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【完結済】へなちょこリリーの惚れ薬  作者: 水樹みねあ
第四章 黒百合の女神
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第20話 決断

覚悟を決めるよ

「リリー、ものは相談なんだけど」

「……なに?」

「私の石化を解いてくれない?」

 そりゃ、無理だよ。

「私には、そんな魔力ない」

「あるわよ。ユーレイのノアがハッキリ見えたんでしょう? 普通の人間には見えないわ。できるできる」

「でも、おばあちゃんが……怒るよきっと」

 うーん、と考える振りをして、トレニアが言った。

「一回聞いてみたらどう? リリーのおばあちゃんだって、許してくれるかもしれない」「どうだか。第一、ノアのことはケロっと忘れて、他の男とくっついたんだから」

「……」

 でも、だから私がここにいるのよね……。

「リリー、ひとりぼっちで閉じ込められてる私の気持ち、あなたならわかるでしよ?」

 白い手を伸ばすと、彼女は私の髪を撫でた。

「ひとりぼっちって辛いわよね。話し相手もいなくて、時間をどうやって潰すかそればかり考えて」

「……」

「リリーには、私がいるわよ」

「アンタは黙ってなさい」

 私には、彼女の言い分はわかる。私は学校に馴染めない。トレニア以外に友達はいない。私は、部屋でひとりきり。もっと魔法が使えたら。何か変わるのだろうか。少しは、自信を持てるようになるだろうか。

「待ちなよ! 彼女は精霊だ、制御できるとは思えない。私たちの手に負える相手じゃない」

 その通りだね。トレニアはいつも正しい。

「リリー、あなたはどうしたい?」

「……」

「アナタの望みはなに?」

 

 学校に行きたい? ドレスを着たい? ノア様のそばにいたい?

 違う。

 

変わりたい。今の自分から。いつもすぐに諦めてしまう性格に、一番うんざりしているのは、私。こんな自分じゃダメだってことわかってる。『精霊』なら……。どうすればいいか、きっと教えてくれる。


「私を連れて行きなさい」

「私を守ってくれるなら」

「それがあなたの望みなら」


 彼女の石化した部分に手を当てる。それだけで良かった。地上へ出ると、黒百合の女神は噴水を元通りに直した。

「……ねえ」

「トレニア? どうしたの?」

「リリーは、私より黒百合と一緒がいいんだね」

 眉間にしわを寄せて、彼女をにらみつけた。初めてみる表情を前に、まずいと思ったが仕方ない。

「リリーに扱えるとは思えないわ」

「……私も、思ってないよ」

「なんで? 私、止めたよね」

「力の使い方を教えてくれたわ。……魔法を使えるようになるチャンスなの。彼女はきっと教えてくれる」

「私たち、一緒にやってきたよね? リリー、城に行ってから変わった」

 なんでもできるトレニアには、きっと、わからない。

「……やるべき時に、やるべきことをするのが大切なんだって。ノア様が言ってたの。私も、変わりたい。なんでも自分でできるようになりたいんだよ。わかって」

 いつまでも、へなちょこリリーじゃいられない。寂しさとか嫉妬とか、そういうものを隠してた。誰かと、いつも比べて。

 強くなりたい。

「頑張らせて」

「……」

 帰ろうとしたトレニアを、「待ちなさい」と黒百合が引き止めた。

「ガキと猫だけで帰すわけに行かないわ。ついてきなさい」


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