 その話をローズは教えてくれた。


「すべてを作った母は、石の中から娘を7人作った。そして彼女たちを星へ降ろし、自分たちに似せて人を作った」

「おとぎ話だろう?」

「私もそう思ってた。なら、どうしてラウネルに神殿が残っているの」

「……遺跡じゃないか」

「遺跡があるなら、きっと人々は信じていたのよ」

 古い伝説を知ってはいたが、神の存在を信じてはいなかった。

 ただ、ローズがあまりに楽しそうに語るのを否定するのは忍びなかった。

「すべてを作った母は、娘を作った。そしてこの地に遣わしたと古文書にはあるわ。記録があって神殿がある以上、彼女はきっと存在して、崇められていたの」


 キラキラした目でそう語る、彼女といられる時間が大切だった。

 私の退屈な毎日に割り込んできたローズ。



「神様に会ってみたくない?」






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