第30話 ノアとローズの大冒険
ノアとローズと、女神との出会い。
■ ノアとローズの大冒険
通された部屋は、以前とは違う部屋だった。
白く塗られた壁と、大きなベッド。私の部屋だよ、とノア様は言った。
窓からバラ園が見える。
座って、とノア様は大きな二人掛けのソファを……音もなく出現させた。
「おばあちゃんとはどうして会ったの?」
「……聞きたい?」
「うん」
「ローズはトレジャーハンターだったんだ」
「……なんですって!?」
それは知らなかった。
「彼女は村どころか国一番の魔力の持ち主でね。小さな村が退屈だったんだろうね。洞窟に入って、よく宝を取ってきてたよ」
「……あのおばあちゃんが……」
初めて出会ったのは、いつだったかなと、ノア様は首をひねりながら、それでいて楽しそうに目を瞑った。
「たしか、私は弟を連れて狩りをしていてね……。森の中で道に迷った」
「……うん」
「ところがうちの山は、クマが出るんだよ」
……はい?
「うっかりクマに遭遇した私たちを、彼女が魔法で助けてくれたんだ」
「……」
「ワンピース一枚の女の子が、クマを一撃で蹴散らしたんだ。そりゃ惚れるよ」
「惚れないですよフツー」
しまった、本音出た。
「……」
「……」
ノア様は結構ざっくりした性格だったのね。
「彼女は退屈がキライだった。私は城を……といっても、あの頃はまだ一地方に過ぎなかったけど。ま、とにかく、家を抜け出して、一緒に冒険を始めた」
「冒険?」
「女神を探す冒険」
ふふっ、とノア様はとても楽しそうに笑った。
「リリー、近所の山に女神が眠ってるなんて急に言われて、信じるかい?」
「普通は信じないですよね」
「そう。だから、私たちは誰にも邪魔されずに、眠っていた女神を探し出すことができた……。ただ、女神があんなに性格が悪いなんて」
「屋敷を抜け出して、私たちは森の中で会うようになった」
釣りをしたり、野いちごを取ったり、弓矢で狩りをしたり、私はローズとともに過ごした。
彼女は料理も上手で、ぱっと火を起こして焼りんごを作ったり、
持ち寄ったパンやソーセージを挟んで、湖のほとりで二人で食べた。
彼女はいつも古文書を書き写したものを持ち歩いていた。
「何を探してるの?」
「神様」
古文書に残る『7人の女神』。
その話をローズは教えてくれた。
「すべてを作った母は、石の中から娘を7人作った。そして彼女たちを星へ降ろし、自分たちに似せて人を作った」
「おとぎ話だろう?」
「私もそう思ってた。なら、どうしてラウネルに神殿が残っているの」
「……遺跡じゃないか」
「遺跡があるなら、きっと人々は信じていたのよ」
古い伝説を知ってはいたが、神の存在を信じてはいなかった。
ただ、ローズがあまりに楽しそうに語るのを否定するのは忍びなかった。
「すべてを作った母は、娘を作った。そしてこの地に遣わしたと古文書にはあるわ。記録があって神殿がある以上、彼女はきっと存在して、崇められていたの」
キラキラした目でそう語る、彼女といられる時間が大切だった。
私の退屈な毎日に割り込んできたローズ。
「神様に会ってみたくない?」




