第28話 出発
短いです。
翌日。
ニキビも治った。ワンピースも直した。
私は会いに行かなくちゃいけない。
日が暮れるを待つ。
「行くの?」
「うん。行って来るわ」
黒百合の女神が、「ついて行こうか?」と心配そうに聞いてくれた。
「ううん、大丈夫。……ありがとう」
「……どうしたの?」
なんでもない、そう言って私は身支度を始めた。
ペンダントをかけて、髪を梳かした。短い前髪は慣れない。
自分で、ビーズで編んだ、ハートのイヤリングをつけた。
「あらいいじゃない。ピンクはやめたの」
「うん」
色はアメジストに合わせて、パープル。
子供っぽい色が好きだった。
でも私に似合う色は、たぶん違うんだ。
ローブを羽織って、用意しておいたランプに灯りをつけた。
「ノアと暮らすの?」
「ううん。うちにはおばあちゃんがいるもの」
「そう。でもノアは、アンタを連れていくかも知れないわよ」
ノア様はこの世の者ではない。
「一緒にいて」といわれたら、私は嬉しいんだろう。
もし、そう言われたら……私はついて行くかもしれない。
「イヤなら、もし、誘われても断るのよ」
「うん」
「3回は断るのよ」
「うん?」
「1回でも頷いたら、もうこっちに戻ってこれないわよ」
なるほど、3回も誘われたら、決心がぐらつくかもしれない。
その時は……その時。
身支度をしていると、黒百合の女神が言った。
「トレニアには話したの」
「ううん。話したら決心がぐらつくから。会わなかった」
「どうして他人の意見を気にするの?」
私は少し考えた。
黒百合の女神の自由さが、……私はたぶん羨ましいんだろう。
「トレニアを悲しませたくないから、かな」
「だって、あくまで他人じゃない」
「友達よ」
「どうしてアンタたちも一人で生きていけないのかねえ」
私にはわかんないわ、と黒百合はいい、手をヒラヒラと振った。
靴は黒のブーツ。
茶色の方が好みだけど、服に合わせることにした。
「あら、いいじゃない。足細く見えるわよ」
「ねえ、それ誉めてる? けなしてる?」
「可愛くていいじゃない、靴が」
「……うん、もういい」
「あら誉めてあげたのに」
……そう、受け取ることにする。
「行ってきます」




